Scene 5 〜俺たちの生きる道〜
「これからの事を話しあおう」
俺とアカネはとりあえず街の喫茶店で空いている席に座った。外は完全にパニック状態である。
現状の情報は次のようになっている。
1.ゲーム中に死んだ場合、復活することはできない
2.最終ダンジョンのボスが撃破された後、生存しているプレイヤーはログアウト可能となる
3.ボスを倒したMVPプレイヤーは、好きな望みを一つ叶えることができる
これは全てのプレイヤーにGMコールの機能を使って送られたメッセージを要約したものである。
この状況を引き起こした奴に対してはいろいろと腹が立つが、こうなった以上生き残らなければならない。
「まず俺達は常に二人で行動すること、これは大前提だ。」
「うん・・・」
アカネの元気がない。最初にGMコールがあった時はアカネもパニックに陥っていた。その様子を見て俺は冷静になれた訳だが・・・
こんな世界でもアカネにいつもの調子に戻ってもらえるよう頑張らなければ。
「最前線で戦うのもダメだ。俺達はゲームが得意な訳じゃない。誰かがこのゲームをクリアしてくれるまで生きていればそれで良い。」
「・・・」
「でも、少なくとも俺たちが生き残れる程度の力は身につけなくちゃならない。今後この街が安全かどうかの保証もない。」
「つまり、俺たちは二人で一般プレイヤーの中でも中堅の位置をキープしつつ、誰かがクリアしてくれるまでここで過ごせばいい。大丈夫、お前は俺が絶対守る。」
「うん・・・ソラくん・・・ありがとう」
少し涙が出ているアカネの肩を抱き、俺はこの世界で生きていくことを決めた。
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---そして2カ月後
俺達はSBOの世界でなんとか生きている。
この2ヶ月でSBOは安定してきており、各プレイヤーはおおまかに分けて次のタイプに分類された。
・最前線でクリアを目指すもの(通称フロンティア:開拓者、開拓組)
・安全圏をキープした上で日々生活するもの(通称アドベンチャー:アド、冒険者、冒険組)
・生産を主体とし、戦闘はせずに日々過ごすもの(通称クリエイター:クリエ、生産者、 生産組)
勿論、冒険をしながら生産するものや、クラン抱えの生産者等、細かな分類はある。
ちなみに俺達はアドベンチャーに属しており、自分たちのいける狩場や採取場の中で、生産組や下級プレイヤーの依頼を受け解決する、何でも屋をやっている。
これは俺がアカネに立ち直ってもらいたいと思って提案した、”俺たちの”この世界での生き方である。
その甲斐があったのか、アカネもだいぶ立ち直ったようで、以前と同じ明るさを取り戻し、俺を振り回す毎日だ。
「おはようソラ、今日は武器屋のジークの依頼だよ!」
「あー、鉄鉱石の採掘依頼だっけ。となると場所はラース山脈か。」
「うん。あそこの鳥型モンスターはちょっと厄介だから、気をつけようね!」
鳥型モンスター・・・コカトリスか。俺は治療系の魔法がないから、一方の身動きが取れなくなる石化攻撃は辛いんだよな。投擲用の治療アイテムを持って行かないとな。