「わたしはあなたに惹かれました。出会ってください」
私が出会おうと思うと手紙をひとまず書いてしまった。
「わたしはあなたに惹かれました。出会ってください」
宛先はなし。わたしはだれにも知られていないしだれも知らなかった。知りたいが知ろうとせず知ってほしいが知られようとはしなかった。そうやって自分を少なくしていた。はっきりとしたそれをしらなかったかもしれない。わたしはなにもわからなかった。
手紙はいつも宛名なし。書いても書いてもだれにも届かない。どれだけ書けば、どれだけ積もればわたしは出会えるのだろう。出会い方を知れるのだろう。そういいながらも積もっていく。わたしはあなたに会いたい。会いたい。
わたしの家には手紙が山のように積もっている。積もりすぎて身動きできない。丁寧にはとっていない。でも汚そうとはおもわない。わたしはまだかいていた。便箋かってはそこにかき。ずっと続けていた。金はそこをつく。もう家はもたない。重過ぎて壁がもたない。もたなくて爆発した。便箋は街中に舞った。宛先なしの手紙は風に運ばれてゆく。私は家で伸びていた。手紙は彼の元から消えてゆく。どこかへと飛んでゆく。届けばいいね。あなたのもとへ。あなたが待ち望んでいるあなたのもとへ。