表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/59

閑話セイの企み

『ギルドに入ろう』に矛盾があることを教えて頂きましたので修正しました。けれど、他にはあまり影響がないことなのでスルーして頂いても大丈夫です。ご指摘ありがとうございました。

ふ、ふふふ

こうして、あぁして




グランドピアノが魔道具として完成するまでの日々のこと。

夜も深く、目を開けているのが夜を縄張りとする者たちくらいになった頃に、

最近何かと話題の店から小さく灯りが漏れ出ていた。

けれど噂が一人歩きしている最中である今、店の中を無粋にも覗こうというものはいない。


『暴虐の野獣』を手懐けた。

『ギルドの大精霊たち』のお気に入り。

逆らう者を奈落に引きずり込む魔窟。


近隣の者たちにとっては、覗いてみて開いていたらラッキーな安くて美味しい店。


商人たちにとっては、まだまだ動きが見えず、何故かあの商業ギルドまでもが静観の状態を保っている不気味な、そして不思議な旨みに有りつくために見逃せない店。


冒険者たちにとっては、最近現れた新人にしては腕の立つ奴等の仲間の店。上手くいけばその恩恵に預かりたいと通ってしまう店。


ヘタに悪さをする者があれば、店の恩恵を与えられたい者たちが報復に手を貸すだろう。あわよくば、という思いを持って。

だが、その必要もないとすでに噂になっている。

一度、三日通ったというのに店が開いていないと暴れた冒険者がいた。

それなりに名のある男たちが暴れる様に多くの者たちは遠巻きにするしかなかった。

そんな中、店の中から出てきたのは、滅多に店にも出てこない青年ラスだった。装飾品を扱うという青年の腕は細く、誰もが駄目だと声を上げていた。

しかし、青年は剣を振るい次々と男たちを倒していく様を見せ付けられて、見守っていた者たちは息を呑み、やはりこの店は侮れないと感じたのだった。



「おや。珍しいですね。」

ピアノの周りをウロウロと動き回っているセイに声をかけてきたのはフェウルだった。

「あれ?おじーちゃん、こんな夜中にどうしたの?」

「ふと目が覚めてしまってね。

 セイは相変わらず懸かりきりか?少しは体を休めなくては・・・」

トールにグランドピアノを貰ってから、セイは店を開けている時間以外を全て、ピアノを使った魔道具作りに注ぎ込んでいた。

時には、一向に休もうとしないセイをメルリーウェとトールに頼まれたラスが強制的に部屋に運ぶという珍しい光景が見れたりもした。

「それにしても、やはり夜にはその髪も外すのだね。」

フェウルが指差す先は、テーブルの上に放り出された赤い髪の塊。

今のセイは、濃い茶色の耳下までの髪で、普通の男の子の姿になっている。

「そりゃあ、夜くらいは外すし、本当の女でもないからね。」

「なら、もう変装しなくともよいのでは?

 大変とは思ってないことは知ってるがね・・・」

「だって、女の子の格好してた方が楽しいし、それに侮ってくれるからね。

 どうしたって、男って女の子の方が懐柔しやすいと思って寄ってくる。

 なら、僕が女の子の姿でメルリーウェの壁になっている方がいいでしょ?

 それに、僕がやりたいなって思っている、もう一つのこと。

 これには、姿が二つあったほうが何かと便利なんだよね」

「あぁ、トールに出してもらったあれらのことかね。」

セイがトールに頼み、出してもらった多くのもの。その全てが様々な大きさの箱に入っており誰も中身を見てはいないが、セイが嬉しそうに「これ全部魔道具にするんだ」と言っていたのを思い出す。

今は、まだピアノが終わってからとセイの工房へと詰め込まれている箱たちがどうなるか、まだ誰も教えられてはいない。

「出来たら、おじーちゃんにも協力してもらうことがあるから、楽しみに待っててよ。」

「そうしよう。

 これは、まだかかるのかな?」

ほのかな明かりの中で、黒光るグランドピアノ。

今でさえ重厚感を放つそれが、どんな魔道具になるのか。皆が楽しみに待っている。

「魔力増幅と魔術陣発動とかは終わっているから、あとは発動の鍵の設定だね。

 さっき、面白いことを思いついたから、今日からはゆっくりと設定していくよ。

 だから、ちゃんと寝るようにするから心配はいらないよ。」

セイはなんとなく分かっていた。

フェウルが寝ていないセイの様子を見にきたということを。

トールやメルリーウェ、ラスまでもが時折姿を見せる意味をちゃんと理解していた。

それがとっても嬉しくて、ついつい無茶をしてしまう。


とはいえ、フェウルが部屋に戻った後もセイの手は止まらない。


あと少しだからだ。

ピアノが終わったら、次はトールに出してもらったものが待っている。

名前は何にしようか。

色々と考えが浮かんでくる。



「発動鍵は伴奏覚えてるし合唱曲にしちゃおうっと。難しい方のやつで

 歌詞を口ずさめば影響を受けないようにすればいいかな?

 じゃあ、曲の意味と術を連動させて・・・」


「魔術の方も変わった感じのも用意してっと」


不謹慎だけど、侵入者とか来たら面白いことになりそうだなぁ。

この『跪け』とか、『幻術』とか・・・

あっ、お店のエンターテイメント用も作っておくかな。

『フラワーシャワー』とかでいいかな?

 





楽しそうなセイがピアノに曲を設定していっている中、

部屋で寝ていたトールが目を覚ましていた。

その顔は、若干青ざめている。



「あのピアノで幻術出して、フェウルさんがあの声で歌ったら・・・

 怪しい宗教団体の完成?

 ・・・・・・どうしよう・・・・正夢かな・・・・」

セイの男の娘設定を活かせていないので苦し紛れですが。


「ピアノで戦う漫画」の話ですが、セイが作るとしたい為に、そんな漫画がないと書いてしまいましたが、よく考えたらたくさん?ありました。

トールたちの世界には無いと後書きに書けばよかったです。

私が覚えていたのは、「ゴーストをスリーパーする○神」のラスボスです。「ヴァイオリン」の方はうろ覚えだったので教えて頂きありがとうございました。後、戦ってないけど最近で「灰男」や「薔○のマ○ア」がありますよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