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ポピュラリティゲーム  ~神々と人~  作者: 薔薇ハウス
六章 ランドデストロイ強奪作戦
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ヒジリの問題

 俺個人の問題とは、要するに工事の資金の事だった。

 居ない間に資金が尽きて、工事が中断されてしまっていたのだ。

 帰って来た直後にその事を知り、セキュアの財宝をギーツに換金し、それを監督に渡す為に俺は島へと向かっていた。

 土産話を聞く為だろうか、それには久々のカレルも同行。ダ・チン祭での成り行きを聞いて「馬鹿じゃないの……」とまずは呆れた。


「人助けも良いけど気を付けなさい……

 十六Pがあったから良いけど、もし、それでマイナスになってたら、あなたはこの世界からサヨナラだったのよ……?

 挙句に本人にお礼も言われないじゃ、あまりに救いが無いってものじゃない……」


 続く言葉には何も返せず、「すみません……」と、ただただ謝罪する。


「べ、別に悪い事をした訳じゃないでしょ!?

 ああもう駄目ね……言い方が悪かった。

 あなたは良い事をしたけれど、リスクがちょっと大きすぎた。

 今後はそこに気を付けて欲しいのよ。

 ……つまりその、そんな事で、いきなりサヨナラして欲しくないってコト!」


 それを聞いたカレルは言って、顔を「ぷいっ」と逸らすのである。

 いきなりサヨナラは寂しいじゃない……そんな事を言われているようで、その気持ちが嬉くて直後は微笑む。

 それから「わかりました」と言葉を返して、照れ臭さを隠す為に頭を掻いた。


「えっ……? そんなに?! 股間……じゃなくて、象の鼻が……!?」


 が、カレルはこちらを見て居なかった。ユートと何かを話していたのだ。

 なぜかどうして頬が赤いので、疑問に思って顔を顰める。


「そーそー。何か知んないけど急にビヨーンって。

 多分これくらいはあったと思うけど、パオーンって言ったら「やめろよ!」って怒られた」


 すると、ユートがそんな事を言っていたので、思わず「やめろよ!?」と叫ぶのである。

 悪意が無いのは十分分かる。だが、具体的なサイズの報告は駄目だ。

 大きいと思われるならまだしもだが、小さいと思われたら何かキツイ。

 そういう意味で叱りつけると、ユートは「ビクリ」と震えて逃げた。


「ぼ、ボク何も言って無いよー! ワルイコトナニモイッテナーイ!」


 そして、船の舳先辺りに留まり、誤魔化すように口笛を吹くのだ。


「あ、そ、そろそろ着くわよ! 準備は良い!?

 って、そんなの当り前よね!?」

「だ、大丈夫ですぅ!」


 真っ赤な顔でカレルが言った。俺も殆ど同様である。

 カレルの方はおそらくはだが、聞いてはいけない物を聞いてしまった為。

 俺の方は恥辱に加え、カレルの判断が気になるからだ。 

 

「見た目に反してスゴイのを持ってるのか……」


 そう思っているとカレルが言うので、俺は胸を撫で下ろすのである。

 だからと言って何なのか?

 それを聞かれたら何とも言えないが、少なくとも小さいと思われるよりは、良かったと思う出来事だった。


 船はそんな中で島へと近付き、沖で停泊して小舟を下ろす。

 俺達はその小舟に乗りかえて、工事現場近くの浜辺に向かった。




 浜辺に上陸して現場に行くと、ギースとニースが何かをしていた。

 見る限りでは掃除のようで、こちらの姿に気付いた後に「よう!」と言って近付いて来た。

 見取り図の上ではロータリーになる場所で、二人と再会して立ち止まる。

 当然ながら作業は止まり、現場には二人の姿しか無い。


「何やってるんだ……?」


 聞くと、ギースは「掃除」と言った。なぜかの満面の笑みである。

 一方のニースもそれを聞いて笑い、見つけたゴミを塵取りに入れ、その後に二人で顔を見合わせて、楽しそうに微笑み合った。

 どうやら二人は本当に、出来上がる学校を楽しみにしているらしい。

 作業が止まったこの状況でも、何かがしたくてたまらないのだ。


「ごめん……行く前に気付いて居れば、作業が止まる事は無かったんだけど……」

「何言ってんだよ。仕事だろ?

 タイミングが悪かったんだから仕方がねぇよ」


 そこに気付いて謝ると、ギースが右腕を軽く叩いて来た。

 そして、その後に「気にするなよ」と付け加えて、白い歯を見せてくれるのである。


「そうですよ。ヒジリさんが謝る事なんて何もありません」


 こちらはニースで、微笑みを絶やさず真っ直ぐにこちらを見つめており、その言葉に対して「ありがとう」と言うと、「いえ……」と呟いて視線を俯けた。


「ヒジリって年下にはニンキがあるよねー」

「ロリっ子キラーヒジリ君か」


 それを見ていたユートが言って、ニヤけた顔でカレルが続く。


「そんなんじゃないでしょ……」


 と、一応言うと、カレルは「ゴメンね」と笑いながらに言っていた。

 真面目に考えるとどうなんだろう。年上と年下どちらにモテるのか。

 年上ならカレルやメイドのサーヤ。年下ならレイラやニースやリースか。

 同年代ならナエミ一人だが、あいつの考えはさっぱり分からない。

 となるとやっぱり年下……? なのか?

