杞憂なこと
セイがやりたいって言っていたことを兄様に伝えた後、頼まれた制服のデザインを見せようとセイを探したけど工房にも部屋にもいなくて、お店にいるトールに聞きに行った。
「・・・・トール君・・・その頬っぺたどうしたの?」
厨房で明日のお店の仕込をしていたトール君の頬っぺたが真っ赤になっていた。
「・・・・セイに怒られた・・・」
しょんぼりとしているトール君。
セイちゃんと喧嘩するなんて珍しいな?
「何したの?」
「・・・・セイがやろうとしていること・・
・フェウルさんと一緒になったら・・出来ることがあって・・・・
・・・宗教系の怪しい団体にするのって・・・聞いたら・・・殴られた・・・」
『ちょっと歯食いしばってねトール君。
魔道具とおじーちゃんの歌で怪しい宗教団体ねぇ
私がそんなことするわけないでしょ!!!』
トールを殴り、そのままセイは子供達をスカウトしに出て行った。
段々と酷いことを言ったと思いだし、トールは浮かない顔で何とはなしの作業をしていた。
「それは怒るよ。
トール君にそんな怪しいことするのかって思われたってことだもん。
ちゃんと謝んなきゃ!」
「・・・・うん・・・・」
セイに頼まれて出したのは、吹奏楽で使う楽器。
トランペット、ホルン、トロンボーン、ユーフォニウム、チューバの金管楽器。
フルート、ピッコロ、クラリネット、アルトクラリネット、バスクラリネット、ファゴット、サックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、オーボエの木管楽器。
セイはそれらを魔道具にして、「戦う興行楽団」というものを作りたいらしい。
一応、メインは音楽隊で広場とか依頼されて演奏するってことにするらしいけど、治癒や防御の魔術を仕込んだ楽器を使って冒険に出てもいける。そんな集団を目指している。
今回、孤児の子たちをスカウトに行ったのも、ヘタな人間を雇うよりも子供の方が覚えが早いかららしい。子供たちが来てくれた場合の住む家は、この前の商人さんをパトロンにして用意してもらうって言ってた。本当に、セイってしっかりしてる。計画書なんてのも作っていたし・・・。
冗談半分でも、ただ夢に見たってだけで、あんなこと聞くんじゃなかった・・・
『書の大精霊』さんに聞いて、孤児が多いっていう隣の領地の町に、そこに詳しいていうロアスさんに連れていってもらうって言ってたけど、早く、無事に帰ってくるといいな。早く謝りたい。
無茶していなければいいな。
「それに言ってたよ?
宗教なんて作っても面倒くさいだけだって!フェウルおじいちゃんが。」
「それ・・・フェウルさんが言ったら駄目・・・だと思うよ。」
「経験者は語るっていう奴だって。」




