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唱えましょう、唱えましょう。

作者: 泉末広

なんてことないさ、なんてことないさ。

もう何回唱えただろう。

止められない日没、ほくそえんでまた明日。

なんてことないさ、なんてことないさ。

あと何回唱えるだろう。

変えられない夜明け、含み笑いでまた会った。

どうってことないよ、どうってことないよ。

さあ、何回唱えたでしょう?

答えを知ってる質問に、知らない振りしてヒントをねだる。

どうってことないよ、どうってことないよ。

わたしはどれだけ唱えたでしょう?

愚問と知ってる問いかけに、捨てない振りして救いをねだる。

どうにもならないよ、どうしようもないよ。

まだ唱えましょう、まだ唱えられるでしょう。

痛い思いで、わたしに帰れる。

痛ましい成り行きで、やっぱりわたしは帰ってこれる。

どうにもこうにもならないね。

帰り支度の早さが自慢。

巻き舌で切れの悪い誉め言葉を言えるのが自慢。

どうにもこうにもならないね、どうにもこうにもならないね。

分厚い猫の物真似が不満。

こうすればよかったね、こうすればよかったよ。

早い帰り支度をしちゃう理由が不安。

今日1日を思い返しちゃう理由が不安。

やっぱりそうなるね、やっぱりそうなるよ。

これで、いつものわたしに帰れる。

やっと、いつものわたしに帰れる。

浴びた呪い、振り払うような早い帰り支度がわたしの自慢。

拙い祓い、蒸し返すような早い門前払いがわたしの自慢。

唱えましょう、まだまだ唱えましょう。

これならどうにかいいでしょう。

これならどうにかいけるでしょう。

唱えましょう、唱えましょう、唱えましょう。

赦してくれそうなのは、わたしだけ。

脇目も振らず、唱えましょう、唱えましょう。

赦してくれそうなのは、いつものわたしだけ。


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