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1、不運な朝

2、不運な朝

 肌寒い季節を終え、暖かい日差しがほどよく周りを活性化させている。

特に、道路脇に生えている木々が新芽を元気よく伸ばして、

季節が春に移り変わったことを実感させた。

皇居前でジョギングする女性が増えたのもそれが理由なのかもしれない。

そんな、皇居の周辺で電柱の陰に隠れる一人の女子高校生がいた。

スレンダーな体を無理やり電柱の影に押し込めているのがわかる。

片手にはデジカメを持ち、

かなり大きめのサングラスをカチューシャのように髪をかき上げる為に使っている。

彼女は、私の助手で体のいい走りだ。

今回は、私の頼みである人に伝言するに言ってあるのだが・・・・。

彼女はデジカメを正面に構えたまま、目の前の男性を追跡する。

目の前の男性とは、ダウンジャケットを羽織った無精ひげのおっさんである。

彼の名前は斉藤 一、30歳。職業は警察官。

「趣味は特になし。」(知っていたら教えて欲しい。)

「特技は人をいじめること?」(これが本人に知れたらえらいことになる。特に私が。)

「好きな食べ物はカップラーメン。」

(私が知る唯一の彼の個人情報だ。大切に活用したい。)

「性癖はトップシ―クッレト。」(超優先重要事項。のどから手が出るほど知りたい。)

