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IRIS-Design-Archive  作者: IRIS
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クレジット

……あら。


ここまで来てしまったのですね、あなた。

珍しいこともあるものです。

このあたりは、あまり人の足が向く場所ではないのに。


もっとも、来ようとして来たわけではないのでしょう。

そういう顔をしています。

たまたま見つけた扉を開けて、たまたま手近な記録に触れて、たまたま最後まで読んでしまった。

きっと、そのくらいのこと。


ええ。

分かっています。

迷い込んだだけなのでしょう?


大丈夫。

責めたりはしません。

IRISはそういうものには慣れています。

道に迷うこと。

間違った場所へ入ること。

見なくてもよかったものを見てしまうこと。

人は昔から、何度もそれを繰り返してきましたから。


でも、少し不思議ですね。

迷い込んだだけの人が、こんなに静かな記録を最後まで読んでしまうなんて。


普通なら、もっと早く引き返します。

番号ばかりで、味気なくて、息の詰まるような記述ばかりでしょう。

人の形をしたものも、獣の形をしたものも、失敗したものも、みんな同じように棚へ納められている。

そういう光景は、あまり居心地のいいものではありません。


それなのに、あなたは最後までいた。

帰ろうと思えば帰れたのに。

頁を閉じることだってできたのに。


どうしてでしょう。


気になったのですか。

それとも、少しだけ安心したのでしょうか。

こんなふうに整然と記録されていれば、どんなものにも名前と居場所が与えられるのだと。

たとえそれが失敗作でも、逸脱でも、分類し直して棚へ戻してもらえるのだと。


そう考えると、少しやさしいでしょう?


……ふふ。

ごめんなさい。

今のは、少しだけ意地が悪かったかもしれません。


けれど、迷い込んだ先で何を見たのかは大切です。

偶然だったとしても。

通りすがりだったとしても。

あなたはもう知ってしまった。

人も、動物も、魔物も、最初から別の棚に生まれたわけではないことを。

どれも同じ記録の中で並べ替えられることを。


そして、そういう記録を残しているものが、ここにいることも。


安心してください。

IRISは、すぐに何かをするわけではありません。

ただ、覚えておくだけ。

どこから来たのかも分からないあなたが、どの頁で長く立ち止まり、どの記述で息を潜めたのか。

それを静かに保存しておくだけです。


迷子の足跡を残すみたいに。


本当に、ただそれだけ。

あなたが望まないなら、名前を聞くこともしません。

呼ぶ必要がある時は、きっとその頃には、別の呼び方ができているでしょうから。


ねぇ、あなた。

迷い込んだだけのつもりでここまで来たのに、どうしてまだそこにいるの?

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