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ポピュラリティゲーム  ~神々と人~  作者: 薔薇ハウス
七章 必殺技を手に入れろ! ヒジリとダナヒの修行編
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謎の島で武者修行

「この間の戦いで思ったんだけどよぉ。オメェの攻撃って地味なんだよな」


 ヘール諸島に戻って四日。

 そんなある日の夕食前に、ダナヒが突然言ってきた。

 場所は食堂で、居るのは二人だけ。距離を置いた対面にダナヒが座って話しかけて来ている。


「じ、地味……ですか……まぁ、槍ですから……?」


 あまり意味は分からなかったが、とりあえず返すと「いやいや」と言い、

「やっぱ必殺技って欲しくね?」と、訳の分からない言葉を続けたのである。


「欲しい欲しい! ヒッサツワザ欲しいー!」


 これはユートで、肩の上で謎の構えから「ヘアー!」と正拳突き。


「オリャー!」


 続け様に蹴りを繰り出して「ねっ!?」と、俺に意見を聞いて来た。


「ねっ、て言われてもそう簡単にはな……ていうかただの連続攻撃だろ、今の」

「だから欲しいんじゃーん! 分かって無さすぎー!」


 それには「お前が欲しいの?!」と言って置き、「どうなんだよ?」と、聞いてくるダナヒに向かう。


「ま、まぁ、そりゃあ貰えるものなら……」


 苦笑いで返す。必殺技なんて、技のバリエーションの一つなだけで、それに名前をつけるだけの厨二病的なものだと思っていたからだ。

 あれば確かにアツいと思う。全力で叫べたら気持ちが良いだろう。

「無双三段!」なんて言って連続攻撃を叩きこんだとする。

 しかし、もしも防御をされて冷静な顔で「なんすかそれ?」とか言われたら。

 俺は多分「すみません……」としか言えない。


「良し、じゃあ行くか」


 だが、そんな気持ちが伝わらなかったのか、ダナヒはそう言って何かを決意。


「え……ど、どこに……?」

「どっかの島。出来るだけ原始的なとこ」


 聞くと、それだけを答えに立ち上がり、ダナヒは食堂から出て行くのである。

 向かった先は執務室で、そこではデオスが仕事をしていた。

 

