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個毒幽戯  作者: 馬骨 牛久
第1章 東山小の丸鏡
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5話 異変

BAD SAMURAI

・リーダーのデスヘブンを筆頭にメンバーのポンチョ、カッシー、あーやんからなる動画配信者グループ。主に廃墟探索や心霊スポット巡りをテーマに活動をしているが特に面白味があるわけでもなく、リーダーのデスヘブンが良くも悪くもインパクトがありすぎて常連も新規もついて行きづらい。ちなみにチャンネル登録者数は18人からまったく伸びていない。また、メンバーの問題行動も目立つため今後活躍していくためには大幅な改革が必要になってくるであろう。

本棟、1階正面玄関



痛々しい沈黙は目の前のポンチョさんのポケットから鳴るトランシーバーの音で破られた。

ポンチョさんはポケットからトランシーバーを取り出して話し始める。


「はいはいこちらポンチョ。」

「こちら〈あーやん〉。定位置についたけどそっちはどんな感じ?」


トランシーバーから気だるげな女性の声が聞こえた。ポンチョさんは少し頭を搔くと話し始める。


「こっちはちょっとしたアクシデントがあってね。ここの住民の人と遭遇しちゃった。」

「え?マジ?ダル。じゃあ撤収する感じ?」

「いや。会ったのは高校生の子達だし。撤収する程じゃないかな。でも親御さんも心配するだろうしこの子達は今から帰ってもらって

「マジ?高校生いんの?丁度良いじゃん!人数足りなかったんだし協力してもらおうぜ!」


トランシーバーから気だるげな女性とは異なる男性の声が割り込むようにして現れる。その言葉を聞くとポンチョさんは少し嫌な顔をして答える。


「〈カッシー〉。さすがにこんな時間に子供がこんな所にいちゃダメでしょ。」

「どっちみちこんな時間なら今更帰ったとこで変わらねーって!その子達もたぶん肝試しで来てんだろうし、思い出作りを邪魔しちゃ悪いでしょ!七不思議知ってんなら協力してくれるんじゃね!?」


ポンチョさんがこちらに視線を送る。俺達の答えを聞きたいみたいだ。

花村先輩は少し考えるように俯いた。しばしの沈黙の後、覚悟を決めたように喋り出す。


「私達も協力させてください。七不思議を調べたら大人しく帰ります。七不思議の内容的に人数がいればいるほどいいと思いますから。それにもう時間があまり無いです。」


そう言われて現在の時刻を確認する。スマホには2時15分と表示されている。丸鏡の発生時間まであと7分しかない。

そうしていると傍らで置物のように静かになっていたデスヘブンさんが元気を取り戻したかのように飛び上がる。


「ヨッシ!んじャ手分けして踊り場の前で丸鏡を探そうZE!『カッシーとあーやんは特別棟』にいっから俺達はこの本棟だNA☆!『俺とポンチョが4階の東と西の踊り場』を見てっからお前ら『2人は3階の東と西』のほうをよろシクラメ~ン!」

「分かりました。人数が増えてもまだ12枚も鏡が残ってるので誰かしら遭遇できるといいんですけどね。」

「そこは問題Nothing!一応俺らがいけねぇとこには『スマホを置いてて』YO!俺っちが持ってる『タブレットで映像を後で見ることができる』ZE!けどやっぱ心霊現象とハムは生に限るってナ!」

「え!?すごいですね!さすが大人だぁ~スマホをいっぱい揃えれるなんて…」

「まぁこいつが買ったの全部中古だしめっちゃ古いポンコツだけどね。たくさん買ったせいで金欠になっちゃったんだけどね。」

「Siiiiiii!!!それはいわなくてウィ☆!あ!これトランシーバーNA!お前ら2人にもやるヨ!」


デスヘブンさんは持っていたカバンからトランシーバーを2つ取り出してこちらに差し出す。


「何か変化があったらすぐ教えてくれYO☆!使い方はここの『ボタン押しながら喋ったら通信できる』ZE!それじゃGOOD LUCK!」


そう言うやいなやデスヘブンさんは走り出した。サングラスをかけて視界が悪いだろうに軽快に階段を登っていく。てかなんであの人夜なのにサングラスかけてんだ?


「うちも行くけど、君らはこれ終わったらすぐ帰りなよ。家の近くまでなら送ってあげるからさ。」


そう言ってポンチョさんも駆け足で階段を登って行った。

残ったのは俺と花村先輩だけだ。


「じゃあ私達も行こうか。」


花村先輩がトランシーバーを握りしめてこちらに振り向く。その顔はどこか不安そうであり、さすがの先輩ももしかしたら今日七不思議に遭遇するかもしれないと思うと緊張しているのかもしれない。

