表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/35

★第3話:潜入★

光暦3050年。

ある人々は空中都市を作り空に移住し、

ある人々は地下都市を作り地下に移住した。

空中都市、それは空飛ぶ未来へ。

地下都市、それは希望の新天地として。

ディファレンス、ディビジョン、ドキュメント。

違い、分裂、遅延。

地下都市、地上付近の輸送基地内。

地上からの資源運搬車両の修理基地。

ヤマバは身元を偽って就職し、潜伏を始めた。


「おぅ、新入り。しっかりやれや。」

「はい、まだなれないもので…」

「あ、気にするな!

こんなもんは、こうして、あーして、こんなもんよ。」

「はあ(笑……」


潜伏、3か月。大した情報もなく過ぎて行く。

「No.996報告を。」

「はい、特に新しい事はありません。」

「いい加減にしろ、もっと休みの日に地下都市に行け。

そして情報の元を潰して来い!」

「わ、わかりました……」


休日、車を飛ばして地下都市に向かう。

地上からの長い高速道路が、地表からは見えない

地下都市の全貌を徐々に目の前に描き出す。


「思ったより広い……」


地下都市は昼間を作るために街全体を照らすため、

空中都市よりも多くのエネルギーを使っていた。

そのため資源を集めるあらゆる手立て

(卑怯な手口もあるらしい)を用いて活動していた。


街に入り、とにかく何か情報を得ようと脇道にも入り、

キョロキョロとしながら運転していた、

ギギィ、道路脇の縁石に擦れてしまう。

「気づかなかった……

まぁ、これぐらいならさっさと帰るか……」


走り去ろうとしたその瞬間、

ウィーン、ウィーン、ウィーン。

どこからともなく現れた車体から警告が聞こえる。

「こちら 都市警察。衝突を検知。捕捉します。」

中から女性の警察官らしき人物が降りてくる。

「あーあ、ドジな奴。こんなところにぶつかって。」


俺は気まずい気持ちをそのまま言葉にしてしまう。

「あ、いやー……」

「じゃあ、身分証明書。」

「あ、はい……」


自分証明書を確認したながら女性は言う。

「あー、あの板金屋にいるのね。」

思わず何も考えずに聞いてしまう。

「警察ですか?」

女性は少し目を見開き、間髪入れずに聞いてくる。

「当たり前よ。何言ってるの?あ、もしかして、あんた……」

焦った。とっさに思いついたことを口走る。

「え、あ、最近地上から降りてきたんですよ、

やっぱり地上は無理かなって……」

「そりゃ、そうよ。さっさと地下にくればいいものを……」


その警官はマスクをしているせいか、妙に美人に見える。

「じゃあ、ここに署名して。

自動で口座から罰金引かれるから。」


あちゃーな感じで署名する。

「気をつけなさいよ、お間抜けさん。」

呆気なく警察は去っていった。



仕事場では何事も無かったように過ごす。

余計な事を話すとボロが出るかもしれないから、

何もなかったようにしていたが、

引き落としがどうもできなかったらしく、

数週間後、職場に支払い通知が来てしまった。


「お前、警察にお世話になったんか?」

職場の先輩(いや、大して仕事もろくに

教えてくれないし、いい加減なので)いや、

同僚(で充分だ)は地下都市の仕組みを教えてくれた。


地下都市では事故もすぐに見つけられるらしい。

どこにカメラが?いや、振動判定か?

地下都市では地震に対する備えは必要で

どうも街には振動を感知するセンサーが

山ほど埋まっているらしい。


さらにどんな振動かはAIが判断し、

事故なのか、自然なのか、地震なのかを

判定しているようだ。


「はぁい。板金さん、この凹み、直してよ。」

聞き覚えのある女性の声がする。

「あ、この前の。」

「そうそう。

お間抜けさんがいるこの辺は巡回場所なのよね。

それと、何、引き落としできなかったんだけど。

お間抜けからお貧乏に変更ね。」

「その、お間抜けさんはやめてくれな……」


「おまえ、そんな言い方されてんか、ばははぁー」

女性警察官は明らかに同僚に不快感を表している。

それは俺も同意。


「じゃあ、これ直ったらここに連絡入れて

持ってきてくれる?」

「わかったけど……どうでもいいけど

地下の警察は口調がタメ口?」


「あんた、お間抜けだからよ。あ、お貧乏か。」

と言いながら凹んだパーツを外して、

バイクでさっさと去っていった。

とにかくムッとした顔で見送ってやった。

トゥビーコンティニュー……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