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第四章 師匠じゃないのか?!

「てめぇ、また来たのかーーっ!!」


シンは拳を握りしめ、歯ぎしりしながら叫んだ。


「師匠!あんたってばこの“老いぼれキツネ”!ほんと飽きないよな!?また俺を罠にはめるつもりか!?はっ、甘いぜ!」


その表情はまるで“俗世を見切った男”のように冷笑を浮かべつつ、心の中では二人の小人が激しく言い争っていた。


理性:「やめろっ!畜生め!そこは聖域だぞ!?聖域っっ!!」


本能:「もうちょっと近づけ……人生の絶頂がすぐ目の前にあるんだあああああ!!」


そして――


ひとりの若き修士が、死を覚悟し、運命の断頭台へと向かった。


「覚悟を決めた目……」


「なのに、紳士的な笑みを浮かべてる……」


星は静かに霧の中に身を潜めた。すると池のほとりには、しなやかな肢体の女性が半身を壁に預けて湯に浸かっていた。髪はゆるく結い上げられ、肩には薄紫の湯浴み布がかかっていて、まるで絵から抜け出た仙女のようだった。


その手には一冊の本。本のページをめくる仕草も優雅で、冷たさと怠惰が同居するその姿に見惚れるばかり。


「師匠……読書中だと……?!」


星は一気に血圧が天元突破、心臓が核爆発を起こす勢いだった。


――これは福利ではない、処刑だ!


だが!


ここまで来た以上、もう清純ぶるのはやめだ!


勢いよく飛びかかり、そのまま抱きしめた――潔い行動!


手のひらに伝わるのは、すべすべで温かく、しっとりとした弾力――


「へへへ、師匠~~今度こそ俺の勝ちだなっ!?」


星は飴を盗み食いした子どものような笑みを浮かべ、ビンタを食らう覚悟はすでにできていた。


その時、耳元にふわりと聞こえてきたのは――


全く知らない、優しく穏やかな女性の声だった。


「スイリン?帰ってきたの?」


――ドボン。


!!!!!!!!!!!


辺りは水を打ったように静まり返った。


星の頭が一瞬で真っ白になる。「……誰、だ……?」


次の瞬間、彼の身体は石像のように硬直し、心臓の鼓動が完全に止まった。


水滴が彼の体を伝い、霧の谷へ落ちていく。その震えが彼の心を揺さぶった。


「スイリン、こっち来て、一緒に泳ごう?」


――姑?!師匠の親友!?伝説の――超絶美女!!


冷や汗が額から噴き出し、口元がピクピクと痙攣。


内心では遺書の構成を爆速で書き始めていた。


その時、琴蘭キンランという名の女性がわずかに眉をひそめ、振り返ろうとした。


星は魂が飛び出るほど驚き、とっさにその肩を押さえた――!


「ん……?」


琴蘭は軽くうめき、スイリンが邪魔をしないように肩を押さえただけだと思い、そのまま読書を続けた。


それを見た星はすぐに頭を切り替え、心の中で叫んだ。


――今のうちだ!!今すぐ逃げろ!!!


手を引こうとしたその瞬間、しかし――


手が……動かない!!


なっ……!?


こ、これは!?なんてこった!!!


「重力」が突然こんなに強くなることある!?


まさか……長年の禁欲による“後遺症”!?


手がまるで意思を持ったかのように言うことを聞かない――恐ろしすぎるぅぅぅ!!


ダメだ!


死にたくない!!


まだ若くしてやりたいことが山ほどあるんだ!!こんなところで死ねるかああああ!!!


心ではそう思いつつ、手のひらはますます積極的になっていく。


肩から――


腰へ――


そして…………


…………


「手首……?」


…………


「あと十秒……あと十秒だけで、絶対に離れるから!!」


――三時間後。


「……今度こそ最後の十秒!」


「さっきここ、まだ揉み足りなかった!!」


「これで左右非対称になったらどうする!?俺は見捨てられないんだあああああ!!」


口では言い訳しつつ、手の動きはどんどん熱を帯びていく。


涙すらこぼれそうだった。嬉し泣きか、それとも悲しみの涙かは分からない。


そのとき、奇跡が――


「コンコンコン!」


扉の向こうから軽やかな音が響く。


「姑~?ただいま~!」


ドボンッ!


