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第12章 忘憂の夜?!

——忘憂の夜の晩


三人と一匹のウサギは並んで、威厳ある華麗な建物へと向かって歩いていた。


星はふと顔を上げ、その壮大な殿堂を見上げると、まるで夜空から星の結晶が削り出されたような美しい輪郭が光り輝いているのが見えた。それはまるで童話の王城のようで、幻想的な輝きを放っていた。


重い、静かな扉を押し開けると、彼らは「忘憂の海」と呼ばれる奇妙な境地に足を踏み入れた。


高い空から降り注ぐ柔らかな光が、まるで星の宝石が降り注ぐように輝いていた。


無数の細かな光の粒が「星の涙」のように、ゆっくりと天を横切り、地平線の向こうで消えていった。


足元には、微かな光を放つ透明な地面が広がり、一歩踏み入れると、まるで広大な星海に身を置いているかのような感覚に包まれる。周囲には静寂と光のみが広がっていた。


琴蘭姫は銀光の中で足を止め、下を向いてゆっくりと流れる銀海を見つめた。


一粒一粒の星がゆっくりと落ちていき、誰かの涙のように、静かに海面に滴り落ち、細かな波紋が広がっていった。


水靈兒は軽くしゃがみ込み、手を伸ばしてその銀海に触れようとしたが、何も触れなかった。ただ、冷たい息が指先を通り抜け、心の奥底にまで染み込んできた。


彼女は目をぱちぱちと瞬き、低い声でつぶやいた。「まるで…本当に夢の中に入ったみたい。」


雪菲婭は後ろに立ったまま、下を向いて黙っていた。長いまつげがわずかに震え、心の湖が静かに揺れ動くようだった。


「……ここは、記憶を封印できる場所なのですか?」


琴蘭姫の声は柔らかく、まるで朝霧の中で微かに響く琴の音のようだった。


——「降り落ちる一粒一粒の光、それは戻ることのできない過去のひととき。」——


彼女は細い指を伸ばし、ゆっくりと落ちていく一粒の星を指差した。


その光は重たく、長い弧を描いて静かに銀海に沈んでいった。


周囲はただ心拍の音だけが響く静寂に包まれた。


彼らはゆっくりと歩を進め、銀光に照らされて淡い影が地面に映し出された。


突然、星の目が遠くの一抹の紅に引き寄せられた——


銀海の端に、紅い長衣をまとった少年が静かに立ち、手のひらに微かな光を放つ紅玉を抱えていた。


少年は目を閉じ、静かな表情で、まるで消えぬ誓いを守っているかのように見えた。


水靈兒は琴蘭姫の耳元に近づき、小声で尋ねた。「あれは……無限花閣の人ですか?」


琴蘭姫は月のように淡い表情で、軽くうなずいた。「うん。おそらく、未練を封印しに来たのでしょう。」


星はその紅衣の少年を見つめ、心に微かな動きが走った。


彼はしばらくためらった後、低い声で琴蘭姫に尋ねた。「……無限花閣って、どんな場所ですか?」


琴蘭姫は目を伏せ、指先で軽く琴の弦を撫でながら、穏やかな声で答えた。


「それは紅の浄土にある、愛と勇気を求める街。」


「運命が交錯する場所。愛と花火が舞う迷宮のような街。」


星はその言葉を聞いて、ますます混乱したが、同時にどこか心にざわめきを感じて、軽く尋ね返した。「運命が交錯……?」


琴蘭姫は静かに笑い、風が松の枝を通り過ぎるような、淡い韻を含んだ声で言った。


「人は生まれたときから、見えない糸で結ばれている。」


「深い糸で結ばれた魂は、より多くの出会いを果たし、遠くへと進むことができる。」


「浅い糸で結ばれた魂は、運命の中でただすれ違うことしかできない。」


彼女は軽く足先を踏み、透明な地面が星の塵の波紋を広げた。


「無限花閣は、まるで流れる夢のような場所。」


「一つ一つの扉の向こうには異なる風景が広がり、迷路のような街。」


「深く結ばれた運命の糸を持つ者だけが、その最深部に辿り着ける。」


彼女は少し間をおいて、銀海の光が映る瞳を見つめながら続けた。


「その最深部には、一つの相思樹がある。」


「もし、愛し合う二人がその相思樹の下に辿り着ければ、誓いを立てることができる——」


——「もし、この世で共に歩む縁がなければ、来世で再び縁を結びますように。」——


その言葉が空気の中で響くと、まるで時間が少しだけ止まったかのように感じられた。


水靈兒は小さなウサギを抱えながら、その顔がほんのり赤くなった。


彼女は無意識に顔をそむけ、星をちらりと見た。その瞳の中には、恥じらいと少しの期待が滲んでいた。


星は静かにその言葉を聞き、心がまるで細い糸で優しく縛られたかのように温かさと少しの切なさが胸に込み上げてきた。


ウサギは首をかしげ、軽く「くー」と鳴いた。


星は突然何かを思い出し、低い声で言った。「……あの紅衣の少年、もしかして……愛人を待っているのか?」


琴蘭姫はただ微笑み、何も言わなかった。


星は深く息を吸い込み、勇気を出して、紅衣の少年に歩み寄った。


水靈兒はウサギを抱え、静かにその後ろをついて行き、まるで好奇心に満ちた小鹿のようだった。


琴蘭姫はその場に立ち、衣がわずかに揺れ、全体が銀海の中に溶け込んでいた。


星はゆっくりと少年に近づいた。


銀海には少年の姿が映り、微かな光が彼の顔を照らしていた。


足音が聞こえると、少年は目を開けた。