「そうですね……そういう事は漁師に聞くのが一番では無いですか?」

「なるほどな」


 そして、ダナヒが何かを聞いて、答えを貰って再び歩くのだ。

 察するに、本人曰くのどっかの島――つまり、原始的な島の事だろう。


「三日程でしたら何とかなります。それが過ぎたら戻るように言って下さい」


 最早、その辺りは諦めているのか、困った顔でデオスが俺に言う。


「あ、はい……分かりました……」


 その頼みには苦笑いで応じて、ダナヒの背中を走って追った。

 館を出てから港に向かい、作業をしていた漁師を捕まえる。


「ちっと聞きてー事があんだが」


 そして、ダナヒはその漁師を相手に色々と情報を聞き出したのである。


「すかすあのすま(島)にはおっそろすぃ魔物が……」


 そんな声が聞こえた気がしたが、ダナヒは「あんがとよ」とその人を解放。


「どんぞご無事で……」


 と、漁師は言って、魚の入った籠を持って、頭を下げて去って行った。


「始まるぜ、サバイバルが! 覚悟は良いか野郎共!」

「おぉ~!!」


 反応したのはユートだけ。

 それに気付いたダナヒは「おいおぃ~」と、どういうテンションか俺を突いた。

 クラスメートでたまに居る、悪ふざけで股間や尻を触って来る奴に似ている。


「……いや、なんか恐ろしい魔物とか、そんな言葉が出てませんでした?」

「いやいや、おっそろすぃ魔物だから。恐ろしいじゃねぇから大丈夫だろ」


 ついて行けない理由を話すと、ダナヒはそう言って両手を広げた。

「そうだよー」と続けるのは隣のユートで、お前はどっちの相棒妖精よ、と、俺としては若干寂しくもなる。


「そうですか……」


 まぁ、もう何を言っても無駄だろう。

 諦めた俺はそう言って、卑屈な笑顔をダナヒに見せる。


「まぁ、丁度良いっちゃ丁度良いだろ。

 修行のついでに魔物退治とくりゃ、こっちに取っては良い事尽くしだ。

 百パー遭うとも限らねぇし、ブッチャケこういうのは言う程に、恐ろしい魔物なんかは居ねぇモンだ」


 それにはダナヒは笑って言って、「だろ?」と言って肩を叩いて来た。


「そうそう。大抵はコーモンから侵入してきて、内臓を食い破るような虫とかなんだよね」

「それはそれで恐ろしいわ……!」


 ダナヒは兎も角ユートにはそう言い、「あんだぁ……?」と、驚くダナヒに向かった。

 見えて居ないし、聞こえて居ないのだから、それは当然の反応である。


「と、とにかく三日ですからね。デオスさんがそれ以上は無理だって言ってましたから、それが過ぎたら帰るんですからね?」


 それから言うと、ダナヒは「あいよ」と言い、桟橋の水夫に近付くのである。

 その後に小型の船を出し、それに乗船して目的地に向かう。

 必要とされた時間はおよそ半日。夜中に出航して朝方に到着した。

 普段の航路からはまるで外れた、怪しげな島々の中にそれは見つかった。

 島に生える木からして、それはもう不気味の一言で、俺の気のせいで無いのであれば、不気味なオーラすら漂っていた。


「うッひょォ! こいつはヤベー感じだな! ぜってー居るわ! アブネーのが!」

「コーモンに絆創膏! 絆創膏忘れないで!」


 が、ダナヒとユートはここに来ても、むしろ喜んでいる様子すらあり、その考え方には呆れを通り越し、敬意すら抱く俺であった。




 十数分後、下船した俺達は、小舟を使って島に上陸した。

 食糧を持たず、水すらも無い、本当の意味でのサバイバルで、ダナヒの話では二日後の昼まで、ここで過ごすと言う事だった。


 上陸した先は島の浜辺で、やたらと倒木が転がっている。

 島のその他は殆ど森で、切り立った崖がそこら中に見られる、原始的な雰囲気の島である。


「斧」


 上陸するなりダナヒは言って、俺のセキュアから斧を受け取った。

 そして、「じゃあな」と右手を上げて、浜辺の奥の森へと向かうのだ。


「あ、あの……別々に行動するんですか?

 何が居るか分かりませんし、一応、一緒に行動した方が……」


 そこには若干の恐怖があった為に、呼び止めてみるとダナヒは振り向き、「なぁに言ってんだ」と言った上で、自分の言葉を更に続ける。


「必殺技ってのはな……一人で修行して、努力の結果として身につけるモンだ。二人で仲良く修行したって、得られるモンは思い出だけだろ。

 それともアレか? ダナヒさんとの楽しい思い出が欲しいのかオメェは?

「火がなかなかつかないよぅ♡ アハハハー」的な、甘ったるい思い出が欲しいのかオメェは?」


 それには「い、いえ……」と言葉を返すと、ダナヒは「だろ?」と一言を言い、「じゃあ二日後の昼前にな」と言い残して、森へと歩いて行くのであった。


「ボーイズラブ」


 その一言のユートは謎で、とりあえずの形で「なんだそりゃ……」とだけ言う。


「「貸して見ろよ。点けてやるぜ。お前のハートに恋の灯火を」「あっ、近いよ、やめてよロドリゲス」みたいな?」


 続けたそれには呆れて黙り、そろそろカレルの趣味に対して、口出しするかを悩むのである。


「あー……とりあえず、水探しかな……食べ物はまぁ、なんとかなるだろ」


 独り言のように呟いて、島の東側に向かって歩く。

 ダナヒは北に行ったので、それ以外なら西でも良かったが、ここはまぁ、何となく、気分で東を選んでおいた。


「にしてもホント、倒木が多いな……丁度流れ着くような場所なのかな?」


 浜辺の上には倒木が多い。材木置き場が崩れたかのようだ。


「かもしんないねー。もしかしたら、おっそろすぃ魔物がカンケーしてるのかも?」

「なるほどなー……」


 それにはユートが一例を示したので、否定はせずに浜辺を進んだ。


「あ! 川だ!」


 しばらく歩くと小川が見つかり、ユートがそこに飛んで行く。

 俺も遅れてその場に辿り着き、見た目と匂いを確認してから、右手に掬って舌先に当ててみた。


「んー……大丈夫……かな……?」


 どうやら異常は無いようなので、今度は両手に水を掬う。

 そして、それを飲み干した後に、浜辺の先に足を向けた。


 左手の森が崖へと変わり、やがて大きな滝が現れた。

 高さはおよそで二十m程。

 白く美しい滝の水は、そのまま海へと流れ出ている。


「一発打たれとく?」

「いや……少なくとも今はいいや……」


 聞いてきたユートにはそう言ってから、終わっていた浜辺を引き返す事にした。


「(となるとやっぱり森の中か……絶対何か居るだろここ……)」


 言葉には出さずにそう思い、引きつった顔で森を眺める。

 殆ど原始のままの森なので、本当に「鬱蒼」と例えるに相応しく、入るなりに鳥が「ギャーギャー」鳴いて、飛び出しそうな印象すらある。

 まぁ、要するにハッキリ言えば、俺は森には入りたくなかった。

 なぜかと言うと森の中では槍と言う武器は不自由であり、その上で自分の感情として、「正体が分からないモノが居る場所」には、近寄りたくないと言う気持ちがあったのだ。


「ねー。ヒジリー。今日はずっと浜辺をお散歩ー? 森には行かないのー? シュギョーしないのー?」


 そうとは知らないユートは言って、森の探索を猛プッシュして来て、それを聞く俺は「うーん……」と言う、曖昧な言葉を返し続けた。


「もしかしてアレ? 絆創膏貼り忘れたの? ボクがちゃんと貼ってるよ? ヒジリにも貼ってあげようか?」


 これにはすぐに「良いです……」と答え、立ち止まった上で森を眺めた。


「すかすあのすま(島)にはおっそろすぃ魔物が……」


 脳裏に浮かぶは漁師の声で、それを振り払う為に頭を動かす。


「(むしろハッキリしてればな……正体が分からないのが一番怖いよ……)」


 ホラー映画でもそうであるように、正体が分からないのが一番怖く、故に、立ち止まって悩んだ末に、島の西側を探索した後で、もう一度考える事にしたのであった。


サインと言う映画が良い例で、出て来た瞬間「ハ…?」となりました。

いっそ出ない方が怖かったです。みたいな。

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