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009シャルロッテ

 今回は僕がロッテに夢中になった切っ掛け、いや2人がお互いに夢中になった出来事の話。


 ヴェツラー学園の廊下を歩いていた時、キャッと言う声がしてふとそちらを見たら、烏の濡れ羽色の髪を風になびかせたロッテと目が合った。


「おーファースト君こんにちは、はいっここで転入生にはもうウンザリかもですが質問攻めタ〜イム。キミは何故この学園に?そしてこの学園では何がしたい?」


「ははっウンザリって事はないですね、同級生たちと話せるのは楽しいですし、1つ目の質問にはありきたりですが学ぶためという答えですね、学問だけではなく人として成長するために色々な事を学びたいと考えています。2つ目の質問の答えは子供っぽいと思われるかもですが友達作り。ただ馴れ合う為だけの友達ではなく、もちろん楽しく過ごすのも悪くないですがお互いを高め合っていけるようなそんな友達が欲しいな、なんて」


「驚いた私と同じだ、私も日々成長したいと考えていてね、私の場合、最早目的と手段が逆転してるくらいで何かをする為に成長するんじゃなくて、成長する為に成長したいみたいな。友達についても楽しく過ごすのももちろんだけど一緒に成長していける友達が欲しいと常々考えてるわ」


「解ります成長する為の成長。上を向いて生きてると何かに気付く事があってそれで少し調子に乗っちゃったりもするけども、まだ先があってどこまであるんだろうその先はみたいな、でも多分果てはなくて、でも進みたくて、進む事こそが目的になっちゃってるような」


「そうそう、そうなんだよねぇ、なんでそうなっちゃったのか切っ掛けは何だったのか、本とか読んで蒙が啓ける感覚が忘れられなくなったのか成長中毒、成長依存症みたいな、こういう事言ってるとよく誤解されるんだけど自分がまだまだなのは大前提にあって、敢えて完成しないで中途半端な状態で居るっていうのか」


「完成しちゃった方が楽に、正しくしかも世間一般からは認められる生き方が出来るとは思うのですが、僕の求めてるのはそんな安定感ではないんですよね」


「いつまでも成長途中の子供でいたい訳でもなくて、完成してるように見える大人でも完璧な訳ではなくて間違ったりもあって、そこはしょうがないのかもだけどそういう風に諦めたくはなくて」


「決して自分たちと違う人たちを否定したい訳ではなくて、出来るなら多くの人の在り方を認めたくてそう思えるのもこういう生き方をしてきたからで」


「自分が間違ってるんじゃないかとも思ったりもするけども人を認めようとする自分は否定したくなくて」


「勉強不足で知らないだけでこういった考え方、生き方に名前が付いてたり体系化されてたりもするのかもとも思いますがそこはあんまり重要ではなくて……」


「「前進をしない人は、後退をしているのだ」」


「…………」


「…………」


「……キャー何だこれ何これ何このシンクロニシティ」


「ずっと通いたかった学校という物に通えるようになってずっと欲しかった解り合える人との出会い、それが今起きた僕は、僕はもう」


「解る、多分私も同じ……私、ファースト君がちゅき!」


「ぶふっ、ちゅきってなんですかちゅきって吹いちゃいましたよ」


「あっいやっ感極まっちゃったと言うか、好きの上位互換と言うか……」


「解ってますよ僕もロッテがちゅきです」


「そこはちゃんと言って欲しかったな」


「言わなくても解るでしょ」


「ふふっそうだね」


「アハッあははははは」


「ふふっフフフフフフ」


 僕たちは笑い続けた、何事かと他の生徒たちが集まってくるくらいに、でももう僕たちにこれ以上の言葉は要らないように思えたんだ。

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