裁定
深い想いを秘めた悪魔くんは
しかし、寡黙なので
その想いは、誰にも理解されはしないが
しかし、尊い愛を秘めていたのだろう。
別に、代償を求める事もなく
天使さんの幸せを願っていた。
ーーそんな時。
魔界との扉が閉ざされたので
神様は、裁定を下そうと
ルーフィたちの世界を訪れた。
が。
神様が感じ取ったのは
魔界の者の雰囲気だった。
次元が、少し歪んでいる事が
明確に、感じ取られた。
めぐ、に宿っている天使さんに
恋してしまった悪魔くんの持つ雰囲気である。
「これでは....裁定を下すには。」
時期早尚である、時空の乱れを正すべきだと
神は、ルーフィに伝えた。
草そよぐ、風おだやかな満月の夜
爽やかに神は、重い言葉を残す。
「そう言ったってなぁ」と、ルーフィは考える。
「いくら、神様だってさ」と、わたしも思う。
悪魔くんが人間界に居たって、何も
悪いことをしている訳じゃない。
それを理由に、めぐへの授け物を出さない、と
言うのは,,,,,。
暗に、悪魔くんに出て行けと言っているようなものだ。
それが、神のする事かしら(笑)。
でも。
悪魔くんにしてみれば、このままで居ても
自分も疲弊するだけで
異なる世界に旅立ってしまえば、もう
天使さんには永遠に会えなくなる。
もちろん、めぐ、も
天使さんも、この事は知らない。
悪魔くんは、天使さんやめぐの幸せを考えた。
異なる世界に旅立てば.....それで、上手くいく。
次の、満月の晩....。
悪魔くんは、人知れず
人間界を去った。
それから、ふたまわりした
満月の晩。
神は、ルーフィたちに裁定を下した。
いや、待ってくれたと歓迎すべきだろう。
本来なら、それを断られている筈だったのだ。
「では」と、神は、めぐに契約通り、授け物をした。
遡って出生時、命を元通りにする、と言うのである。
時間を逆転させ、めぐは新たに生まれる。
つまり、時空の歪みが
生まれてから18年の、異なる世界を作っていた。
それが、元に戻る。
同時に、天使さんも天に戻る。
「それでは、術を」と、神は
平然と、儀式を始めると.....
草原はゆらぎ、夜闇に陽炎のような
空間が析出した。
時空の捻れだ。
天使は、めぐから離脱し
半透明の翼、金色の粉が浮遊し
きらきらと、閃光は神々しく。
柔和な微笑みは、やはり天の調べ...
「あ....」
草原に、子猫が。
天使を見上げ、黙って見つめていた。
天使は、その雰囲気を察した。
それは、転生した、あの悪魔くんだった。
人間界を去り、彼は悪魔としての生命を自失し
再び魔界の裁定を受けた。
いきさつを理解した魔王は、「それは、善行である」と
動物に転生し、人間界に戻るように命じた。
「最後の別れになるであろうが。せめてもの情けである」
愛する心は、魔王にも理解できるのだろう。
-----------------
sent from W-ZERO3