ぶつぶつと、そんなことを呟いている。

要するに彼女は目の前を歩いている男性のストーカーなのだった。

彼のどこがいいなんて知りもしないが。

彼女の趣味は異常なので知りたいとも思わない。

手にしているデジカメのピントを彼に合わせている。

どうせ、かなりアップにしているのだろう。

そんな彼女の奇行を知ってかしらずか、

 彼は、「そうか、もう春なのか。」

なんて鼻をいじりながら呟いている。

季節の変わりように無頓着な一でさえ感じるものが有ったらしい。

だが、彼の性格を知っている道楽は、

「どうせ、今年の杉花粉はどれぐらい飛ぶかなんて考えているんでしょう。

あのひとが、季節の変わり目に趣を感じるなんてありえないです。

本当につまらない男ですよ。

だが、そこがいい!」

誰が聞いても引くようなことを呟きながら、

ガシっと

自分の肩を抱いて余韻に浸る変態がそこにはいた。

私も聞いていて軽く引いた。

「ん?誰か俺の悪口言ったか?」

軽く後ろを振り返る一、だが後ろにはそれらしき人物は・・・・いた。

電柱の影から見覚えのある茶髪がはみ出ている。

朝からランニングをするダイエット目的の女性達の中に

入るには少しばかしやせすぎた体と

健康に気を使って走りこみをしている男性達の中に

入るには不釣合いな若さを持つ女子高校生が。

ある意味、いつもと変わらない光景が広がっていた。

「おかしなこともあったものだ。」  

首をかしげながら再び歩き出す。

今の声で諦めてくれることを信じて。

だが、今の考えは杞憂に終わる。

「ふー、あぶない、あぶない。

電柱の影に隠れていてよかった。

なんて、感の鋭い人だ。まったく。」

彼女はついていく気満々だった。

彼と彼女が今向かっているのは、自分の家から5分歩いたところにある彼の職場。

華やかな銀座に不釣合いなぼろいビル。

どこからどうみても、ただの廃ビルにしか見えない、

地価の高い都会に廃墟なんて存在しないはずなのに。

巷では幽霊が出るとの噂だ。

彼女はデジカメに向けてしゃべりかける。 

「なぜ警察官である彼の職場がおんぼろビルにあるのかはおいおい説明するとして、

とりあえずデジカメを回しながらつけていってみようと思う。」

「この、天道 道楽 様がっ!!」

そう呟きながら、ひょっこりと電柱の影から顔を出す。

すると、目の前には見覚えのある男性の顔があった。

彼は彼女のストーキングにうんざりしたのだろう。

直接、注意しに来たに違いない。

彼女は心の中で「私の完璧な尾行がばれるなんて!」

なんて考えているだろうが、ばれて当たり前だ。

自分の歩幅に合わせて移動する奴が居ればたとえ離れていても

靴音で把握できる。

後をつけるのなら、私のように相手の歩調とずらして歩かないといけない。

もちろん、それなりの技術が必要ではあるが。

彼女は、満面の笑みで

「あっ、おはようございます。一さん。今日もいい天気ですね。」

なんて、挨拶していた。

「ああ、そうだなって、おい!」

ものすごく、逆効果だったようだ。

ばしんと人を殴ったときに発せられる快音が彼女の頭から弾ける。

彼女が痛がっている前で、一は終始あきれた顔をしてたたずんでいた。

この状況に慣れているご様子だった。

道楽のストーキングは、ある意味一とって日常と化しているようで、

野次馬の対処も実に手馴れたものだった。

周りではなんだ、なんだ、と野次馬が集まりかけていたが

それらを、いつものように、追い払うような手の動きと

「見世物じゃない、早く散れ。」

という一喝で追い払っている。

彼女は手に持っていでデジカメで頭をさすりながら。

「いったー。うら若き美少女に何をしているんですか!もう!」

「いや、美少女もうら若きも余計だろ。お前そんな美人じゃないし、

 うら若くもないし。」

「だから、好き勝手殴っていいというわけだ。」

もう一度、彼女の頭を殴る一。

小気味のいい「バシン」という音が周りに響く。

「この鬼畜!」

一応、彼女の名誉のために言っておくと、彼女は今年で18歳である。

そして、結構な美人である。

彼女の本名は天道 道楽

まさに遊ぶために生まれてきた、そんな奴だ。

髪は茶髪で腰まで伸びたロングヘアー、服装は、学校の制服を着ていて、

超短いミニスカとサングラスが彼女らしさを出している。

恵まれたプロポーションと小顔が特徴で、

すらりと伸びた足はどんな男も鼻を伸ばしてしまうこと請け合いだ。

ただ、とても残念な性格をしているのは、しかたがない。

天は二物を与えないのだ。

でも、外見は素敵だからウィンクしながら、

手で拳銃を作り、「バーン」とでも言えばたいていの男は落ちる。

もっとも、目の前の男を除いてだが・・・

「わーん。無精ひげの中年親父がいじめるよ~。」

周りを通り過ぎる人たちが不審そうに見つめる中、

リアルに泣き始めた道楽を無視して勝手に話しかける一。

容赦がない、周りから鬼畜といわれるだけある。

「で?お前は何で俺をこそこそつけてきたんだ?

理由がないままつけてきたならストーカーで捕まえるぞ。」

じゃらり、と着ていたダウンジャケットからおもむろに手錠を取り出す。

自分の知人でも犯罪者となれば即逮捕。

かなりの冷血漢といえるだろう。

「別にこそこそなんてしていませんよ!正々堂々付け回していたのです。」

両手を腰に当て仁王立ちで、泣きながら答える。

彼女はそれが犯罪であることに気づいていないようだった

「そうか、進んで捕まりたいとはいい度胸だ。そら、両手を出せ。」

手に持っていた手錠を道楽の両手につけようとする。

基本、この男に冗談は通じない。

そんな一の目が本気であることを悟った道楽は直ちに泣くのを止め、

「冗談ですよ~。本気にしないでください。」

えへへと笑いながら二歩、後ろに下がる。

「それに、私には理由があって一さんを付けたのです。」

道楽は意味深な顔をして少しためてからこう言った。

やはり仁王立ちだ。

「一さんのプライベートを探・・・手錠はやめてください!」

「話しは署で聞くから、な?」

「拘束プレイは好きではありません!」

もうすでに、手錠は道楽の手をつかんで逃がさない。

とことん冗談の通じない男である。

「違います!三分の一冗談です。他にも目的があるんです。」

「現時刻7;45現行犯逮捕。」

完全に道楽をシカトして腕時計を見る一。

「王木先生からの伝言をことづかって来たのです。」

一の体がピクリ、と反応する。

「王木から伝言?

