★第1話:対立★
光暦3050年。
昔は多くの人々が地上に住んでいた
歴史があった。
しかし隕石の接近、地震、火山噴火など、
本当か嘘か分からないニュースや
ネット動画などの噂が広まり、
世界は混乱に陥った。
地上の様々な国同士の争いは
地球規模の危機には
もう無意味で、国境は無くなり、
ある人々は空中都市を作り空に移住し、
ある人々は地下都市を作り地下に移住した。
ただそれらの噂を信じない人や無力な人々は
地上に残り今までの生活を送った。
都市を作るには大量の資源が必要だ。
空中都市と地下都市は
それぞれの街をつくるために
地上の資源を奪い合う。
そのため互いの都市は対立関係にあって、
今も地上で奪い合いを続けている。
地上の人たちはなす術もなく、
その争いや資源を取られることを
止める事ができなかった。
空中都市は空飛ぶ未来への方舟、
「エターナルアーク」。
通称エターク。
地下都市は希望の新天地、
「ニューエイジグランド」。
通称ニューグラ。
空中都市の浮遊装置の近くの作業場所では
今日も点検を欠かさない。
「先輩、ここの油圧、
おかしくないですか?」
「う。うーん、確かに圧力が下がってるな。
最近、地上からの物資が
滞っているとか聞いてるから、
ガスが足らないのかもなぁー。
このままだと少しずつ
地面に近づいてしまうかぁ……」
「最近、どうなってんすかね、
前まではこんなことなかったすよ。」
「それは俺も分かんないけど、
お偉いさんたちが何とかしてるんだろうけど……」
「集合。集合。集合。」
機械の声で招集される。
「珍しいっすね、
こんな時間に集合なんて。」
「おっ、無駄口叩くとドヤされるから、
とにかく行くぞ。」
「了解っす」
各持ち場から隊員はほぼ集まっていた。
今みんなを前に話しているのは
この現場の女性司令官だ。
「最近地上からの物資が滞っていることは、
みんなもう知ってるわね?
どうやら空中が安全ではないという噂が
蔓延していて、
空中都市から地下都市に人や資源が
移っているらしいの。」
「マジすか!」
「そこ、うるさいー!
どうも地下都市の関連団体が噂をネットや
口コミで流しているらしくて… …
地下都市の情報が空中都市に
入ってくるのは
地下にいる数少ない仲間からの
情報のみね。
だから、さらにこの中から
地下都市に潜入して
情報の発信源を押さえて
噂を止める者が選ばれたわけ。」
「いやー、マジ行きたくないっすわ。」
「そうだが、誰かが行くしかな… …」
「No.996リネン ヤマバ。
あなたがその役に任命された。」
「は、はい!?」
「何、その返事!」
「あ、いえ、まさか選ばれると
思ってなかったので…」
「みんなが知っている通り、
この都市を司るCCC
(※中央人工知能。
center control computer
通称CCC)
がこの都市に住む人間の
全データから選び出した、
その一人があなた、ヤマバよ。
拒否権はないわ。」
「は、はい。わかりました。
仕方ありません。」
「仕方ありませんは、余計よ!」
「わかりました!」
「それじゃあ、解散。
ヤマバは司令室に来て」
「はい!」
「先輩、ご愁傷様です……」
「そんな言い方するなよ……いやー… …
まだ受け止められないわ……」
「先輩… …こっちの事は任せて下さい!」
「おぅ、ありがとうー。行ってくるわ……」
ヤマバは隊員たちをかき分けながら
司令室に向かった。
トゥビーコンティニュー……