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ポピュラリティゲーム  ~神々と人~  作者: 薔薇ハウス
九章 破滅の王の遠い影
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深まる友情と始まる異変

今日の投稿は終わっているのですが、お礼を言い忘れたので投稿します。

まとめサイトで紹介して下さった方、及び、擁護?して下さった方のお蔭でアクセス数が急に増えました。

若干、この作品を捨てて居た所がありましたが、お蔭で再びやる気を得られました。

本当にありがとうございます! 心から感謝致します!

出来る限りの力で頑張りますので、これからもよろしくお願いいたします!

 三か月ぶりにPさんと会った。

 場所は教会の裏手の花棚。時刻は以前とまるで変わらない。

 だが、そこに座っていたPさんが、妙に疲れているように見えたので、俺は久しぶりの挨拶よりも先に、体を気遣う言葉を発した。


「ああ……なんとかね。

 それより久しぶり。どうやら元気にやってたみたいだね」


 心配に応えてPさんは言い、ぎこちない笑顔を俺に向ける。

 それには「はい……」と短く返し、Pさんの正面に腰を下ろした。

 何やら本当に疲れているようだ。と言うか、元気が無いように見える。

 顔色は……元よりよろしく無いが、以前と比べてひとしおである。


「何かあったんですか……?」


 悩み事があるなら相談相手にはなれる。

 そう思って聞くとPさんは、まずは「アハハ……」と苦笑いをして見せた。


「やんちゃな神様と遊んで来たせいで、ちょっと酷い目に遭わされたってだけさ。

 少し休めば……回復するよ」


 それから言って、表情を歪める。

 直後には左腕にノイズのようなものが走り、一瞬以上透明になる。

 消えかけている、と言うのが正しい状態で、俺は動揺してそれを見ていたが、しばらくすると元に戻り、そこでPさんは再び苦笑した。


「本当に大丈夫なんですか……?

 何かあったらと思うと心配なんですが……」


 何かが無くともすでに心配だ。

 無茶をやらかして体を痛め、表面上では「大丈夫」と言う。

 しかし、実際は相当の怪我をしていて、一人で耐えている友人を見る感覚だ。

 簡潔に言うなら信じて居ない。信じられないと言う状況なのだ。


「だーいじょうぶ。本当の事だよ。

 多分、二千年も大人しくしてたら、この左腕も元に戻るさ」

「二千年!?」


 二年じゃなくて二千年。俺は骨すら残って居ない。

 あったとしても「治ったよ!」と言われても俺は返事は出来ないのだが、兎にも角にもその長さには、正直リアリティを感じなかった。

 だが、Pさんが神だとすれば――

 いや、きっと神なのだろう。神からすればそんな期間は、それこそ一週間や二週間くらいなのかもしれず、違う世界に住んで居る事を俺は改めて実感するのだ。


「はいこれ。片手ですまないね」


 そんな事を思っていると、Pさんが右手でメニューを出した来た。

 慌てた動作でそれを受け取り、とりあえずの形でPさんを見た。


「今回のポイントは三十三Pだね。

 こちらに来てからどれ位が経ったのかな? この基礎数値はなかなかのものだよ」

「結構ありますね……期間は多分、大体、十か月位ですかね……?」


 聞かれた為に適当に答える。

 大体それ位だったとは思うが、正直な所は良く覚えて居ない。

 早い物でもう十か月。こちらの暮らしにも随分慣れた。

 帰りたい気持ちはまだまだあるが、それは若干薄れたかもしれない。

 第一の理由は良い人達に遭えた事。第二の理由は学校だろうか。

 ギースやニースを呼んだ手前、せめて学校が出来るまでは、こちらに居るのは責任だと思う。

 勿論、俺自身もその学校に通いたいとは思っているが。


「(親父と母さんは立ち直ってくれたかな……)」


 そんな事をふと思う。一人っ子と言うのがこの際は痛い。

 だが、立ち直ってくれている事を信じる事にして、渡されたメニューを無言で開いた。

 