あのいかれた探偵から?」

いかれたとは何だ!しっけいな!

ちょっとばかし人と考え方が違うだけだ。

そんなこと言うのなら、捜査に協力してあげないぞ?

本人が聞いているとは露も知らず。

会話を続ける二人。

「お前はいつから、王木の伝書鳩になったんだ?」

「一さんが王木先生に電話番号とメアドを教えないからですよ。

ちゃんとお使いできたからこずかいください。体での報酬も可。」

「俺はいつから、お前のパパになったんだ?」

「じゃあ、せめて電話番号とメアド教えてください。

王木先生に高値で売りつけますから。それから自分も活用しますから。」

「おまえとあいつに個人情報知られるぐらいなら、携帯電話ここでへし折るわ。」

え~~と道楽が落胆している。

軽く私もショックだった。

私が見る限り、一は戦慄している。

たぶん、

(あいつからの伝言だと?

いやな予感しかしないのだが。

聞かずに逃げるか。

いや、そんなことをすれば後でもっとひどい目にあいそうだ。

仕方ない、聞いておこう・・・・。)

みたいな回想をしているに違いない。

私は彼にかなり怖がられているみたいだから。

一は苦い顔をしながら、

「内容は?」

と、ぶっきらぼうに問い返した。

「はい!「ひまなので、人生ゲーム持参で事務所に来てください。」だそうです。」

一はそのとき、「うん、聞かなかったほうが良かった。」と思った。

「お、俺は、忙しいんだ!

お前と人生ゲームするような暇はないとちゃんと伝えておけ!」

私は今の言葉が信じられなかった。

小声で「なん・・・だと?」なんて呟いてしまった。

私からの遊びの誘いを断るなんて、

まだしつけが足りなかったようだ。

一は、どこからか来る殺気にビクッとした。

背筋に冷水を流し込まれたような感覚。

もしや、

あいつここにいるのでは・・・。

だが、あたりを見渡してもそれらしき人物は見えなかった。

鬼畜な一もこのときばかりは冷静で居られない。

ガクブルだ。

「あと、こんなこともことづかっています。

「来なかったら、お前の人生を振り出しに戻すぞ。」

って。いやー。どういう意味でしょうね。一さん。」

ニマニマ笑いながらそんなことを言う道楽。

あれ?私はそんなこと言ってないはず。

まぁ、来ても来なくても振り出しに戻すのは

やぶさかではないのだけどね。(怒)

さて、と事務所に帰ってきつい罰ゲームでも考えておこうかな。 

「クっクっク」と不吉に笑い、長い黒髪を揺らしながら、

王木本人がそばを離れたことはやっぱり一は露も知らないことだった。

道楽の言葉に頭を抱える一。

「・・・・・・」

どっちにしても振り出しに戻らなければならないことは決定しまったようだ。

この状況を打破する名案を考えようとしたが、3秒で諦めた。 

一は「これが死亡フラグというものか。」と、この時点で完全に。

今からでも、走馬灯が流れそうな勢いだ。

「短い人生だったなぁ・・・」

軽く自分の人生について振り返ってみたが、

特にいいこともなかった。

なんというか、あんな奴に出会ってしまったこと自体が不運だ。

どうしようかな、まじで。

深く考え込んでしまった一を見て、

道楽はクスクスと笑いながらこう言った。

「大丈夫ですよ、ゲームをしている最中に死ぬことはありませんから。きっと(笑)」

(それってつまり、・・・

ゲームが終った後は死ぬ可能性があるってことじゃ・・。)

そんな風に回想はしたが、道楽に言う勇気はなかった。

もし、「確実に死ぬでしょうね(笑)」なんて言われたら、

その場で、心が折れてしまう。

確かにあいつなら、ゲームに負けたら罰ゲームを食らわすだろうし、

万が一、勝ってしまったら八つ当たりで俺を殺しかねない。

この上ない、八方塞だった。

「なぁ、道楽。お前はあいつの自称助手だろう?

