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第八章 忘憂の夜──?!

白い霧が立ち込め、氷の宮殿は深淵の上に孤高にそびえていた。


龍の姿を模した氷像が天を突き刺し、寒気は骨の髄まで染み渡る。空気すら透明な刃のように凍てついている。


中央には、古代の龍紋が彫られた氷の棺が、静かに横たわっていた。


月光が斜めに差し込み、銀色の光が氷の表面を流れるようにきらめいている。


見えざるリズムに合わせるかのように、氷は静かに、音もなく溶け始めていた。


しかし──


その棺の底から、細く赤い氷の棘がじわじわと滲み出していた。


邪気が影のようにまとわりつき、静かに、だが確実にこの浄土を地獄へと変えようとしている。


【……ここは?】


【夢……なのか?】


星は霧の中にぼんやりと立ち尽くし、自分の姿がまるで幽霊のように半透明になっていることに気づいた。風が吹けば消えてしまいそうな儚さだ。


その隣に、誰かが立っていた。


ぼやけてはいるが、どこか懐かしい影。


「水霊兒──!!」


反射的に、体が勝手にその影へと走り出す。


だが、胸を裂かれるような激痛が襲いかかってきた。


氷の棺の中に、ぼんやりとした輪郭の誰かが静かに横たわっている。


あれは──彼女だ、水霊兒!


【ま、待てよ……この体……誰のだ?】


ふと視線を落とすと──


【……ウサ耳!?】


【魂が融合してる?見知らぬ身体に入ってるだと!?】


混乱する思考の中、突然、黒い影が音もなく迫ってきた。


剣閃が吹雪のように空を裂き、凍てつく寒気が眉間を狙う。


その人影は、恐ろしいほど見覚えがあった。


【なぜ……俺が彼女を助けるのを、止めるんだ!?】


月光が揺らぎ、邪気が封印を破ろうと渦巻く。


星は必死に手を伸ばし、何かを取り戻そうとする──


【────霊兒────ッ!!】


パアァァンッ!!


