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王女×死霊術士=世間知らず 異世界へ!!  作者: 鵠居士
二度ある事は三度ある。三度あることは・・・
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メルリーウェと不思議な日記⑤

突然の事で、びっくりしちゃった。

同じ世界の中で、召喚されるなんてあるんだね。でも、良かったとも思うんだ。

『迷宮の大精霊』さん達とも仲良くなって、色んな人と出会って、皆も友達が出来て。こんなに楽しいことが一杯で、色んな事が出来る世界をお別れするのは嫌だもん。

でも、クイン君には悪い事しちゃった。とっても驚いてた。

でも、それも仕方ないよね。こんなこと初めてなんだから。

でも、二人と一緒なら大丈夫だと思うからって言ってくれたの。年上の人にそんなこと言われるなんて、ちょっとだけ恥ずかしかった。

でも、とっても嬉しかった。

頑張ろうって思ったんだ。

それと、やっぱりトール君は慣れた感じで、とってもカッコ良かった。

でも、何だか辛かったこととかを思い出しちゃったみたいで、王様達にとっても怒ってた。


あの召喚された英雄の人達も、トール君が体験したっていう事をされないといいな。




「でも、一番ビックリしたのは、この日記だよ?」

今日あったことを日記を途中まで書き綴ったメルリーウェが、誰とも知れずに語りかけるように声を出した。

自分の部屋の机の上にと置いておいた筈の、日記帳。

もちろん、召喚された時点で手にしていたなんて事は絶対になかった。なのに、夜も深まって店の二階にある部屋へと移動してみれば、その部屋の中に置かれているベットの上に、毎日の日記をつけて見慣れている日記帳があったのだ。フェウルが宿泊している部屋だけでは狭いだろう、そう言って宿屋の好意によって用意してもらった部屋だった。何か細工が出来るとしたら、用意してくれた店主くらいだろう。だが、帝都で毎日忙しい仕事に追われて暮らしている店主が、遠く離れた店カラミタの二階のメルリーウェの自室にある日記帳を持ってこれる訳がない。ましてや、カラミタの警備は生半可なものではない。セイの魔道具に、トールの異世界の技術。試しに、と経験してみせた大精霊達お墨付きの冒険者達や、好奇心に負けた『書の大精霊』によって、それが非常に困難な護りであるのは保証された。

驚いたメルリーウェは、自分しかいない部屋の中をキョロキョロと見回して誰もいないことを確かめ、一度部屋の外に出た。

部屋の外の廊下では、トールとクインが別の部屋に宿泊していて共に二階へと上がってきた『風花』や『赤星』の面々へと、商人達を煽るように出した商品などの効果や扱い方を説明していた。

「どうしました、メルリーウェさん?」

たどたどしい口調で説明しているトールよりも早く、メルリーウェが出て来たことに気づいたクインがそう尋ねた。

「ちょっと、トール君に聞きたいことがあるの。」

いいかな?とメルリーウェが聞けば、その声で気づいたトールも「何でそんな事を聞くんだ」という顔で頷き、説明を聞いている途中の面々も頷いた。

ちょっと来て?

トールの腕を引いて、部屋へと戻る。

そして、日記帳のことを相談したのだった。

メルリーウェが、なにやら不思議な日記帳を日々綴っていることを知っていたトール。トールも不審に思ったようだったが、元々精霊から返事が返って来るという不思議な効果のある日記帳。持ち主の追跡機能でもあるのかなと呟き、手にとって日記帳を観察し、ありとあらゆる思いつく限りの危険回避の魔道具を生み出すとそれをメルリーウェに持たせた。日記帳へも、その物へ翳すとそれに関する説明が浮かんでくるという便利魔道具を使ってみたが、最初にメルリーウェから説明された時に使用した際と同じ説明が浮かび、何の異変も見出せなかった。

一度、何かを書き込んでみたら?

メルリーウェに沢山の護りを渡したトールは、そう提案する。

トールが見守る中、メルリーウェは問い掛けるような言葉を日記帳の新しいページへと綴った。

「"どうして、此処にあるの?"」

すると、その返事はすぐにあった。


僕が運んだんだよ~驚かせてゴメンね?

    エレクシア


何時もと変わらない精霊からの返事。

メルリーウェはトールと共に納得の声をあげた。

「精霊の仕業なら、仕方ないね。」

「そう…だね…。ラヴィさん、達の仲間だし…」

メルリーウェ達の中で、ギルドの三人の大精霊達はそんな風に納得できるような立ち位置にあった。


「"ありがとうございます"」

メルリーウェは、日記帳を運んできたという精霊に対してお礼を書いた。

日記帳があるのを見た時はとても驚いたが、理由が分かれば安心できた。そして、日記を一日も欠かさずに書くことが出来そうだという事に、メルリーウェはお礼が言いたくなったのだ。


どういたしまして。


そんな返事が返ってきた。

そして、メルリーウェはその返事のしたに、今日あった事、それに対して思った事を日記として綴ったのだった。

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