俺がひどい目に遭わないよう、取り計らってくれよ。」

道楽にだめもとで助けを求めてみた、

「自分と結婚してくれるなら、考えないでもないですよ?」

「断固拒否する。」

一は心底いやな顔をした。

さすがにそれはない。

こいつと結婚するぐらいなら、チンパンジーと結婚する。

「む~~。人がせっかく善意で助けてあげようと思ったのに。」

「まぁ、いいや。心配しなくてもあなたの死に際は、

このカメラでちゃんと録画してあげますから。

そうだ、録画したら遺族に送って差し上げましょう!」

自慢げにカメラを構えてそう言った。

目がきらきらと輝いている。

「・・・・・・・」

前言撤回、こいつに助けを求めた俺が馬鹿だった。

こいつは、人が殺されるのを撮影するのが好きな、

いかれた高校生であることをすっかり忘れていた。

「俺の周りには何でこんないかれた奴しか居ないんだ・・・。」

自分で自分をけなす一。

隣では、「こんなイカレたってなんですか!」なんて騒いでいる。

どう罷り間違えたらこんな人生を送る羽目になるのだろう。

俺はただ、平凡な警察官になりたかっただけなのに!

と、今からでは絶対実現できないうわごとを考えてみたりする。

彼自身気づいていることだが、彼は不運すぎたのだ。

何に対しても、どんなことでも。

まさに、双六でいつも振り出しに戻り、

サイコロが一の目しか出ないという人生を送ってきたのだった。

常に間違え続ける人生。

すべての選択が、選んだとたんに最悪な結果を導き出す。

ぶっちゃけると、そのときで一番に最悪なことがおき続けるということだ。

警官になったのは良いが、

3年も経たない内に殺人鬼抹消課なんて警察の暗部に

放り込まれたことからも頷ける。

説明すると、殺人鬼抹消課というのは本当の殺人事件を担当する課だ。

この日本では、実は一日に何十万もの殺人が起きる。

それも飛び切りヘビーな殺しが。

部屋の真ん中に人間10人分の

人肉ハンバーグが転がっていることなんて日常茶飯事だ。

それに、学校や会社丸ごと皆殺しも珍しくない。

そもそも、「殺人鬼が100人に一人含まれている」みたいな統計が出ている。

一般市民は自分の身の回りに殺人鬼がころがって居るなんて考えたこともないだろうが、

ご近所で、朝の挨拶をする人の中にも鬼は紛れ込んでいるのだ。

国が定める殺人鬼の定義では、

「抑止しなければ一人で数百人を殺しかねない人物」となっている。

そうなると、いつ殺されてもおかしくない。

意外なことに交通事故で死ぬ確率よりも、

殺人鬼に殺される確率のほうが、圧倒的に高いのだ。

ひとえに、少子化が進むのも子供殺しの殺人鬼が圧倒的に多いからで、

現在、日本の人口ピラミッドはほとんど逆三角形になっている。

国はそれを女性の社会進出が原因だと決め付けているがそんなことはない。

学校ごと鏖殺されるような事件がしょっちゅう起こっているからだ。

その場合7割近くが教師の犯行で、

職員室の職員をすべてミンチにしてから、子供たちを殺すことが多い。

なぜなら、誰が死んだか確認できないため

どの職員が犯行に及んだかわからない。

外から進入してきたか殺人鬼かもしれない。

ミンチだから、男か女かもわからないし、老けているか若いかも判別できない。

何人殺されたかも区別できないことがある。

捜査のかく乱なんて目じゃない、完全に手詰まりである。

犯人はたっぷりと殺しを楽しんだ後、

着替えてゆうゆうと学校を出ればいいだけなのだ。

その後の人生は、偽名を使って暮らすもよし。

外国で暮らすのもいいかもしれない。

はたまた、同じことを繰り返そうとする強者(ツワモノ)も居る

