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王女×死霊術士=世間知らず 異世界へ!!  作者: 鵠居士
引きこもり’s、異世界へ
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セイちゃんによる社会科講義

目が覚めるとそこには木々の間で朝日を浴びて、血塗れた姿で笑う勇ましい三人の仲間たちと


少しだけ木々が開けた場所で白い薔薇の模様が編みこまれた鉄製のガーデンチェアとテーブルに腰掛け、ティーポットを傾け紅茶を準備する幼馴染と美味しそうにサンドイッチを頬張るご主人様でした。


「あっ、セイ起きたの?」


ゆっくりと起き上がったセイに最初に気づいたのはメルリーウェだった。


「・・・おはよう、セイ・・・朝ご飯は何に・・する?

 ・・・リーウェはツナサンド・・・だけど・・・」


メルリーウェの言葉にセイを一度振り向くと、頭大の岩に触れてガーデンチェアを生み出し、ポーチの中からティーセットとお皿を取り出したトール。


「ふむ。セイが起きたのならば、ここまでにしておくか。」

「そうね。勝負は持ち越しよ、バルト。」

「ぜってぇ、次は負けねぇよ。」

三つの山に分けた獲物の山を横目に、ジェノス、イスト、バルトの三人もテーブルへと戻ってくる。


トールは慌てて三人の分の椅子とティーセットを用意する。

「・・・えっっと・・・」

「私はコーヒーとカツサンドを頼む。」

「私はホットケーキとウィンナーティーにしてちょうだい。」

「俺はココアと照り焼きサンドがいい」

それぞれの注文に、湯気をあげる飲み物がカップに注がれ、それぞれの皿にも食べ物が用意される。

「セイ、セイは何にする?」

メルリーウェに促され、慌てて中に浮かぶ空飛ぶ絨毯から飛び降り、席に座る。

「こぶ茶とおにぎり。具は佃煮と梅干と鮭のみっつ。」

「ワショクってやつね。それも好きだわ。」

「俺はラーメンとか好きだな。」

「私はサイキョウヤキという魚がいいな。翁も気に入っておられた。

 殿下はナットウがいいと言っていたな。」

見た目からしての王子様が納豆を上機嫌で食べている風景を思い出し、セイの口元・・・よく見るとトールの口元も、笑いをこらえて歪む。

トールが自分用にと、椅子とカフェオレ、タマゴトーストを用意すると、先に食べていたメルリーウェ以外も食事に手をつけ始めた。

「それで、セイ。消化した情報は?」

「ばっちぐーだよ。そう大きく常識は、皆の世界と変わらない感じ。私とトールにとったら、テンプレのファンタジー世界って感じね。」


世界の名前は、スィートゥーリャ。

これは、この世界の創造の女神の名前でもある。

女神様はこの世界を創造した後、世界の奥深くで眠りについた。

女神様が目覚めるのは、この世界が十分に成熟して、女神様がこの世界を離れる時。

それまでは深い眠りの中で創造の力を蓄えていく。

でも、戦争だとかなんやらで何度も世界の危機が起こる。

それに憂いた女神様は世界の為に力を振るう。

その危機に対応した力を持つ存在を異世界から招いて世界を助ける。

英雄、神の子、救いの神子と呼ばれる存在は、一つの大業をこの世界にもたらし、救いとする。

世界全てを巻き込んだ巨大な戦争を、その武力をもって終結させたり、

人々の心が荒れすさみ秩序が失われそうになったならば、秩序をもたらす教えを授け心の拠り所を与え弱者を保護するシステムを作ってみたり、

種族の間に亀裂が入ったのならば、それぞれの種族に対し守りを与え、共存を促したり、

魔物が増え、人々の間に恐怖が増えたのならば、それを廃し人々の生活を守るために傭兵や冒険者を纏めるギルドというシステムを作り出したり、

歴史上、英雄は何度も降臨し、世界に恩恵をもたらしている。


「えっ、っていうことは、私何かしなきゃ駄目?」


「いやいや。そもそも俺たちって降臨じゃないし、召喚じゃん」


そう、あの男は英雄を人工的に召喚して、祖国の為だけに使おうとした狂人。

神を冒涜するその考えに、世界唯一の宗教『英雄教』から異端とされて、あの場所に追放されていた。


『英雄教』は、女神と英雄を祀る、世界中の人間が信じる宗教。

絶大な力を誇っている。

創始者も英雄の一人。

女神や英雄それぞれに紋章があって、それぞれのシステムの象徴として扱われているから、影響力は絶大だね。

そのトップの教皇は国の王たちも無視できない存在となっている。


ギルド、これも英雄の一人が作ったシステム。

冒険者を纏め、管理し、支援する為の組織。

S、A、B、C、D、Eのランクで冒険者に依頼を振り分けている。

ギルドのステータスカードは世界中で使える身分証のような役割も果たす。

だから、ギルドには皆入ったほうがいいかな。

ギルドには、冒険者ギルドの他に、商業者ギルド、医術ギルドがあって、これもその分野での証明書みたいになっているけど、冒険者ギルドほどの権限はないし、絶対に所属しなくちゃいけないってわけでもない。特に、掲げる英雄の象徴がある医術ギルドと違って、商業ギルドは英雄の象徴がないから寄合とか組合とかいった感じのレベル。