……………


琴蘭の手から本が水中に落ちた。


二人は石像のように固まり、呼吸すら控えるように。


………………


琴蘭は静かに立ち上がった。濡れた浴衣がその完璧な肢体に張りついている。


手は胸元の襟をしっかりと握りしめていた。


深呼吸を一つし、静かに振り返った。


星が見上げると――


超絶美人が、そこにいた。


四つの瞳が交わる。


なんとも言えない、気まずい空気が流れる。


「さっきまで、思いっきり触っちゃってたのに……」


……浴衣?


…………


お互いに、どちらが先に口を開くかを探っている。


――星は内心で血を三リットル吐いた。


「この景色……」


「命がけで見る価値があるわあああああ!!」


「でも命がなきゃ見られないだろぉぉぉ!!」


外ではスイリンがまだ扉をノックしていた。


「師匠~?いるの?早く開けてよ~」


琴蘭が再び振り返ろうとしたその一瞬――


星はチャンスを逃さず、瞬時に収納戒指から大量の逃走符を取り出し、


稲妻のような速さで――!


ドン!ドン!ドン!ドン!


壁を破り、空間を裂き、後庭の森へと逃げ出した!


背後には、人型の大穴がぽっかりと残った。


スイリンが扉を開け、中の光景に愕然とする。


「師匠!?何があったの!?」


琴蘭は目を細め、いつも通りの微笑みを浮かべながら答える。


「何でもないわよ。さっきね、久しぶりにあなたの小師弟が来たのよ。ちょうど一緒にお風呂入ってお話でもしようかと思ったのに……急に用事があるって、出て行ったの。」


スイリンは目の前の人間サイズの壁の穴を呆然と見つめた。


「……どんだけ急だったのよ?」


数里離れた森の中。


星は地面に倒れこみ、ゼエゼエと息を荒げながら呟いた。


「ふぅ……身法に優れてて助かった。あそこで死んでたら笑えねえ……」


もしさっきの会話を本人が聞いていたら、確実に血を吐いていたことだろう。


まだ息も整わぬその時――不吉な予感が突如として襲ってきた。


「うわああああああ!!」


突風が吹き荒れ、山が崩れ、地鳴りと爆音が辺り一面に響き渡る。


星は爆風に吹き飛ばされ、視界が真っ暗になったまま気絶した。


しばらくして、目を薄く開けると、鼻先に甘い香りが。


目の前には、微笑む少女の顔があった。


「――スイリンだ。」


なんと、今の星は彼女の膝の上に枕していたのだ。


「ふふっ~あなたが私の小師弟くんね?けっこうイケメン~」


星は顔面蒼白、虚ろな目に生還者の儚さを浮かべ、下からはしなやかで柔らかな感触が伝わってくる。


「お前……師姉?」


「うふふ、私はあなたの七番目の師姉、水靈スイリンだよ。大丈夫?怪我してない?」


彼女は優しく彼の頬を撫でた。その声は甘く、心地よかった。


星は感涙し、彼女の腰にしがみつきながら泣き叫ぶ。


「うう……ありがとう、師姉……助けてくれて……もしあんたがいなかったら、今頃俺なんて跡形もなく吹っ飛んでた……!」


水靈は少し目を逸らしながら、咳払いして誤魔化した。


「こ、こんな話はもういいでしょ!さあ、帰るわよ~」


彼女は星を助け起こし、二人で飛剣に乗る。


飛剣は夜空をゆっくりと舞い上がり、二人は月光の下、風に揺られながら浮かんでいた。


星が見下ろすと、さっきまで青々としていた森がすでに廃墟と化し、山は崩れ、黒煙が立ち上っていた。


「ちょっと神聖な場所に触れただけで、いきなり隕石で処刑はないだろ……!?俺、完全に無実なんだぞっ!!」


夜風が優しく吹く中、水靈の銀髪が星の頬に触れる。その冷たい香りに、星は思わず横顔を向けた。


この瞬間、風が揺れたのか、心が揺れたのか。


二人は空を飛びながら、他愛ない会話を交わす。


水靈は幼い頃に記憶を失い、師匠に拾われ、剣術を学び始めたのだという。だが本命の霊剣を持っていないため、縁を探すために下山していたらしい。


話を聞いた星は、興味津々で尋ねる。


「じゃあ、師姉の修為って、今は……?」


水靈は少し考え、答えた。


「私はね、“七品”の水の蓮台。水の道とは、生まれつき相性がいいの。」


そして、星を上から下までじっくりと見て、


「でも、あなたって……修為ゼロっぽいわね?むしろ虚弱体質?」

みんなが応援してくれるなら、それだけで嬉しいよ。

日本語から翻訳するのは初めてなので、誤訳があったらご容赦ください。本文は下記URLにあります。

p-https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24666038

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