ようは、日本は飛びっきりに危険、ということ。

そんな奴らが、つかまらずに居るのだから当然だ。

それを外国に知られてはまずいし、住民に知られるのはもっとまずいのだ。

だからひた隠しにする。

情報を国が完全に管理して、それらのブラックなことを抹消する。

殺人鬼抹消課が文字どうり鬼を抹消する。

犯人を捕まえるのではなくこの世から消す。

実質やっていることは、鬼と変わらないが、しかたない。

殺らなければ殺られる。

それがこの世のすべてだ。

このような体制は自分が生まれる前から存在しているらしい。

俺が生まれたのが、スカイツリー取り壊しの年だから、

ざっと観て、2090年ぐらいから、だろうか。

なぜ、世界一安全な国といわれていた日本が殺人鬼大国になったかはわからない。

上層部は何か知っているようだが、

自分のような末端が知ることはおそらく無いだろう。

ニュースで放送される内容はほとんどでたらめですべて国が脚本した内容だ。

それ以外にも、知らせていい内容と知らしてはいけない情報を選別している。

たいてい、ニュースで紹介する殺人事件は桜だ。

国が、無作為に選び、脚本通りに動いてくれるなら、

税金で一生養ってあげようなんて声をかける。

すると、日本国民のほとんどは二つ返事で引き受けてしまう。

「一生働かないでいいなんて、ラッキー!」としか考えていない。

たしかに、養ってくれるだろう、天国か地獄で。

こんな感じで、国が殺人を肯定しているのだから、鬼だらけになるのも当然だとも思う。

だから最近のニュースで悪役を演じるのは、

ニートだったりオタクだったりするのだ。

安易な、うまい話にすぐ乗ってしまう。

彼らは、国だけは自分たちを裏切らないそんな風に考えている。

弱者は強者のためにあるというのに。

まったく馬鹿な奴らだ。


一が深く考えていると

「そんなところで、考え込でますけどいいんですかぁ?

もうかなり出勤時間遅れていますけど。あーあ、女帝に怒られるぅ。」

道楽が口笛を吹きながらそう言った。

だが、その事実に気づいた今となってはもうどうでもいいことだった。

ここで会話していたのは、ほんの10分か15分だが、

廃墟ビルに入った後の移動時間を考えるとたしかに遅刻しそうな雰囲気だった。

「っつ、くそ!」

廃墟ビルに向かって全力疾走する中年、まったく絵にならないとはこのことだ。

「やーい、やーい。ざまぁみろ、うら若き美少女をいじめた天罰だ。」

大声で一の背に向けて罵倒する道楽。

「というか、手錠外してくださいよ!

これじゃあ学校行けないじゃないですか!」

両手を挙げて手錠をガチャガチャと鳴らしている。

「うるせぇ、俺はそれどころじゃないんだよ!」

皇居を走るランナーの波に逆らいながら、

廃墟ビルに向かって走る一。

「一応言っておくが・・・・。」

道楽の言葉に何か感じたのか立ち止まり、振り返る一。

そして、道楽にも負けないほどの大声で、

「おまえはー、美少女でもうら若くもないだろうが、

美少女を馬鹿にするな!」

と言い返した。

「自分っていったい・・・。」 

がーん。と聞こえてきそうなぐらい落ち込む道楽。

周りを走るランナー達はびっくりして一の周りを避けて走る。

繰り返すが、道楽は18歳で、美少女である。

ただ、一には関係のないことだった。

そして、ダウンジャケットを風に靡かせながら、

廃墟ビルの中に勢いよく飛び込んだ。

これが、不運な朝の始まりだった。


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