スポーン
「ここは?」
目が覚めた俺は、知らない原っぱに横たわっていた。太陽がサンサンと輝き、暖かい日の光を感じる。起たてで、ぼやける視界がだんだんとはっきりと視界を映し出した。そして、つい直前まで自分がしていたことを思いだす。
そうだ、俺は確か変なサイトにアクセスして、、それで、、
理解が追い付かない頭に追い打ちをかけるかのように、空中に文字が浮かびがった。それは、空中に浮いているというよりは、ARのように網膜に直接に映し出されているような感覚がした。
「ルール?」
空中に映し出された文字には「ルール」と書かれた下に、4つの文字列がスライドして順々に読めるようになる。それを1つ1つ俺は頭に叩き込むようにして、覚えていく。
「ルール」
1、死んではならない
2、ミッションには従うこと
3、以上を守れない場合は元の世界には帰れない
4、クリア報酬はあなたの望むままに
「死んだら終わりなのは分かるけど、ミッションってなんだ?」
数秒間空中に現れたその文字は、徐々に薄くなり消えていった。そして、そのあと俺の質問に答えるかのように連続して「ミッション」と書かれた文字が浮かび上がる。
「ミッション 1/10 他のプレイヤーを殺せ」
制限時間 30日
報酬 蘇生アイテム
失敗 あなたの命
「面白い、、」
静かに俺は呟いた。24時間365日引きこもるになってはや3年。1年目で親は俺を部屋から出すことを諦め、完全に見放された。引きこもって以降ずっとしてきたネトゲにも飽きてきた頃だった。何処の誰かは知らないが、こんな変な所に連れてきた奴に感謝したい。「4、クリア報酬はあなたの望むままに」ようはこのゲームをクリアして元の世界に帰れたら、なんでも好きな願いを叶えてくれるってことだろ?
現状を確認するために体中のあちこちを何か入っていないか探し始めた。さっきまで着ていた服とは違い、現代には似つかわしくないボロボロの服を着ていた。腰に下がっていた袋には、何処の国とも知れぬ銀貨が10枚。それ以外に持ち物は何も無かった。
「これはお金ってことか。それにしても、もう少し初期装備充実させて欲しかったなぁ」
装備の確認が終わったところで、改めに周囲の様子を確認する。目の前にはただ何もない原っぱが生えているばかりだ。地図もないのでどっちに行けばいいかさえさっぱり分からない。よく考えてみると、水も食料もないため、このままここにいてはミッションより先に餓死してしまう。
「お金があるってことは、店があるってことだよな?ゲームに近いなら、今ここで何か買えたりするのか。それとも、街があるのかな?」
ものは試しと、「店」「買い物」「ショップ」など思いつく限りのワードを声に出して発してみた。しかし、何も起きなかった。そういえばステータス画面のようなものもないし、何か特殊な感じが身体に感じるわけでもない。さっきから少し歩いてみたが、疲れるしのども乾く。
「ゲームなのか?それともーーー異世界なのか?」
ここでふとアクセスしたサイトの名前を思い出す。異世界.comたしかそんな名前のサイトだった気がする。となるとここはゲームの中なのではなくて、異世界だということなのか。そうか、ゲームではないということはここは地球と何も変わらない。異世界でRRPGをしろということか!
と、そんな事を考えていてもしょうがない。何より今一番怖いのは、ここで野垂れ死にすることだ。近くにあった棒を拾い、重力に任せて手を放す。棒は一瞬ゆらりと揺れると、右方向に倒れた。
「よし、右だな」
運命に身を任せるかのように、倒れた方向へと足を進めることにした。
足を進めること1時間が経った。久しぶりに外に出たこと、さらには運動したことで、たった1時間の歩きでフラフラの状態になっていた。引きこもりニートがいきがった所で、体力が増えるわけじゃない。1時間前の俺は完全にイキリオタクであったと反省をした。
木陰でもないかと周囲を見渡すが、相変わらず原っぱが広がっていて、草以外何もない。しぶしぶと。草の上に倒れるように座り込んだ。
「はぁああああ疲れたぁ~~喉も乾いたし水が欲しい!!」
そんな声の祈りが神様に届くわけもなく、さぁ~と風が音を立てて草がざわざわと音を立てる。まるでwwwwwwと笑っているようで非常に気に食わない。しかし、疲れからか頭の中がぼぉ~としてくる。異世界に来て約1時間半しか経っていないのに、原っぱの真ん中ですやすやとお昼寝に入った。
目が覚めると再び知らない場所にいた。一瞬元の世界に戻っているのではないかと期待したが、いつともとは違う固いベットの上で、知らない天井が見えた。
「あ、目が覚めた?」
ごそごそと部屋を確認しようと物音をたてると、屁の扉が開き誰かが、おそらく俺をここまで運んでくれたであろう人が入ってきた。
「誰だ?」
俺を覗き込むようにして、真っ赤なショートカットの髪をした女が現れた。これで街中を歩いていたら間違いなく注目の的になるほど、輝かしい蛍光の赤だ。
「あなた、初心者プレイヤーでしょ?ゲーム開始、そうそう野垂れ死にそうだったのよ?」
「助けてくれたのか、、ありがとう」
「はぁ、、全く。うちの名前はローズだ。といっても名前はこっちで使ってる偽名だけどね。」
「俺はーー」
と名乗ろうとしたところをローズが指で口を押さえ、名前を言うのを阻害した。ニコニコとしたその笑顔は、まるで何か面白いおもちゃを見つけたかのような顔をしている。しかし、同時に頼りになるお姉さんといった感じをかもし出していた。
「あーあなたも偽名を作るといいわ。こっちで実名を使うと後々困るわよ。そうね、原っぱの真ん中で倒れてたし、プレインとかはどうかしら?」
「プレイン、、なんか微妙だな」
語呂もよくないし、なによりかっこよくない。何より元が原っぱじゃ、ダサくて仕方がない。
「そう、、じゃぁプをとってレインとか」
レインこれなら、よく聞くファンタジー世界にいそうな名前だな。平凡だが、またそれがかっこいい。
「レイン。それにしよう」
「じゃぁ、レイン改めてよろしくね」
布団から出した手で、ローズとしっかりと握手をした。




