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004晴れて両想い

 翌朝、リタが何時までも目を覚まさない、どころか汗をかいてうなされている、どうやら風邪を引いたようだ。

 兎に角水が要る病人は安静にさせとかなきゃならないのだけれど、ほおって探しに行く訳にもいかない。

 僕はリタを背負って何とか森の中に川を見つけ出した。

 川のほとりにリタを寝かせて、布を川の水に浸して固く絞ってリタのおでこに乗せる。

 本で読んだので多少薬草の知識はある、風邪に効くとされている主な薬草アカツメクサ、オオバコ、しょうが湯などだがこの世界での薬草の事はまだ解らない。

 そもそも薬草などは素人が本で齧った生中な知識で扱うのはかなり危険である。

 その時メフィストの魔力で敏感になっている、僕の五感が何かを察知した。

 微かな唸り声、押し殺した息づかい、そっと草を踏む足音。

 囲まれている、かなりの数だ、徐々に距離を詰めるこの組織的なやり方……狼とかこの世界だとコボルトだろうか。

 近づくのを待って各個撃破するのはリタが危険に晒される。

 大きな力を使うのはリタが巻き込まれる可能性も……

 どうする?まだ距離があるうちに決断しなければ、ええいやるしかない!


「燃やし尽くせ!」


 一瞬の轟音……豪火が森を焼き尽くした。


「あらっ森がなくなっちゃった、まあこれで見晴らしが良くなったモンスターが近付いてきても気付かないという心配は無くなった」


 人が魔法を使う場合は呪文などを唱えたり力を借りる為の儀式が必要だが、悪魔が魔法を使う時はその意思、力を使おうとするその意思だけで使えると本で読んだ。

 僕は思わず声に出しちゃったけど、多分僕も意思だけで魔法が使えると思う。


 病気を治すという意思でリタの風邪を治せないものだろうか?

 僕はリタの風邪よ治ってくれと念じてみたが治る様子はない。

 魔法とはそこまで万能なものではないのか、僕がまだメフィストの力を使いこなせていないだけか。


 今、僕に出来ることをするしかない、何度もおでこの布を取り替えて、水を飲ませ、添い寝して体を暖める。

 体力的にはどうってことのない作業だが、何時までもツラそうなリタを見ていると精神的にツラくなってくる。

 早く良くなってくれ。


 どれくらいの時間が過ぎただろう?気付くとリタの汗は引き、荒かった呼吸も落ち着き、どうやら熱も下がったようだ、リタが目を覚ました。


「ファースト、水とその何か食べ物をくれないか?」


「リタ、リタ良かっだ〜、し、死んじゃうんじゃないかと、ひぐっ、み、水と食べ物すぐ用意するから、ぐすっ」


「うなされてハッキリとは覚えてないが、キミが私の為に頑張ってくれたのは覚えてる、こんな時になんだがこんな時だからこそ、どうせ恋なんて衝動的なものだから、まだ気が変わってなかったらもう一度私に問いかけてくれないか?」


「けっ、結婚してください!」


「 答えはイエスだ1000回聞かれたってイエスと答えるよ」


 こうして僕とリタは両想いになった。

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