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カステラ

どおもーっ




カステラを華麗にか弱く食す薫さんに話しからけれるすべもなく俺は兎に角逃げた。

あの薫さんの事だ。周囲の観察力に長けているに違いない。超ド変態なストーカーなど教室の前の廊下に来ただけで寒気がさしているのだろうな。

暫く一人で爆走していると俺は気付けば自分の席についていた。


「石田ぁ。ツイストドーナツとジュース買ってきてくんねぇかな」


今の俺にそのような娯楽食品を買う余地などないことに見れば分かるだろう。何故自分の楽の為にこんな余裕のない人間を走らせようと考え付くのだ。しかもやり方が古い…ツラツラツラ


「わかった。ツイストドーナツと小〇井の葡萄ジュースでいいな」


小銭をぴったり渡されまた廊下に出る。

購買には未だに数えるほどしか行ったことが無いが、何故かうちの学校の購買には激流の如く生徒が集うのだ。

それ故に頭のずる賢い生徒は自らが購買へ向かう事を牽制し、身分の低いものに指令を与えるのだ。


故に、購買には身分の低い者、つまりガリガリの目がギョロっとした者や、メガネでフケのたっぷり粉吹いた陰キャラ、それか食物に飢えたデブしかいないのだ。


俺は身分の低いものとして見られている…それは駄目だ。友達がいなくとも身分は上として振る舞わなければいけないはずだ。


「じゃあ…ここからの身分を上げれば良いじゃねえか」


そうだな。それが名案だ。まずは購買にたむろう下衆どもを傘下に捕らえ俺に対する恐怖心を抱かせる。そして俺限定で購買を不自由なく行き来する事が出来る事と学校制覇をする事が出来るわけだ。まさに一石二鳥にも三鳥にもなる作戦だ。

いざいかん恋愛の息吹きの吹くべくる高校生活へ

「おい…退いてくれや」


誰も見向きもしない…

こうなったらマスクをつけていかつさを増させ…


「退けってぇ!!」


大声を出す!!

するとーみるみるのうちに人は俺を避けてくる…。

順調な滑り出しだ。

なんだ…?なんだなんだ?

と下衆どもがざわめく。当然の報いだ。お前らは人に見下されそれを満足としておかずにし、コッペパンをいくらでも食べる事を望んでいるのだから此処にいるのだろう?


「……」


俺はマスクをつけなおし、なるべく自分を大きく見せる。


「ちょっとなにぃ?喧嘩するんなら売らないわよ〜?」


購買の可愛らしい老けたこじんまりしたおばちゃんはいきなりの大声や、下衆どもの静まりを察してしかめ面をふりまいた。


「おばちゃん…ツイストドーナツ一個」


「あいよ。九十円ね」


優しくおばちゃんの手のひらに、ぴったりのお金を渡し下衆どもに一にらみを聞かせて立ち去った。

完璧…完璧すぎるほど完璧で逆に完璧なほど怖い完璧である。

しかし、流石は購買のおばちゃん。いくら脅しをかけても微動だにする気配もない。

その揺るぎない腰の曲げ方といい立ち姿はまさに金剛力士…素晴らしい。


葡萄ジュースも購入した。

これにて配達は終了。急いで教室に戻る途中、教室をすべて覗いたが薫さんの姿は何処にもなかった。


「おい。ツイストドーナツと葡萄ジュース…買ってきてやったよ…」


俺を走らせた少年とその周りにたむろう人間達はヒッと小さな悲鳴をあげ


「ああああ…ありががとう〜っ!」


と言って1000円を机に叩いて走ってどっか行ってしまった。


何故だ?後ろに先行の気配はないし…



「マスク取り忘れてた…」

何か冬の童話祭みたいなのやるそうですね

出たい!!


でも童話てなんぞ

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