あとは、闇ギルドっていうのもあるらしいけど、あそこにいた人たちの情報じゃ詳しいことは分からなかった。


あと、重要なのは『銀行』

これも英雄の一人が作ったシステムで、世界中の貨幣や物価を一手に担ってる。

会員になった人のお金を預かって何処の支店でも引き出すことができる。

条件はあるけど、お金を借りることもできる。

絶対に不正が無いように、管理運営は英雄が生み出した精霊が行っているんだって。

貨幣の管理をしているみたいだから、トールがお金を作っちゃうのは止めたほうがいいね。


次に種族。これも、メルたちの世界とほぼ変わらない。

一番多いのが、人間。たいていの国は人間が中心の国になっている。

魔術を使えるものは多くは貴族階級になっている。

国の中には、人間至上主義なところとか、亜人がトップなところもある。

亜人っていうのは、大概が自分たちの種族で固まって住んでいたりする。

人間至上主義な奴らに捕まると、奴隷にされたりするから注意しているみたい。

エルフ、これは森の学者といわれて、長命種で精霊魔法を得意としている。

ドワーフ、手先が器用で物作りに精通している。

獣人、2つのタイプがいるみたい。体の部分が獣なタイプ、人と獣の姿を使いわけるタイプ。

同じ一族で固まって隠れ住んでいることが多い。戦闘を得意としている。

魔人、これも2つのタイプ。魔術に秀でたタイプと魔物を操るタイプ。どちらのタイプも金の目と影の中に潜むことができるという特色がある。魔物を操る魔人は忌み嫌われている。


魔物は魔力をもっている存在で危険な存在。

瘴気溜って呼ばれる場所の近くでよく生まれてくる。

瘴気溜は突然出来るらしいから要注意。近づくと毒にやられるからギルドでもS、A級の任務。

精霊は自然から生まれる存在。長く生きて強い精霊ほど確固とした意思を持ち、気まぐれに人間に力を貸してくれるけど、精霊を視たり、話せる人間は少ない。エルフは全員精霊と話せるし見える。

この魔物と精霊が消えると、魔石と精霊石が残されるという。


貨幣は6種類。

1銅貨。茶褐色のコイン。

100銅貨で1銀貨。(100銅貨)銀色のコイン。 

500銀貨で1大銀貨。(50,000銅貨)銀色で赤い石が埋め込まれたコイン。

1000銀貨で1金貨。(100,000銅貨)金色のコイン。

500金貨で1大金貨。(50,000,000銅貨)金色で赤い石が埋め込まれたコイン。

1000金貨で1青金貨。(100,000,000銅貨)金色で青い石が埋め込まれたコイン。

それの他に、

王印金貨 これは、それを賜った国の中でなら一回だけ、どんな買い物も出来るというもの。

神聖金貨 これは、教会の威光の下、どんな買い物も出来るというもの。

この二つは希少なうえに王家や教会で所有者まで登録されているものな為、使い道は絶対に知られるうえに、どんなものかは知られていない。


「分かったことはこれくらいかな。」


一気にしゃべりきったセイに、トールがコーヒーを差し出した。

「ありがと、トール君」

「ふぅん。だいたいは同じか。

 『銀行』は私たちの世界でギルドが担っていたことが独立したと考えればいいし・・・」

「私やトール君からしたら慣れた感じの世界だね。

 というか、多分『英雄』っていうのは私たちの世界からの召喚者なんじゃないかな?

 システムがそれっぽいものばっかり」

「・・・ギルド加入は絶対・・・あとは・・・商業ギルド・・・医術ギルドは様子見てから・・・」

ふむふむと教えられた情報をそれぞれ頭の中で整理していく。

「ちなみに主食はパン。パンの値段は平均して3銅貨くらいだね。」

「魔物の力も、この程度ならば私たちならば難しくはないわね」

三人が狩った獲物の山を見る。

「そうだね。『スキル確認』の力で確認しても、あれらは魔物だね。

 職業欄が魔物ってなってる。

 もっと詳しく分かればいいけど・・・

 もうちょっとかじっとけばよかったぁ~」

「・・・そうだね・・・」

「このあたりの場所は世界でも有数で大きい瘴気溜を中心とした魔の大森林の端っこみたいだから魔物は多いみたい。

 私たちが召喚された建物は、人間至上主義の大国 聖テオルド王国の西端。

 王国の北に広がり舌のように南へと一部だけが伸びている大森林の端を霞めて越えたところに、

 シリウス王国のスカイル辺境伯領がある。それのディフェンって町が冒険者の町って呼ばれてるの。

 ちょうど良いと思わない?」

 「・・・テンプレ・・・」

「冒険者の町?」

「魔の大森林に接しているからね。様々なレベルの冒険者が来るし、商人も来る。

 トール君の商品、バカ売れ間違いなし!!

 ここでまずお金を稼いで、その後は後で考えるってことで」

賛成の人、手ぇあげてっ

上機嫌なセイは勢いよく手を上げた。

そして、全員も迷うことなく手を上げる。

「それが一番手っ取り早そうだしな」

「じゃあ決定ね。

 それと、王子様と翁と、ジェノスの体のことなんだけどね?

 聖テオルド王国に奴隷商の町っていうのがあって、あの建物のある山を降りたところにあるの。

 そこで手に入れるってどう?

 代金はトール君が金目になる宝石とか作ればどうにかなりそうだったし、

 そこまでの行き帰り、『空飛ぶ絨毯』と『視界障害の指輪』あれを使えば見られないし」


にっこり

村娘の服に化粧をしていない顔

でも、その様子は妖艶なものだった。

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