電撃的雷撃恋愛否此処弍無し
題名が好きです
「石田くんてタイプはどんな感じなのー?」
入学して1月たたない頃によく聞かれた質問である。その頃は後ろに誰かがついてくるような…そんな気配すら感じられた。
だが今となってはどうだろうか?
ぼっち…ではない。少なくともな…。
………いや、教室では1人、音楽を聞いてる…、飯も1人…、今や謎な部活などに期待している俺がいる…。
完全に完成されたるぼっち…。
ではない張誌家が今ここに来たのだ。
1人謎の演劇部から逃げ出すように抜け出した俺はまたいつかのようにヒタヒタと寂しく蛍光灯に照明された廊下を歩いていた時…
―――会ったのである。
こんな時間にC棟の3階を一人で歩く乙女などいるはずがない…!
下手なアニメのどピンクでもなく…
金に染められてる訳でもない…
常闇に染め上げられた…
黒髪の…乙女…
颯爽と歩くその姿に見惚れてしまい、声をかける間もなく通りすごしてしまう…
話しかけなければ…!
何か……何か…!
「あの」
お互い歩いて行こうとしたとき…!
絶妙なる高さの声によって俺の緊張された足の硬直は絶頂。
声をかけられたのだ。
俺など口の動く気配もせずに。しかと人は俺をこう言うであろう。
―――チキン
そんなことどうでもいいのだ。何格好つけている。
今は黒髪の純情たる電撃的少女に対する印象をよくせねばならぬ…。
「ど、どうしたの?道でも迷った?」
「いや、演劇部がここらへんにあるって…」
背丈はあまり変わらない。女の子にしては高い方なのだが…スタイルも良い方だ。
あまりにも俺の胸部に愛のキューピッドの弓矢に射ぬかれ、キュンキュンしたような感覚に陥った為、質問攻めしてしまった…。
悪印象ポイント1。
「演劇部!?俺も入ろうと思っていた所だ!!でも今日は練習終わったよ…」
「そう…あの、名前…」
俺は簡易的に自己紹介をしてやった…
この奇々怪々たる出会いこそ俺が今陰キャラと呼ばれるようになる原因にも大きく関わるだろう。
磯崎薫
これが彼女の名前ならしい。どうにも海臭そうな名前である…とはいってはいけない。決して触れてはいけないのだ。
俺が眼鏡をかけると崩れた顔がもっと崩れるほど触れては…
おっといけない。
自虐的小説にするつもりはない。
安心したまえ。
私は紳士であるがゆえに自分を謙遜し、相手を村長するべく人間なのだ。
それが時々度がすぎるようなことになってしまうと言うわけであって――
「石…田くん」
不意に薫さんに上の名で呼ばれる。と言う以前に俺に下の名前などないのだが…。
「ど…どうした…?」
俺のその順調と言うまでもなく着々と歩み寄っていった恋愛の息吹のふかざる高校生活はここで異色な高校生活となったのだ。
「私のサンドバッグになって」
子の題名に気に入りすぎてずっとつかいたい