 つまりロリっ子キラーなのか?


「(いやいや! アホか! 傲慢な考えだろ!)」


 が、自分の思い込みで決めつけるのはマズイので、小さく首を振ってその考えを吹き消した。


「えーと……それで、監督さんや、他の人達は居間どこに?

 仮設テントの方?」


 気を取り直して二人に聞くと、ギースが「釣りだよ」と短く言った。


「釣り……!?」

「良いポイントが見つかっただとかで、殆ど毎日行っているみたいです……」


 若干顔を顰めて言うと、苦笑しながらニースが答えた。

 まぁ、確かにこんな所では、待って居ると言っても相当暇だろう。

 暇潰しと言えば寝る事と、そういう事くらいしか無いのかもしれない。

 むしろ、資金が尽きた事で、逃げられなかっただけありがたいと言える。


「あー……じゃあ、分かるかな? その場所?

 そこに案内して欲しいんだけど」


 すでに資金は用意して来たので、それを監督に渡すだけだ。

 待って居ても良いが、早く渡したいので、ギース達に場所を聞いてみた。


「分かりますよ。行きましょうか」


 答えてくれたのはニースであった。

 すぐにも歩いて横を抜け、正門予定の場所へと向かう。


「何か、ちょっと元気になった?」

「あ、はい。前より調子が良いくらいなんです」


 そう聞いてから歩き出すと、顔だけを向けてニースは言った。

 カレルの生命力を貰った事で、或いは寿命が延びたのかもしれず、良かったのか、悪かったのかの判断に悩み、俺は「そうなんだ」とだけ言葉を返す。

 後ろの方ではカレルとギースが何やら話して言い合っていたが、ギースの恋路を邪魔したくないので、それには絡まずにニースと話した。


 正門予定の場所を越え、右へと向かって森の中に入る。


「あれ? 小屋? こんなのあったっけ?」


 そこでひとつの小屋を見つけ、疑問に駆られて声を出した。

 二つくらいの部屋があるのだろうか。農園の母屋脇に建って居そうな倉庫だ。


「あ、これ、監督さん達が、私達の為に造ってくれたんです。

 いつまでも宿屋に居るのも悪いので、最近はこっちに住んでるんですよ」

「え!? そ、それは料金とかは?」

「暇だという事でタダでした。と言うか、給料代わりだとかで」


 答えたニースが「ふふっ」と笑う。

 その後には小屋……では無く、家に近付き、塵取りと箒を置いた後に、森の奥へと更に歩いた。


「学校が出来たら一等地だね……」


 そう呟くと「そうですね」と言い、ニースは楽しそうに笑っていた。


 それから三十分程を歩いただろうか。

 俺達はようやく監督達に再会し、工事の資金を渡す事が出来た。

 入り江では殆どが釣りをしていたが、中にはそこで泳いでいる者が居て、「本当に釣る気があるのか……」と、俺は疑問をしたものだった。


「これでやあっと仕事ができますわ! どうにも暇で狂っちまいそうでしたよ!」


 そんな事を言う監督の背後では「アヒアヒアアアア!!」と叫んで飛び込む者も居り、「すでに狂った人が居ますが……」と言う、ユートに内心で賛同するのだ。

 ともあれ、工事は再開となり、彼らは釣りと遊泳を止め、現場の方へと戻って行った。


「じゃあオレらも戻るわ」


 それを目にしたギースが言うので、またしばらく居なくなる事を伝える。


「船の強奪? なんか面白そうだな……」


 理由を聞いたギースはそう言い、名残惜しそうにその場に留まった。

 何かを言いたそうな顔ではあるが、思う所があって我慢しているような感じだ。


「……良かったらお兄ちゃんを連れて行ってくれませんか? もし、足を引っ張るようなら捨てて来てくれても構いませんので」


 これはニースで、聞いたギースが「なあっ!?」と言ってニースの顔を見る。


「お、お前は大丈夫なのかよ? オレが居なくて、平気なのか?」


 しかし、行きたいのは行きたいのだろう、そこの部分は否定をしなかった。


「平気じゃないけど大丈夫だよ。たまにはお兄ちゃんも息抜きして来て」


 妹、ニースから返されたのは兄を気遣ったそんな言葉。

 しかし、ギースが迷っているように見えたので、肩に手を置いて「じゃあ行こうか?」と聞いてみた。

 ニースの気持ちを汲んでやろう。言葉にはしないがそう言ったつもりだった。



「あ、ああ……そうだな。カレルも行くのか?」


 これにはカレルが「いいえ」と答え、聞いたギースが若干凹む。


「行かないんですか?」


 それを知らなかった俺が聞くと、「これでも色々とやる事があるのよ」と、カレルは言って両手を広げた。

 研究主任。そういう立場に据えられた為に、やる事は実際多いのだろう。


「(という事は俺とダナヒさんの二人でやる気だったのか……

 全く、無茶を思いつくよなぁ……)」


 そんな事を思った後に、入り江から再び現場に戻り、そこでニースと別れを告げてから、俺達は浜辺の小舟に向かった。


キングダナヒ二世の制作とかね?

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