その瞳は、まるで消えかけた灯火のように、まだ温かさを残していた。


彼は微笑み、低い声で言った。


「……こんにちは。昨日は見かけなかったけど、新しく来たのかな?」


星は頷き、どう話を切り出すべきか迷っていた。


水靈兒はウサギを抱え、足をそっと上げて小声で尋ねた。「お兄さん、誰を待っているの?」


少年は少し驚いたように見えたが、軽く笑って、胸の中の紅玉を撫でた。


それは涙滴型の宝石で、中には微弱な光と影が封じ込められており、うっすらと見えるようだった。


「僕は……」


彼は静かに言った。「待っているのは…すでにもう現れることのない人だ。」


星の心はわずかに緊張した。


琴蘭は静かに後ろに現れ、軽やかな衣をひるがえしながらも、音を立てずに邪魔をしない。


赤い衣の少年は遥か彼方の銀海を見つめ、目の中に薄い霧が浮かぶ。


「昔、ある女の子と約束をしたんだ。無限花閣の最深部まで一緒に行こうって、相思樹の前で誓いを立てようって…」


「でも、僕たちは離ればなれになってしまった。」


彼は言葉を止め、ある言葉があまりにも重すぎて口に出せないようだった。


ただ、そっと手にした紅玉を抱きしめる。


「これが彼女が僕に残してくれた記憶。」


「これだけ残ったんだ、僕はそれを抱えて、ここに立っている…」


「前に進むことも、後ろに戻ることもできない。」


彼の声はほとんど聞こえないほど低く、夢の中の人を起こさないように気を使うようだった。


「ここに、彼女の気配はまだある、彼女を感じることができる。」


「たとえ一生一緒にいることはできなくても…」


「せめて、この記憶だけはここに残して、風化させないでほしい。」


星は彼の背中をじっと見つめ、胸が締め付けられるような思いに囚われ、息が詰まったように感じた。


水靈兒は小さなウサギを抱きしめ、小さな眉をひそめ、銀海の奥を意味深に見つめている。


銀海は静かに流れ、星の光が優しく輝いて、未完成の誓いに黙祷を捧げているようだった。


しばらくして、蕭楓は視線を戻し、腕に抱いた紅玉を見つめた。


「私はずっとここを守り続ける。」


彼は静かに言った。「僕自身が彼女の名前さえも忘れるまで。」


星は目を伏せ、何も言えなかった。ただ胸が柔らかくも鋭い痛みで締め付けられるような感覚を覚えた。


——この待ち続けることは、苦しみなのか、それとも幸せなのか。


————————————————————————


蕭楓は静かに岸辺に戻り、腕の中の紅玉が星の光の下でかすかに輝いていた。


銀海は無音で、天地は呼吸すらも遅くなったように感じられた。


その時、一筋の清らかで優しい琴の音が静かに響き始めた。


琴蘭はいつの間にか銀海の岸辺に座っており、膝の上には古琴を置いていた。


彼女の指先が静かに弦を触れ、心の中の遠い声を探しているかのようだった。


しばらくして、最初の音符が優しく流れ、朝霧のように重い空気を軽く持ち上げた。


琴の音は優しく遠く、まるで語りかけるように言った。


「記憶は誰かを縛るためではなく、ただ人に思い出させるためにある。かつて愛し、かつて歩んだことを。」


星は静かにその音に耳を傾け、曲の中の世界に浸り、目の端に涙がにじんだ。


その時、温かな小さな手がそっと彼の指先を握った。


星は少し驚き、下を見た。


水靈兒だった。


彼女は顔を上げ、目がキラキラと輝いて、優しく言った。


「…星兄、悲しまないでね。」


そう言って、彼女はそっと胸から小さなキャンディを取り出した。


銀色の葉で包まれており、上には可愛い青い蝶が刺繍されていた。


水靈兒はそのキャンディを彼の手のひらにそっと押し込んで、柔らかく言った。


「これ、あげるよ。食べたら甘くて、もう苦しくなくなるよ!」


星は手のひらの小さなキャンディを見つめ、それが春のすべてを握りしめているかのように感じた。


琴蘭の琴の音も静かに調律を変えた。


もう悲しみだけではなく、春の水が解け始めるように、微かな希望を感じさせる。


微かな光が流れ、銀海は静まり返り、新しい旅路が静かに始まった。


その輝く夢のような銀色の砂の中を、軽やかな姿が星のような光を踏みしめて現れた。


黒金色のぴったりとしたスーツに、赤い宝石のような蝶ネクタイが微かに揺れ、腰の細いチェーンが軽く響く。彼女は折りたたみ扇を手にし、目にはほほ笑みを浮かべ、風の中で咲いた薔薇のようだった。


「おやおや、新しい顔ね。」


彼女は扇を軽く揺らし、柔らかい声で少しからかうように言った。「本当に珍しいわ、こんな可愛い小さな子たち。」


星は興味津々で近づき、にっこり笑って尋ねた。「この美しいお姉さん、あなたは誰ですか?」



みんなが応援してくれるなら、それだけで嬉しいよ。

日本語から翻訳するのは初めてなので、誤訳があったらご容赦ください。本文は下記URLにあります。

p-https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24666038

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