メルリーウェと不思議な日記④
新しい仲間が出来ました。
とっても良い子たちみたいだから、一緒にお仕事したり遊べたら嬉しいです。
カイ君とアト君は面白い子です。兄様がジェノスたちが帰って来るまでって嫌そうにしてたけど、戦いの基本っていうのを教えてる。セイちゃんも色々簡単な魔術を教えたりしてる。トリアちゃんはお洋服を作ってあげたら喜んでくれた。やってみたかったみたいだから、一緒に簡単な編み物を始めました。エニちゃんはトール君の後をついて回ってます。ご飯を一杯食べるから、トール君が嬉しそうにしてました。
トール君とセイちゃんが、モグラ叩きっていう遊びを教えてくれたから、て楽しいのって聞いたの。そしたら、トール君が「げーむせんたーにあるもぐら叩き」を出してくれました。
お店の端っこに置いてくれたから遊んでみたよ。
でも、モグラの動きが早くて一回しか叩けなかったから悔しかったです。
次の日に、店に来たダグラスさん達も面白そうだって言って挑戦したの。とっても上手かった、やっぱり冒険者って凄いんですね。特にイーダさんが上手で全部叩いてた。蛇だからって言ってたけど、蛇ってちゃんと見たことないんだよね。
トール君も凄いなぁって言ってて「ぱんちんぐましん」っていうのも出していました。
それは、ダグラスさんは凄い点数を出してて、トール君やセイちゃんとビックリです。
他の冒険者のお客さんも挑戦してて皆夢中になってた。でも、やっぱり一番はダグラスさんでした。
トール君とセイちゃんが「げーせん」を作っても面白そうだって悪巧みしてたけど、人手が足りないからなぁって悔しそうにしてたから、多分やらないよね?
いいなぁ。
僕も遊んでみたい。
仕事なんて放っておいて、僕もそっちに遊びに行こうかな。色々、面倒くさい事ばっかりだから嫌になっちゃう。
そうそう、これから色々と起こるだろうけど、気をつけてね。
僕は君達の事気に入っているんだ。困った事があったら何時でも頼ってね。
エレクシア
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日記に返って来た何時もの精霊からの返事に、誰かに相談しなくてはとメルリーウェは思った。「おやすみ」と挨拶を交わして全員が部屋に入ってしばらく立つ。寝てしまっているかも知れない。でも誰でもいいから、と部屋を出たメルリーウェ。
すると、一階から物音が聞こえてきた。
誰か、まだ起きているのかな?
首を傾げて、メルリーウェは一階に降りてみようと考えた。階段に向かって足を向けた。
悪い人だったらどうしようかという思いも過ぎったが、トールがセキュリティーを強化してあると言っていたので大丈夫だろうと階段を下りていった。
ばこっ
どごっ
チャンチャラッラ~
誰かが、トールが面白半分で設置したモグラ叩き機を使っているようだった。玩具のハンマーで叩く音と音楽が聞こえてきた。
そっとメルリーウェが覗き込むと、そこには最近ではよく店に顔を見せる三人の精霊の兄弟たちがいた。モグラ叩きとパンチングマシーンの前に集まり、楽しんでいる。
そして、そのすぐ傍には、眠そうな顔で机に頬をつくイストの姿も見えた。
「…何しているの?」
「あれ、メル。まだ寝てなかったの?」
駄目じゃない、と近寄ってきたメルリーウェに言ったイスト。
「いきなり、遊びたいって人の事を起こしにきたのよ、この迷惑三兄弟。」
「本当に楽しいですね、これ。特に、このモグラの顔がとある人にそっくりなんですもの。ついつい熱が入ってしまいます。」
迷惑そうに顔を歪めるイストに指を差されても、三人のギルドを司る大精霊の兄弟たちは、特にモグラ叩きをやっている最中の『迷宮の大精霊』はにこやかに、悪びれることもない。
その言葉の通り、彼女が叩き込んでいく玩具のハンマーは力強い音を出してモグラを叩いていく。




