表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王女×死霊術士=世間知らず 異世界へ!!  作者: 鵠居士
引きこもり’s、異世界へ
9/59

お外は危険がいっぱい・・・でもないよ

建物を出ると、そこが山の中腹にあることが知れた。

麓から建物の前を通り、反対側の麓へと降りていく。

月明かりにも道に轍がはっきりと見えるということは、通行する馬車が多いということか・・・

「さて、どっちに行くか。」

「はい!」

メルリーウェが手をあげ、促されるのを待っている。

「なんだ、メル?」

「森の中に進もう。道で人に遭遇したら、犯人にされちゃうよ?」

まぁ実際犯人みたいなものだけど

笑顔のメルリーウェ。

幼いころから死霊を視て、死霊を従え、家族のように暮らしてきたせいか、こういったことに恐怖を感じないようになってしまった。

それを少し哀れと思いながら、バルトがメルリーウェの頭をなでた。

「そうだな。この少年の顔を知っている者もあるかもしれん。

 森の中を進むか。」


「・・・少し進んだら・・・あとは任せてくれれば何とかなる・・よ?」


ジェノスの背中からトールが顔をあげた。

「なんだ戻ったのか。」

「・・・うん・・・ごめん、ありがとう・・・」

地面に降りたトールはジェノスへと頭を下げた。少しの間だけだが、細い少年となったジェノスがふくよかなトールを背負っていたのだ。トールとしては、土下座でもしたい気分だった。

「今度はどんな魔道具を使う気だ?」

トールの生み出すものは常識を覆すものばかり。

説明された祝福『夢を描く手』の力は、大まかな仕組みを知っていて使ったことがあるものを生み出しものと聞いている為、トールやセイの世界の技術に純粋に驚き、楽しみにしているところが全員にはある。

オタクでゲームや小説、漫画に浸かるように漁っていたトールにとって、そこに出てくる魔道具などはすぐに頭に思い浮かべることができた。そして、二度目の世界から帰った後も力が使えることに気づいたトールは図書館に通いつめ工業製品や薬品など様々な本を読み、それまでRPGけでプレイしなかった戦争ものや生産ものなどのゲームをやりこんだ。それによって、現実では存在しない魔道具、現実では使えない武器や兵器、そして農作物などを『夢を描く手』で生み出すことができるようになった。

その苦労が、この世界に来たことで有効なものになろうとしている。

それが、トールには少し嬉しかった。

何より、屈強な体も、抜群の運動神経も、魔術や魔法も、使えないトールが仲間たちの役に立てるのが嬉しかった。


「空飛ぶ絨毯 だよ」


これも、錬金術を極めるゲームの中で作り使用したものだ。


「空を飛んで・・・少し離れたところの、町か村を探す・・・

 ・・・大きめな町だったら・・・そこで店を構えよう・・・

 小さい町や村なら・・・露天を開く・・・

 名前を売って・・・大きな町へ行く足場にする・・・

 扱うものは・・・最初は・・・薬を・・・次に宝飾の類・・・

 ・・・宝飾の類は・・・それなりの体・・・王子様に・・対応してもらおう・・・

 王子様なら・・・そういうのの目利ききくし・・・対応も上手いから・・・

 ・・・屈強な男の体・・・武器を扱うように・・・

 僕の力なら・・・売れないことは絶対にない・・・

 類似のものがあったなら・・・元手のかからない僕のものの方を・・・安く扱えばいい。

 それを解析して、作ってもいい・・・

 ・・・体を使い分けて・・・扱うものを増やしていけばいい・・・

 問題は身分やお金がある人・・・

 取り込もうとする・・・厄介ばかりだから・・・

 その対応・・・店の代表は・・・翁に頼む。

 口が上手いし、人を操るのは得意・・・だから・・・

 それなりに大きくなったら・・・商会にしてもいい

 『転送の扉』っていう、アイテムがある・・・

 場所と場所を移動できる・・・固定アイテム・・・

 ・・・それでいくつもの村や町を繋いで・・・店を増やしてもいい・・・

 

 これが僕の考え・・・

 どうか、な?」


「いいと思う。ねぇトール、ご飯屋さんもできるかな? 

 トールのご飯、とっても美味しいから大人気だよ」

「そうね。飲食系なら私が担当しようかしら」

「じゃあ、俺は何がいいかな。」

「バルトは、売るだけなら武器屋でいいんじゃない?」

「私は雑貨屋を。この体ならばいけるだろう。」

反対の声はあがらない。

トールの意見が採用されたのだろう。

「あっ、バルトは夜の女の人がいっぱいいてお酒飲めるお店がいいよ。

 前、楽しかったって言ってたでしょ?」

メルリーウェの言葉に場が静まりかえる。

「・・・バルト?なんていう話をメルにしているのかしら?」

イストが睨みを効かせると、バルトは首が千切れんばかりに横に振った。

「いやいや。普通の店、健全な店だって。

 王子もジェノスも翁も一緒だったし!!」

「はぁ?」

「うむ。女が歌を歌っている、ただの酒場だ。問題は無い。」

「なら、翁に歌を歌ってもらえばいいね。」

「・・・上手だからね・・・翁用に・・・女の人の体・・・みつけないとね・・・」

イストがバルトとジェノスを睨みつけている中、メルリーウェとトールは酒場の構想を知らないまでも作っていく。

「まぁ・・・詳しくはセイが起きないと・・・

 常識とかを混ぜて・・・計画を完璧にする・・・必要がある。

 ・・・国とか、町の特色とかも・・・考えないと・・・」

「なら、セイが起きるまで森を進むことにするわよ。

 何か出てきたら、この世界の腕試しとしましょ。」

獰猛な目が森の奥深くの闇を見る。

「そうだな。この体の腕慣らしも必要だ。

 だが、早く戦える体が欲しいものだ。」

「リーウェ、これ乗る?」

木に手をあて、トールが中に浮かぶ一メートル程の正方形の絨毯を作り出した。

「まだ、大丈夫。頑張る。・・・・でも、駄目そうだったら貸してね?」

「じゃあ、それまではセイを乗せとくか。いいな、トール?」

「うん。自動で・・・着いてくるから大丈夫だよ。」




「さぁ、狩りを始めましょう」




山の奥深くから、狼のような遠吠えが聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