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ポピュラリティゲーム  ~神々と人~  作者: 薔薇ハウス
序章 その世界で出来る事
1/108

プロローグ

 宇宙空間。

 そう例えるに相応しい場所で、槍を支えに俺は立っていた。


「ハァ……ハァ……」


 体はぼろぼろで意識は朦朧。立っているのがやっとの状態だ。

 そんな意識で隣を見ると、同様の人物が俺の目に入る。


 青い鎧に金の髪、切れ長の目をした綺麗な人で、こちらの世界では「鮮烈の青」と呼ばれる、レーヌ・レナスと言う名の女性であった。

 剣を支えに何とか立っており、視線に気付いて口の下の血を拭う。


「行け、ヒジリ……時間が無い。こちらの事は私達に任せろ」


 それから言って、視線を動かして、俺が向かうべき場所を示した。

 そこは俺と彼女の正面。


 宇宙空間の中に一ヶ所だけ、「ぽっかり」と開いた白い穴がある。

 大きさはおよそで三m程。それは徐々に小さくなっている。


 あの人……

 そう、俺が信じたあの人の力が失われて来ているのだ。

 

 そこに入れば元の世界に戻れる。


 あの人は最後にそんな事を言った。

 それはきっと嘘では無いし、俺もそうだと信用している。

 長い、長い旅路の果てにようやく見つけた最後の希望だ。


 戻るか。それとも戻らないのか。

 激しく、辛い戦いが終わり、二つに一つの選択を迫られていると言う状況だった。


「そうだ。それで良い。お前は良くやった……元の世界で幸せにな」


 足を動かすとレナスは言った。

 おそらく戻ると受け取ったのだろうが、戻ると決めた訳では無くて、本当にただ動かしただけだ。


「良いんですか……?」


 一応聞くも、答えは返らない。

 無言で息を整えた後に、支えにしていた剣を収める。


「……」


 槍を支えに扉を眺め、この世界での事を少しずつ思い出す。

 苦しくもあり、楽しくもあったこの異世界で過ごした日々を。


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