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君が欲しかった言葉は  作者: 侵略する兎
3/6

貴方の声も、料理も好き

《早乙女銀河の日記》


枯月8日 曇り


熱は幸い下がったようだ。良かった。

車に跳ねられそうになった、と聞いたが、大丈夫だろうか…

アイツには近付かないよう言っておいた方が良いのかもしれない。



* * *


「んー…クレイ、遅いなぁ…」


カチコチ、と時計のなる音だけが聞こえる。

テレビは面白い番組もやっていなかったので消してしまった。

空覆う雲は黒くて、今にも雪が降りそう。

クレイ、傘持っていったかな…?


ピロロロロ


いつもは聴き慣れた着信音に、心底驚いて、

クレイからのものだったので急いでスマホを取った。


「骸は今いないですよ〜」


なんて冗談を言ってみる。


『んー…そうか、じゃあ掛け直すしかないか…』


「ふふ、ウソだよ!」


『はは、何だ、寂しかったんだな?可愛いヤツめ』


やっぱり、クレイの声は、落ち着く。

この優しい声が、好きだ。


「クレイ、遅いんだもん、お昼には帰るって言った!」


ぷくーっと頬を膨らましたけど、クレイには見えていないんだった。


『ごめんごめん、仕事が長引いてな。今から帰るよ』


「わかった!」


『あー…でも、』


「?」


『雪が降ってきたから、傘持って迎えにきてくれないか?』


雪、と言われて外を見ると、確かに雪がちらほらと降り始めていた。

すぐに行くね、と言って一本の傘を持って家を出た。


「お待たせ、どのくらい待った?」


大して待たせていないのは、私もよく分かっている。

でも聞いた。


「んー…ちょうど20分かな?」

「嘘つき〜、単位が違うんじゃない?」


私はちょっとだけ変わってる。

クレイが変わってるみたいに。

結論から言うと、電気みたいな人間…

電気を出したり操るのは勿論、

光の速度で動いたり、電磁力を使ってふわふわ浮いたり、

ものすごくたまにの話だけど、ホログラム化することもできる。

私の自慢。

要するに、20秒、と言うのは光の速さで移動してきたからだ。


「さ、帰ろ!」


手を繋ぐ。

傘を持って貰ってのんびりと歩く。

今日あったこと、とか、そんなことを話しながら。


「今日の夜ご飯は何が良い?」

「作ってくれるの?んーとね、じゃあ…」


ハンバーグも好きだし、スパゲティも美味しいし…

そう悩んで決めたのは、オムライス。

クレイの料理の中で、いや、全部の料理の中で1番好き!


「オムライス食べたい!」

「決まりだな、卵を買ってかえろうか。」


寒い中手を繋いで歩いた道も、

クレイの作ってくれたオムライスも、

特別に素敵に見えた。


《過咲骸の日記》


枯月11日 雪


昨日とおんなじ雪だった。

よくなったと思ったけど、体調は良くないみたい。

胸がキリキリして、頭が痛い。

明日Spicaに薬をもらいに行こう。

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