俺は手に持ったトランシーバーを眺めると花村先輩に向き直る。


「ここまで来たので俺も最後まで付き合います。七不思議、見れるといいですね。」

「…そうだね!じゃあまた後でね!私は東側に行くから彰人くんは西側をお願いね!」


花村先輩は最初は何か考えるように俯いていたが元気を取り戻して階段を駆け上がって行った。

さて、俺も行くとするか。

ここまで来たなら肩透かしだったとしても思い出作りには丁度いいかもしれないな。

階段を駆け上がる足音を響かせながら俺は2階西側階段へ向かったのだった。


~~~

3階西側階段踊り場



さて西側の3階踊り場に到着した。

懐中電灯で何度も周囲を照らしてみるも、特に何の変哲もない踊り場だ。壁はカビや汚れで黒ずみ、ホコリ特有の息が詰まる臭いが漂っている。廊下の窓ガラスから少し距離があるからか、雨と風の音はそこまで聞こえない。

足元を見ると古いスマホがぽつんと置いてある。恐らくデスヘブンさんが言っていた『記録用のスマホ』だろう。後で撮影で使うだろうからそのままにしておこう。

スマホの反対側を向くと壁に正方形の鏡が置いてある。鏡の表面は汚れているが、汚れの向こうに薄らと黒髪の目つきの悪い若い男が映っている。まぁ俺なんだけど。

スマホ時刻を確認すれば1時20分と表示されている。七不思議の時間までもう僅かしかない。そう思っているとポケットに入れていたトランシーバーから音が聞こえる。


《あ〜テステス☆こちらクールな男デスヘブン。こっちは配置に着いたが他の奴らは準備はアーユーレディ?》


雰囲気をぶち壊す調子のいい声が響く。

返事をするためにトランシーバーのボタンを押す。


「こちら本棟3階西側担当の古澤です。準備OKです。」


俺がそう言うと続々とトランシーバーから声が聞こえる。


《こちら花村です!本棟3階東側準備OKです!》

《本棟4階東側のポンチョ。準備できてるよ。》

《特別棟2階北側カッシー。こっちもいいぜ。》

《特別棟4階南側あーやん。準備できてるよ。》


全員準備が整ったようだ。

時間まであと30秒も無い。


《んじゃ各々記録の方よろしク!一応記録はしてるがなんかあったらトランシーバーで知らせてくれよな!》


時間が迫る。

今のところ目の前の鏡には何の変化もない。


時間を確認する。

2時22分まで


3


2


1





















2時22分だ。

目の前の鏡は何の変化もない。














トランシーバーから音が鳴る。


《あーこちらデスヘブンだZE。こっちは特に何の変化もないゼ!》


どうやらデスヘブンさんの方は特に変化は無かったようだ。俺もトランシーバーのボタンを押して現状を報告する。


《こちら古澤です。こっちも鏡に変化はありませんでした。》


その後トランシーバーから声が響く。


《花村です!こっちも特に変化はありません。》

《こちらポンチョ。こっちも同じ。》

《こちらカッシー。こっちもダメだわ。何の変化もねぇ。》


次々に変化が無かった報告が聞こえてくる。トランシーバーから顔を上げてもう一度鏡を見るがやはり変化は無い。汚れに塗れた鏡があるだけだ。やはり七不思議はガセネタだったのだろう。花村先輩は可哀想だが所詮オカルトなんてこんなものだろう。そうして再度集合することを提案しようとした時、













トランシーバーから音が鳴る。
























《ガガガガガピーピーピーザザザジザザザザ》





























大音量の不快な電子音が響き渡る。まるでポケットに入れたまま凄まじい振動を加えられ、摩擦によってノイズが走っているかのような音が大音量で流れ出す。


《う●わ●●●何!?●だ●●●!?あーやんじゃ●●!?!?!?》

《うる●ーよ!●●●あーや●●●だろ!?ボタ●●●って!?》

《え!?●?●?なに!?》

《なんD●!?すご●音だ●E!頭が割●●●●A!》


全員が一斉に喋り出したせいか混線している。交互に響き渡る大勢の声によって凄まじい不協和音がトランシーバーから流れている。














それなのに、



























《ガガガガガピーピーピーザザザジザザザザ》


















どうしてこの音だけは正確に聞こえてくるんだ?

























そうしていると音が変わる。














《バタンザーザーザーザーザーザー》














トランシーバーから流れる音は外の雨と風の音を無機質に伝えてくる。

俺はその異常な状態に目を見開いて固まってしまいその場を動けずにいた。


《おい!?あーやん!?お前外に出たのか!?》




その声を聞いて固まっていた俺はすぐ階段を駆け上がり、廊下の窓から特別棟を見た。





そこに映ったのは、





















雨と風に濡らされながら特別棟の屋上から飛び降りる人の姿だった。






トランシーバーから音が鳴る。















《グシャ》











それと同時に聞こえる筈のない音が俺の両耳に聞こえたのだった。




















キーンコーンカーンコーン



















その瞬間、世界がぐにゃりと曲がり、色を変え始めた。

突然の光景に俺は驚き、困惑の声を上げてしまう。


「なんだこれ!?一体何が起こって



最後まで声は続かなかった。世界が姿を変え続ける様を見ながら、俺の意識は突如として暗黒の世界へと塗りつぶされて、




「●●●●●●●●●●!ーーーーー………」










やがてブツリと糸が切れるように意識を手放したのだった。








~~~























現在時●2時222●2●分2時22●2時22分●時2時22分2時2●分●時22分2時2●2時2時●2分




・あーやん=高岩たかいわ 亜弥あや


性別 女


身長 158cm


年齢 22歳


運動能力 E


知能 E


コミュニケーション能力 D


運 D


??? なし




メモ


・派手な服を着た黒髪のツインテールの女性。心霊スポット探索系配信グループ「BAD SAMURAI」のメイク担当。金使いが荒く衝動買いが多い。ホストにハマっていた時期があり借金があったが両親に返済してもらって地元に帰ってきた。趣味はショッピング。好きな食べ物は菓子パン。面食い。プライドが高く心の中で人を見下す癖がある。普段は実家の近くのスーパーで働いている。リスカをしようとするが痛みに耐えられず途中で止めている。子供が好きで将来は子育てをしようと思っていたが今の自分が母親になれる気がしておらず諦めている。ネイルはプロ級の腕前でありお店を開けるレベル。

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