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籠の中の世界は  作者: K
7/15

面倒

あのころに戻りたい~

昼休み。他学年の教室に行くというのはなんだか入りにくい雰囲気がするのは俺だけだろうか?

なんてアホな事考えてないでさっさと用事を済ますか。

俺は楓のクラスのトビラを開けた。

「おーい、楓はいるかー」

後輩たちの視線が俺を貫くが気にしない。

「おい、あんた」

「んぁ?」

振り返るとこちらを睨む後輩。

「いきなり来てうちのクラスのアイドルの楓ちゃんを呼び捨てたぁいい度胸じゃねぇか、俺は先輩だって容赦しねぇぜ」

「あ、お兄さーん」

お、雪穂ちゃん。後ろには楓も付いてきている。

「え、お、お兄さん・・・?」

「あぁ、楓の兄だが、何か?」

少し威圧感も込めて言ってみた。

後輩君はダラダラと冷や汗をかき黙りこみ、すると、

「っすいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」

と叫びながら走り去ってしまった。なんだったんだ?

「あはは・・・、気にしないでいいですよ。今ちょっとうちのクラスピリピリしてて」

「なんかあったのか?」

「なんかというか・・・」

雪穂ちゃんはチラっと楓を見る。楓はなにやら申し訳なさそうにしていた。

「楓ちゃんの人気は知ってますよね?それで、一目見ようとする人と、部活動に勧誘しようとする人で一度廊下がごった返したんですよね。それで、うちのクラスが楓ちゃんを守ろう!って立ち上がったんです」

なるほどなぁ、人見しりな楓がクラスでうまくやってるか少し心配だったが、どうやら杞憂だったようだ。

「それでお兄さん、何か用ですか?」

「あぁそうだった」

俺は楓を見やる。

「放課後迎えに来るからちょっと待っててくれないか、よければ雪穂ちゃんも。この騒動が収まるかもしれないぞ」




放課後、約束通り楓のクラスに行くとなにやら人だかりができていて怒号が飛んでいた。

「なにが起きてるんだ?」

「あ、お兄さん!ちわっす!!」

昼の後輩君が俺に気付いて近づいてきた。

「よ、んで、これはいったいなにが起きてるんだ?」

「あぁ、これっすかぁ」

後輩君は眉間にシワを寄せて腕組みする。

「どこだっけか、どっかの部が抜け駆けして楓ちゃんに部活動の勧誘をしたんですよ、んで、他の部も黙っちゃいられねぇって集まってきちゃって・・・」

なるほどなぁ。

「今はうちのクラスの奴らが扉を死守してますが、先輩相手にいつまで持つか・・・」

「まったく、しょうがない、か」

俺は両者が睨み合う場に近づく。

「ちょ、お兄さん危ないっすよ!」

「大丈夫大丈夫、まぁ見とけって」

両者が睨み合う間、楓のクラスメイトを背に守るように立つ。

「なんだお前は、部外者は引っ込んでろ!」

そうだそうだー!とヤジが飛ぶ。

「校内での強引な部活動の勧誘は校則第13条により禁止されています。これを破ったもの、または団体は2週間の部活動停止処分と反省文の提出ですが、それを理解したうえでの行動で?」

部活動団体はうっ、と少し怯む。

「だいたい、女バスが抜け駆けしたのが悪いんだ!俺たちだって勧誘したいのに我慢してたってのによ!こうなっちゃ黙っていられるか!」

「しかし、校則では禁止行為ですが?」

「けっ、校則なんて知った事か!俺達は楓ちゃんをゲットできればそれでいいいんだ!」

そう啖呵を切る部活動団体。

「なるほど・・・、できれば穏便に済ませたかったんですが、sちょうがないですね」

俺は胸ポケットからあるものを取り出す。

「今までの会話はすべてこのICレコーダーに録音させていただきました。これを証拠に生徒会執行部に直訴してもいいんですが」

なっ!!と怯む部活動団体にさらにたたみかける。

「見たところによると、運動部はサッカー部部長に、野球部、剣道部、柔道部、レスリング部、弓道部、アーチェリー部、バレー部、バスケ部、ラクロス部、女子バスケ部、女子サッカー部、文化部は工芸部、合唱部、吹奏楽部、華道部、茶道部、模型部、科学部、あとは鉄道研究会と、黒魔術研究会、占い同好会の部長さんまでいますね」

顔を見ただけで所属の部を言い当てられてさらに怯む部活動団体。

「僕は全校生徒の顔と名前を記憶しています。今回の件、一人一人実名込みで生徒会に直訴してもいいんですが、どうします?」

さすがに部が悪いのか、バラバラと帰ってゆく部活動団体、そしてとうとうみんないなくなった。

「ふぅ、終わったか」

「お兄さん、マジぱねぇっす!口だけで奴らを一方的に言い負かしちまうなんて!すげぇっす!」

「運が良かっただけだよ、もうこんな面倒はごめんだよ」

全国模試3位は伊達じゃない!

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