 変わって居た物は以下の二つ。


 魔法六 魔法効果++ 三十P

 特能六 行動高速化 二十四P


 前回からの引継ぎが真実の六である。


「言語は前回でクリアしたって事さ」


 言語が無いな、と思っていると、質問する前にPさんが言って来る。

 ……動物とかとは話せないらしい。

 実は少しだけ期待をしていたので、それには若干の肩透かしを食う。

 だが、選択の幅が一つ狭まったので、直後には「よし」と気持ちを切り替えた。


「魔法効果プラスプラスですけど、これって炎魔法の上級って事で良いんですか?」

「そうだね。一応の最上位だと思って良い。

 だけど魔法は精神力に依る所があるから、ヒジリ君次第でもっともっと強くなれるよ」


 質問するとPさんはそう言った。

 魔法は苦手だ。調節が難しい。

 いきなりMAXぜんりょくを持って行かれる時もある。

 こればっかりは経験だとか、或いは感覚を鍛えるしか無いのだろうが、その機会と方法が得られず、俺は未だに苦手意識を持ったままだった。


「行動高速化は殆どそのままだね。意識している間は早く動ける。

 だけどその分体力を使うから、使い所は誤らないように」

「あ、はい……」


 返事をした後に俺は思う。

 レナスが最初に使ったアレだな、と。

 槍を振った直後に消えられ、剣を突き付けられたあの時の事だ。

 おそらくあの時にそれを使い、高速移動して槍に乗ったのだろう。


「(どんだけ先に行ってたんだ……)」


 そう考えると恐ろしくもあり、反面で少々の敬意も覚える。

 団長とセフィアの恨みが無ければ、もっと普通に尊敬したはずだ。

 尤もそれは俺の個人的な、逆恨みのようなものでもあるのだが。


「じゃあゆっくりと考えて。

 僕はちょっと、花に水をやってくるよ」


 言って、Pさんが立ち上がる。

 直後には右手にじょうろが現れた。

 Pさんはそのまま裏庭に行き、広がる花々に水をやり出した。

 実の所は大体決めている。


「(行動高速化一択だろ)」

 

 と言う物だ。

 年齢的には俺も少年がきで、そういう物には憧れがある。

 それこそ「残像だ……」とか言って見たい、漫画に影響された時期もあった。

 それが今叶うのだから、来月に見送る必要は無い。


「行動高速化で良いですかー!」


 すぐにもそう言い、振り向いたPさんに「早いね」と言って笑われるのである。

 残ったPは九P。これでは他には何も取れない。

 故に、そこは来月への貯金として、その事もPさんに伝えて置いた。


「分かった。じゃあ僕は水やりがあるから、ヒジリ君は先に帰っててよ。

 メニューはそこの机に置いといて」


 Pさんはそう言って、再び水やりの作業に戻る。

 言われた通りにメニューを置いたが、なんだかもう少しここに居たかった。

 と言うか、Pさんと話がしたいのだ。BLとかそんなんじゃなく、単純にほら、三か月ぶりだから。


「あの……Pさん。良かったら手伝いますか?

 もう少しここに居たいって言うか……」


 顔を向けて聞いてみると、Pさんは笑って「じゃあ頼もうかな」と言って来た。

 直後に目の前にじょうろが現れ、掴むと同時に重みが生まれる。

 それからPさんの近くに向かい、二人で花の水やりをして回った。


「そう言えば、僕の名前はPさんって事になってるんだね?」


 一時間程を過ごした時に、俺の隣でPさんが言った。

 そう言えばその名で呼んでしまったな……と、その時に気付くがもう遅い。


「すみません……本当の名前を知らないんで、勝手に名前を付けちゃいました」

「いやいや、Pさんで良いんじゃないかな? 本当の名前なんて曖昧なものだしね。

 ヒジリ君が考えてつけてくれた名前なら、僕はその名前を喜んで受けるよ」


 謝罪をするとPさんはそう言って、「Pさん。Pさんね」と楽しそうに繰り返す。


「由来はなんだろう……ピエールの頭文字?

