何でだよ!
あー…ほのぼの系て…
楽すゎ
「演劇部さっ」
2人の少女が元気良く返事をしまいが俺はとにかく失敗してしまった気がするのだ。
走馬灯のように悪い事が蘇る。がしかしそれは何なのか、全く分からない。
演劇…
昔に…昔に演劇に何をされたんだ…!
そんなこと…誰も分からない。
誰も知りたくない。
俺の…
両し―――
「おい、何かしら聞く事は無いのか。休日は何してるんですか?とか、まあそんな在り来たりな質問をする人間等、必要ないのだがな」
笑いと共に溜め息混じりに発せられた声で俺はふっと目が覚める。
「え、あぁ…えと…え、演劇部て…何してるんですか?」
「ほう、全うな質問をしてきたな。在り来たりと言えば在り来たりだが演劇人の卵は必ずそこから始まるのであって、入部の際、人間を聞くのではなく演劇単体として演劇とは何かを率直に入れてきたか…確かにそれは良いことと言えばよろしい事なのだが…まずそれは演劇をする者たるは自分―――」
「基本的に公演前以外は月水金にここで基礎練習、まあ筋トレとか発声練習ね。公演前は毎日ここで劇練習よ…」
「ゆり、私の話を中断するでない」
相変わらずなように師匠はまた淡々と演劇とは何かを語るのだが、全く俺の頭に入ってこず、ただ右から左に垂れ流し…いや流しているだけである。
現に同級生であって姉弟子であるゆりも師匠の話しなど全く聞き入れずに発声練習を再開してしまった。
C棟全体を小さな規模で包み込んでいた声の持ち主が今目の前に立って発声している…
ただそれだけで武者奮いが起きる。しかしそれは儚くもないし守ってあげたくもなくなる。逆に守ってもらいたくなる力強い大きな声であった。
師匠は変わらず台本らしき物を眺めながらお経のように説教を続ける。
いまとなっては分かるのだが…これが素晴らしいということに今の自分に知るよしなどなかった、
知りたくなかったのだろう。
俺の周りの人間が何故俺が演劇に嫌な予感を抱いているのかと
おんなじように…
「――…であるからして、演劇というのは…」
「師匠、そーいうのはまた今度にして発声してくださいよ。新入生、逃げちゃいますよ?」
ゆりがこちらも溜め息混じりに腰に手を当てながら師匠に止めに入る。
ムーっと口を尖らせてゆり姉ちゃんにつれてかれる師匠は愛らしい小学生のようだった。
今回、なんも進みませんでしたね…(T_T)