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籠の中の世界は  作者: K
12/15

暗雲

学校のアイドルとか高根の花だったなぁ

その後、演劇は大成功のうちに公演を終えた。

カーテンコールの時は思わず感極まって泣きそうになったのは内緒だ。

あれから少し変わった事がある。

「・・・おはよう、お兄ちゃん」

「おう、おはよう楓」

楓が俺をお兄ちゃんと呼んでくれることだった。演劇で思いを打ち明けてから、楓は俺にさらにべったりくっつくようになった。

「おはよう、二人とも!」

「おはよう、ごはんできてますからねー」

公演の後、家に帰ってからは大変であった。親父が録画したビデオの観賞会。俺にとってはどんな羞恥プレイだと思ったが、楓が見たがったためしぶしぶ俺も席に着いた。

クライマックスで俺がビンタされるシーンでは親父が大笑いし、俺が脛を蹴り飛ばすなどあったが、それ以外は普通に過ぎていった。

俺と楓が抱き合うシーンは、桜子さんがあらあら、と頬笑み、楓は顔を赤くしながらも画面からは目を放さなかった。

親父はうらやましいのなんだとうるさかったからもう一度同じところを蹴っておいた。




「おはよう!同士健吾よ!」

「あぁ、おはよう」

「おはよう、健吾」

クラスに着くとさっそく新之助と桃花が寄ってきた。

「見たわよー、昨日の演劇。楓ちゃん可愛かったなぁ」

「うむ。やはり健吾達に頼んで正解であったな」

そうかい、俺はもうこういう面倒は疲れるからごめんだ。

「ところでさ」

「ん?」

「楓ちゃんの人気、さらに上がったらしいわよ、昨日の演劇の影響で。噂では親衛隊までできたとか。健吾ー、襲われないように気をつけなさいよー」

「なんで俺が襲われにゃならん」

「だって、抱き合ってたし」

「兄妹だ!」

いたぞ、あいつだ!となにやらクラスの扉が騒がしい。

見ると他のクラスの男子が5・6人やってくる。

「城野内健吾だな」

「人違いです」

「嘘つくなっ!」

ったく、面倒はごめんだってのに。

「我々は楓ちゃん親衛隊だ。貴様は一応楓ちゃんの兄貴だから今回は警告だけにしておいてやるが、あまり調子に乗るんじゃないぞ?」

「警告っていきなりぶっそうだな、なんの話だ」

「昨日楓ちゃんにむりやり抱きついていたではないか!これが兄妹でなければ実力で排除していたところだが、兄妹ということで今回だけは特別に警告だけですませてやる。感謝するんだな」

なるほどなぁ。

「じゃあ、俺がもし兄妹じゃなかったら?」

「そんなの、実力を持って強制的に排除するまでだ。楓ちゃんに近づく輩は何人たりとも許さん」

「なるほど、ね」

ちなみに新之助も桃花もすでに遠くに避難して様子をうかがっていた。

俺は親衛隊とやらを見渡す。

「A組の磯貝に竹内、B組の阿部と山根、さすがにうちのC組はいないか、D組は根岸と細山、か」

「な、なぁ?!」

「俺はな、全校生徒の名前も顔もクラスも把握してんだよ。さらに」

俺は胸ポケットからICレコーダーを取り出す。あれ、なんかデジャビュ。

「さっきの会話は全部記録させてもらった。脅迫罪に恐喝罪、ほかにも叩けば色々ほこりが出そうだな―」

親衛隊達はサーっと顔を青ざめさせる。

「言っとくが、楓を守ろうとするのは別に構わない。だが、人に迷惑をかけたり楓に迷惑をかけるようなら」

俺はリーダーに顔を寄せる。

「無事に卒業できると思うなよ」

すると、ヒィィィィィと悲鳴を上げて逃げていく親衛隊(笑)。

まったく、面倒な奴らだ。

「お疲れ様、さっそく当たっちゃったね」

「まったく、ああいうアホの考えることはよくわからん」

だいたい、妹に好意があるなら兄と仲良くしておくべきだろ普通。

「しかし健吾よ、本当に全校生徒の名前も顔もクラスも把握しているのか?」

「ああ」

「1年も?」

「うむ」

「新学期からまだたった1カ月だぞ?!」

「んなもん、簡単だ」

さすがは全国3位・・・、と呟く新之助。俺としては3位は不本意なんだ、やめてくれ。

「これは一応昼休みに楓のとこにも行っておくか」

「お、お兄ちゃんパワー全開だね!」

桃花のよくわからない発言は無視して、1限の準備をした。




「あぁ、あの人たちですか」

「やっぱりもう来たのか」

俺は昼休み、楓のクラスを訪ねた。

いつものように雪穂ちゃんと楓が出迎える。

「んで、どんな様子だった?」

「えっとー、なんか、我々は楓ちゃんをお守りいたします。困ったことがあればいつでもおっしゃってください!とか行ってました」

なるほどなぁ

「どうするんです?」

「とりあえず実害が出てないから何とも言えないな。様子見かな。雪穂ちゃんも、何かあったら何でも言ってくれ。楓は念のためしばらく一人で行動するな、雪穂ちゃんか、俺と一緒な」

「ん、わかった」

「んじゃ、放課後部活で」

「はーい」

「ん」




放課後、部室へ向かって歩いていると、急に後頭部に強い衝撃が走る。思わず倒れこむと、これでもかと言わんばかりに再び頭に強い衝撃。俺の意識は暗い闇に沈んでいった。

さて、はたして健吾はどうなる?!続きはWEBで

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