 いやいや、それともパーフェクトのPかな……?」


 そんな事を呟きながら、花への水やりを再開させるのだ。

 ポイントをくれるからPさんなんです。

 なんて、なんだか言えない雰囲気である。

 俺は小さく咳をついてから、水やり作業を再開させた。




「えらいこっちゃえらいこっちゃ!」


 審判の日を終えて戻ってくると、ユートが一人で大騒ぎをしていた。

 時刻は未明。外は暗く、部屋の中も当然暗い。

 一体何事かと聞こうとしたが、その前に自分で異常に気付く。


 揺れている。割と激しく。つまり地震の最中だったのだ。

 体感震度で四か五か。経験が少ないので何とも言えないが、おそらくそれ位の震度の揺れが、十秒間程続いたのである。


「ふぅー……やれやれ。アブなかったー……」


 やがては収まり、ユートが言うが、被っているのは俺のパンツ。


「ちょっときみぃ?!」


 故に叫び、「返せよ!」と要求し、飛んで来たユートからそれを剥ぎ取るのだ。

 とりあえず、それは洗い済みの物だったので、一先ず俺は安心したが、今後はするなよと言う意味を含めてユートを「ぎろり」と睨んで置いた。


「ヒィィ……自分の安全をカクホしただけなのにぃ~……」

「確保するにもモノがあるだろ? 例えば雑巾とか……」

「ヘールくん人形とか?」

「いや、それは自殺行為だね……」


 地震の最中に着替える意味。自分の首を絞めるだけだ。

 そう思うが為の発言だったが、ユートはちょっと不満気だった。


「にしてもヒジリはヨユーだったね。ジシン怖くない? マジヤバくない?」

「何でギャル風?

 ……っていうかまぁ、起きたばかりだから反応出来なかっただけだよ。

 昼間とかだったらもうちょっと、リアクションが大きかったと思うけどね」


 口調に対して一言を言い、聞かれた質問の答えを返す。

 ユートはそれには「ふーん」と言って、「皆は大丈夫かなぁ?」と心配そうに続けた。


 建物が壊れた訳では無いし、火事が起こった様子も無い。

 大丈夫だろう、と、俺は思い、ベッドから抜け出さずにそれを口にする。

 実際の所はこの地震がきっかけで、とある異変が起こっていたのだが、俺とユートがそれを知るのはもう少しだけ後の事になる。




 翌日の朝は久しぶりにダナヒと真剣勝負を行った。

 稽古という名の疑似戦は三日に一度程で行っているが、実践形式で戦ったのは大会以来の出来事だった。


 場所は庭で、ギャラリーはカレル。横にはユートが飛んでいる。

「あれはローズ王が大きすぎたのよ」とか、「大きいと裂けるの?」とか話し合っており、ユートに偏った知識を与えて、悩みの種を増やしてくれていた。


「んじゃーはじめっぞ! 最初から飛ばすぞ!!」

「あ、はい!」


 ダナヒはすでにやる気満々。言葉の直後に飛びかかって来る。

 振られた斧を屈んでかわし、その体勢から槍を突き出す。

 しかし、それは斧の腹で受けられて、強引に軌道を変えられてしまう。


「本気で狙って来い! 当たりゃしねえからよ!!」


 遠慮をしたのが読まれたらしい。

 そこで一旦距離を取って、そこからは本気でダナヒと打ち合った。

 この人と闘うと本当に楽しい。お互いに高め合えるような気がするからだろう。

 互角。いや、おそらくはだがダナヒの方がまだ強い。

 一撃一撃の重さによって、少しずつだが押されているからだ。

 武器をぶつけ合い、技を見せ合い、紙一重の戦いを俺達は続ける。


「くっ!」

「ちっ!」


 そして、あの戦いの時のように、お互いの武器に亀裂が走った。

 だが退かない。今回は退かない。

 口の端を曲げて更に打ち合って、武器の亀裂を大きくして行く。


「おらあっ!!」


 ダナヒのパンチが頬に入る。


「でやあっ!!」


 カウンターで俺は蹴りを放つ。

 二人が同時に一歩を下がり、呼吸を整えつつ睨み合う。

 次が最後だ。口にはしないが、ダナヒは俺にそう言っているように見えた。

 小さく頷いて力を込める。ダナヒも同様の動きを見せた。


「「うおぉぉぉぉぉっ!!」」


 直後に俺達は同時に詰め寄り、最後の力でぶつかり合った。

 砕ける斧、辛うじて残る槍。

 俺は素早くその切っ先をダナヒの喉に突き付けた。

 静かになる庭。聞こえてくるのは、お互いの吐いている荒い息だけだ。


「へっ……ついに負けちまったか……

 やるようになったじゃねぇかオイ……」


 そんな中でダナヒが言って、負けを認めて苦笑いをした。


「良くやるわ……」


 とはカレルの言葉で、一応の決着を見たかったのだろう、その後に館に足を向ける。


「やったジャンヒジリー! スゴイスゴーイ!」


 ユートが飛んで来て目の前を飛び回る。

 ダナヒは「やれやれ」と一言言って、その場に「ぺたん」と尻をついた。

 ダナヒに勝った。ついに勝った。

 俺も地味に強くなっているのか。

 息を整えながらにそう思い、「ははっ……」と笑って腰を落とした。


ダナヒ「じゃ、早速二ラウンド目な」

ヒジリ「は?!」

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