あんたら…一体?
すいません(´`)
旅いってました
2人はしっかりと尾っぽを伸ばし、腹から声を出す発声のわ行を終えると端的にあいうえおいうえおあうえおあい…と滑舌と呼ばれるものを開始し始めた。
2人とも図体は小さいのに声はとてつもなくデカイ。
特に師匠は滑舌もはっきりとしているにも関わらず、声は澄んでいて綺麗で何より逞しい様であった。
それに負けじとゆりの方も甲高い声を張り上げ、師匠の女にしては少し低い声と共鳴させた。
そして俺は滑舌の規則を見つけたね。
あいうえお
いうえおあ
うえおあい
えおあいう
おあいうえ
の5つで成り立ってて先頭を後ろに持っていくのがルール。
それをあ〜わ行までやるというわけか…。
「さしすせそ…しすせせそ…?ん?」
呟きで滑舌をやってみたもののなかなか難しい。
それをあの2人は美しい声で行っているのだ。貫禄も醸し出しているし…
非の打ち所が無いと言うものが此処にあるのだ。
そして師匠はこちらの目を良く見てこう言ったのだ。
「石田。見る目があるな」
〇
運命的な出会いと言うものは実在するものではなくただの人間の勘違いなのである。
人間が勝手にこれは運命だっ!!と決めてもそれは客観的に見るとただビリビリしているだけであって、そんなもの静電気が起きたときの指先の痒みに過ぎない。そんな薄く、弱く、どうでもよく、すぐに終わってしまう運命などあってたまるものか。否、あるわけが無い。そんなどうでもよい事が運命であったらビリビリするのが日常茶飯事になってしまうからな。そんなものを人間は運命とは呼ばない。では少女漫画である天から落ちる雷は何なのだろうか?
それは運命ではなく、必然。勿論のように与えられた粗筋なのである。それをプロットと呼ぶ人間も居なくは無いだろう。
だが人間はその事実を認めようとしない。これは運命である。それ以外の何物でもない。と現を抜かす。
というのが俺の持論なのだが…
事実、運命というのはあらざるを得ないのだ。
部活終了の今というこの状況でそう思わざるを得なくなった。
俺は愛のキューピッドならぬ愛の雷神様に好かれたような気がした。
旅…
高校ですけど