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★第2話:降下★

光暦3050年。

ある人々は空中都市を作り空に移住し、

ある人々は地下都市を作り地下に移住した。

空中都市、それは空飛ぶ未来へ。

地下都市、それは希望の新天地として。

ディファレンス、ディビジョン、ディレイ。

違い、分裂、遅延。

「ヤマバ、私にもどうする事もできない…」

「はい、分かっています。ミチカゲ

(※これまた中央人工知能の通称)

の決定なら仕方ありません。」


ミチカゲの名前の由来は人が進む道を影から

支える者という意味から来ている。


「お願いね、この都市の運命がかかっているの。」

「私には少し重すぎますが……」

「あなたならきっと大丈夫。

それに対象者は他にもいるみたいだから、

あまり背負いこまないのよ。」

「わかりました。有難う御座います。」


「これがミチカゲから送られてきた作戦命令書よ。

私には中が見れない。

次の行動もそのスクリーンペーパーに書いてあるわ。」


スクリーンペーパーは透明の折り曲げ可能な板で、

対象者が触れるとドキュメントが表示されるように

作られている。


「健闘を祈ってる、必ず帰ってきてちょうだい。」

「はっ!」


ヤマバは車で家に向かう。

車から車輪がなくなって数百年が経っているらしい。

地面からの振動をまともに受ける車が

走っていたなんて信じられない。

昔の人はよくそんなもので我慢していたもんだ。

家に着いたヤマバはしばらく帰ってこれそうにないため、

身の回りを整理し始めた。


「しかし、俺みたいなスパイ素人が選ばれるなんて

空中都市ももう限界なのか……

ミチカゲが俺を選んだ理由は何なんだよ……」


「はい、サポートいたしマソワー。」

「あ、[肩越しにAI]。お前なんか知ってる?

って言うか調べられるかい、

ミチカゲが何で俺を選んだのか。」


「はい。わかりマソワー。

今検索した結果、情報公開の公平性の観点から

答えられないとのことです。」

「だろうな……。

どうせ、高いところから降りたことがあるような、

バンジージャンプ経験者とか、

ハンググライダー経験者とか、そんなところだろう。

機械が考えそうなネタというか……」


昔、一回バンジーした事をこんなに後悔した事はなかった。

あと[肩越しにAI]のモードに飽きて訳わからない

キャラにしたのだが、イラっとしたので変えておこう……


その夜、モヤモヤしたまま眠りについて、

ぼうっとした中で夢を見た。

((イヤ、ソウデハナイ。ヤマバヲツクレ、オマエハヤマバ。))

((誰だ、そんな下らない理由で選ぶようにロジックを組んだ奴は。

ミチカゲみたいな大事なメインコンピュータに

親父ギャグ的な要素いれるなよ……))

トゥビーコンティニュー……

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