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魔法使いルーフィと時間旅行記者  作者: 深町珠
悪魔の愛、天使の愛
71/1813

それぞれの記憶

「でも、ルーフィ?」と、わたしは呼びかけた。


彼は、わたしを見て、微笑んだ。「なに?」



「めぐちゃんの、いままでの記憶ってどうなるの?

それって、淋しくない?せっかく、思い出を

重ねて生きてきたのに」と。



ルーフィは、少し考えて

「これまでの18年の人生に、魔物や天使さんの

記憶は、めぐちゃんにない筈だから。

時間旅行させて元に戻さなくても...いいのにね。」と

ルーフィは、思ったけれど

神様には、お考えあっての事だろうと思って。


黙っていた。

折角、命を助けてくれるのだから、と

そんな思いもあった。




でも、一応聞いてみる(笑)。


「あの、神様?めぐちゃんは、何も知らないのです。

今までの思い出を、残してあげては貰えませんか?」



お友達ができたり。

学校へ行ったり。

図書館へ行ったり。

いろんな記憶は、もう、戻らない時の

大切な、すてきな瞬間の積み重ねなんでしょう。




神様は、少し考えて「その娘には、能力がある筈だ。

天使が宿っていた事も、気付いているかもしれない。」


と、事も無げにそう言った。



「まさか....。」と、わたしは絶句した。



神は、その言葉を裏付けるかのように

「その娘は、もうひとりの君だ。ならば当然だ。図書館で

何度か、時間を逆転させている。」



そうか。


そういえば、ベランダから転落した坊やを助けた時。

屋上から墜ちそうになった人を助けた時。


必死になった時に、能力が現れたのね....。



それは、天使さんの力じゃなかったんだわ....。




その時、天使さんは

飛翔するのを止め、地上に舞い降りた。



神は、驚愕し「何をする。天に戻れなくなるぞ。」



天使さんは、子猫の姿の元、悪魔くんのそばに舞い降りて


優しく、猫の背中を撫で、胸に抱き留めた....。




涼やかな声で「わたしは、この子と共に...地上で生きます。

次に転生した時、人間になって。

そして、いつか、天に昇れるようになるまで。

一緒に生きたいと思うのです。」



天使さんは、生命が長いので

それは十分可能だ。




神は、無言で、厳しい表情をしていた。




天使さんは、穏やかな慈愛に満ちた表情で

「この方が、こうなってしまったのも、また

私の力足らずだと思うのです。どうか、

わがままをお許し下さい。その時が来るまで

裁定をお待ち頂けないでしょうか。

めぐさんが、きちんと能力を使えるまで

わたしが、お守りしたいと思うのです」



天使さんは、静かに、爽やかな夏の朝の風のように

答えて。


美しいメロディに聞こえる。





「きれいな声ね」と、わたしは感嘆。



「うん。それは至上の音楽だもの」と、ルーフィ。



ヨハン・セバスティアン・バッハのバロック音楽、「主よ、ひとの望みの喜びよ」を、ちいさな頃初めて聞いた時みたいな感動を、わたしに、その声はもたらす。




神様も、その声に感銘を受けたのか

「よろしい。思うがままにするがいい。

ただし、それまで天には戻れぬぞ。よいな?」



天使さんは、静かに子猫を抱いたまま飛翔し

めぐの元に戻る。


子猫は、めぐに寄り添った。







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