★第6話:すれ違う、心★
光暦3050年。
ある人々は空中都市を作り空に移住し、
ある人々は地下都市を作り地下に移住した。
空中都市、それは空飛ぶ未来へ。
地下都市、それは希望の新天地として。
そして地上に残った人々は……
ディファレンス、ディビジョン、ディレイ
違い、分裂、遅延。
食事は美味しかった。
帰ろうかという時に、入り口のドアが開く。
若い男性警官が彼女を見つけ声をかけてきた。
「浅兼、やっぱりここにいたか(笑)。次の巡回の時間だぞ。」
「あ、ごめんなさーい。ちょっとぐらい大目にみてよ。」
「何度もみてるつもりだが(笑)。」
「そ、そうかな…。」
少し誤魔化し気味の彼女は俺を見て、
「じゃあ、行きましょうか。」
と切り替え、とりあえず店を出る。
去り際に彼女は言った。
「また仕事が出来たらお願いに行くわ。」
「あ、はい、また宜しくお願いします。」
若い警官は立派な体格で警官でなければ
格闘家にでもなれる気がした。
一緒に並んで歩く彼女の背中は安心感で
溢れているように見えた。
アサガネ、か。警察に近づく事で
何か分かるかもしれないと思っていたが、
ただそれは逆に捕まる時は早いというリスクもある。
(やっぱり警察はほどほどにしておいた方がよさそう……
男がいる可能性も高そう……それは余計か)
って、何をうだうだ考えてる、切り換えろ。
俺は車に乗り込んで、動作ロックを解除した。
店を出た弥生と男性警官は警察車に乗り込む。
「で、あの対象はどんな感じなんだ?」
「うーん、ハッカー部隊からの情報だと
確かに選ばれたスパイのひとりらしいけど、
あまりそんな感じしないのよね。」
「実はかなり巧妙だとか…」
「もうちょっと調べてみないとわからないわ。」
「まぁ、あんまり深入りする必要ないんじゃないか。」
「なに、気になるの?」
「はぁ、なに言ってる。
いい加減自分の容姿を武器にするのはいいが、
見ていていつも危なっかしいんだよ。」
「それはどうも。同僚の忠告として受け取っとくわ。
本当にまだよく分からないのよね、
優秀なのか本当にお間抜けなのか。」
「そう言うなら確かにもうちょっと調べた方がいいな。」
「了解。何かあったら報告するわよ。」
「さあ、午後の巡回と行くか、
今日は偶寺辺羅ノ(ぐうてらべらの)通り
10丁目から3丁目~。」
「何で数字を逆から言う。
あー、眠い。何もないことを願いましょ。」
警察車は地下都市を駆けていく。
板金屋の車は地上付近の工場へ向かっていく。
トゥビーコンティニュー……