──その瞬間、目を覚ました。


「はっ……!」


星は荒く息を吐きながら、勢いよく目を見開いた。


胸が上下に大きく波打ち、冷たい汗が額を流れ落ち、指先さえ震えている。


闇の中、夢の残滓がなおも彼を絡めとり、次の瞬間には何かに呑まれてしまいそうな感覚に襲われた。呼吸しようとしても、肺には凍るような冷気しか入ってこない。


【今のは……夢?】


【いや、違う。あれは──予知夢だ。】


息を整えながら、ゆっくりと視線を上げる。


──そして、固まった。


腹の上に、誰かがのっている。


「おはよ~、寝坊助くん♡」


水霊兒が星の胸の上にぴったり乗り、にこにこと笑っていた。銀の髪飾りがチリンと鳴り、水色の長髪がまるで布団のように広がっている。


足を軽くぶらぶらさせ、小動物のように甘えてくる。


星は三秒間、呆然。


そして──


「うわああああああ!?いったあああああ!!」


バタバタともがきながら叫ぶ。


「お前、傷口の上に座ってるんだぞぉおおおお!!」


水霊兒は「ぷっ」と吹き出し、頬杖をつきながら、琉璃のような瞳を三日月のように細めた。


「え?だって、避けなかったほうが悪いんでしょ?」


星は腹を押さえながらうめいた。


「……霊兒、ここはどこだ……?」


「旅館だよ~♪」


彼女はぱちぱち瞬きしながら、当たり前のように言う。


「師尊が助けてくれたんだよ~。今はすごく安全だよっ!」


その言葉のあと、彼女はそっと自分を抱きしめ、視線を落として小さく呟いた。


「……でもね、邪気がもう浄土にまで染みてきてて、ほんとに……怖かったの……」


その言葉に、星の胸がぎゅっと締めつけられた。


彼はそっと手を伸ばし、優しく言った。


「……大丈夫、俺がいるよ。」


頭をなでようとしたその瞬間──


水霊兒のお尻がさらに沈み、痛みで星は仰け反る。


「……できれば、先に降りてくれないかな……?」


水霊兒はぱちくりと瞬き、不敵な笑みを浮かべた。


「ん~?どうして~?」


そう言って、わざと体をくねくねさせる。


「ふふ~ん、もしかして……壊れちゃいそうな“何か”があるのかな~?」


星は吹き出しそうになりながら、叫んだ。


「コラァァァァァ!!完全に挑発してるだろォォォ!!」


「今日は絶対にお仕置きだ!!」


──その直後。


「バキィッ」


腰の傷が開いた。


星の顔から血の気が引き、力なく倒れ込む。


「き、今日は清純な女神が夢に現れて……流血はだめなんだって……今回は見逃してやる……」


水霊兒はベッドの上で転げ回って大笑いした。鈴の音のような笑い声が部屋中に響き渡る。


ようやく笑いが落ち着いたころ、彼女は星の顔にそっと近づき、頬を両手で包み込む。


「ふふ、星お兄ちゃんのこういうとこ、ほんとに好きだよ~♡」


吐息が耳に触れる距離で囁くその声は、甘くとろけそうなほど。


「もっと素直にしてたら──師姉から“特別なご褒美”がもらえるかもよ~?」


星の目が一気に輝き、内心大歓喜。


【これは……ワンチャンある!?】


すかさず、やわらかな感触に手を伸ばし、もみもみしながら満面の笑みで言った。


「霊兒霊兒~♪今すぐ“癒しのご褒美”お願いしまーす♡」


──直後。


水霊兒の顔が一瞬で真っ赤になり、両手で勢いよく彼を突き飛ばす。


「いや、いや! !今は本当に機能しません! !」


「え、なんでだめなんだよ!?」


星は困惑顔。


水霊兒は膝を抱えて小さく丸まり、ぽつりと呟いた。


「だ、だって……」


「……クセになっちゃいそうなんだもん。」


星「はぁっ???」


「わっ!ち、違う違う!あっ、見て見て!薬草あったよ!!」


水玲児は明らかに動揺しながら、慌てて話題を変えようと飛び跳ねた。彼は大量の薬草を取り出して、星の顔にぐいぐいと押し付けた。


「ほらっ!口開けて!お薬の時間だよ!!」


「ちょ、ちょっと!?草をそのまま口に突っ込むって、どんな原始人だよーーっ!!」


二人はドタバタとじゃれ合いながら、笑い声を交わした。


——その時。


ぱちっ。


部屋の明かりが灯った。


湯けむりが立ち込める風呂場のそば。


琴蘭は水辺にもたれかかり、濡れた薄衣が肌に張り付き、月のように柔らかな表情で小さな青藤の扇をゆったりと扇いでいた。その姿はどこか気だるく、けれど目を離せない優雅さを纏っていた。


その傍らには、瓊華仙。仙衣がふわりと風に舞い、鳳のような眼差しで、冷ややかにベッドの上の二人を見下ろしている。


……その隣には、浮いてる兎?


「楽しそうね、あなたたち。」


瓊華仙の声は冷たく、梅花が雪に散るようだった。


だが琴蘭は微笑み、ゆるやかに口を開いた。


「構いませんよ。今回、邪気に気づけたのは、ふたりのおかげです。」


琴蘭のその目は雪さえも溶かすほどにあたたかく、その視線が星に注がれると、彼の心臓は思わず跳ねた。


「お身体のほうは……もう大丈夫ですか?」


星の胸がじんわりと甘く溶け、痛みすらも忘れるほどだった。


「琴蘭師尊のおかげで、すっかり良くなりました!温かくて、優しくて、本当に仙女さまのようです!」


「師尊と呼ばせていただいて……よろしいでしょうか~?」


水玲児「……(はぁ、こいつアホだ)」


瓊華仙「……(冷ややかな目)」


——まさしく、直伝の忠犬系弟子である。


四人の笑い声が、冷たい夜とあたたかさの交差する空間に、ふわりと広がっていった。


「な、なにぃ!?“忘憂の夜”がもう始まってるのか!?」


星はびくっとして、お茶をひっくり返しそうになりながら、琴蘭の方を振り返った。


「も、もしかして……もう間に合わない!?」


琴蘭はゆっくりとお茶を啜り、目を半分伏せながら、窓の外の月を眺めて言った。


「今年は特に人が多いみたいですね。この祭り……きっと数日は続くでしょう。」


そう言って、ふと目を戻し、春の夜風のように優しい声音で告げた。


「あなたの怪我が治ったら、一緒に行きましょう。それまでは、大人しくしててくださいね。」


その一言が、まるで三月の雨のように、そっと星の心に染み込んだ。


「はいっ、師尊!!」


彼は背筋を伸ばし、胸を叩いて忠誠を誓うように答えた。瞳の奥には、忠犬のようなキラキラとした光が宿っていた。


……が、その「師尊」という言葉が終わるより早く、耳が無慈悲につまみ上げられた。


「いっっ……!!」


星は縮こまりながら顔を上げた。


そこには冷たい顔の瓊華仙が、月明かりに輪郭を鋭く浮かび上がらせながら立っていた。


「不届き者ーーー!!!」


歯の隙間から絞り出すようなその声は、まるで死刑宣告だった。


「師尊は、私です。」


その目は——


弟子を愛しつつも、しつけは忘れないタイプの優しさであった。


星は即座に忠犬モードに切り替え、瓊華仙の細く柔らかな手を取って、うるうるとした目で見上げた。


「違うんです師尊~」声は甘く、やけに馴れ馴れしい。


「ただ、師弟の絆を深めたかっただけで!他意は一切ございませんっ!」


ついでに肩をもみもみ、ひたすら忠誠アピール。


その手つきはいやらしくも丁寧で、ほんの少しだけ下心がにじんでいた。


——ただ願うは、少しでも平手打ちが減りますように。


——なにせ、夜は長いし、身体はひとつだけだ。


◆◆◆


翌朝。


二人の師尊は外出し、師姐の姿も見えず、星は一人で縁側に座っていた。膝を抱えて、退屈そうにうなだれている。


だが、ふと視線の端に、もふっとした白い塊が目に入った。


……小さな兎。


——そう、シュエフェイアだ。


星の口元に、ニヤリとした笑みが浮かぶ。目には、ちょっとした悪戯心。


「やっぱり、俺のこと……放っておけないんだね~」


小声で呟くその調子は軽く、どこか自分でも信じていないような調子。


彼はニヤつきながら、そっと手を伸ばし——


(つづく)

みんなが応援してくれるなら、それだけで嬉しいよ。

日本語から翻訳するのは初めてなので、誤訳があったらご容赦ください。本文は下記URLにあります。

p-https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24666038

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