ただ妄想をしているだけの話ではないか?
終わりが見えてきません
「イシーダ。これで信じてくれただろう?神秘の翼を…」
落ちたはずの髭を生やした中年はあわよくば俺の真下のロープに右手だけで掴みまるで水中を泳ぐように浮遊した。
「羽があんなら最初からそれで飛べば良いだろ?」
「はっ馬鹿な事を言うな!翼だってからだの一部、使えば疲れるさ」
「だからロープをつかってよじのぼる…ってか?」
「ああ。相変わらずの頑固者でも信じられるだろ?」
無理に決まっている。こんな断崖絶壁の中間地点でそんな羽がどうのとか言っている余裕などないのだ。
ひゆひゆと髪をゆらす弱い風も俺の余裕を刻々と削って行くのだ。
「ほら。お前も翼を出してみい」
「無理にきまってんだろ…」
とか言いながら期待してしまう自分がいる。
これは夢だからどうともなれさ。
「…出てこい。神秘の翼…!」
俺が渋々 と言わんばかりにやる気のない掛け声をした途端!
肩甲骨から何かが出てくる感触…!
手にかかっていた負担も段々となくなってゆく…!
すげぇ
「すげぇ!イシーダの……イシーダの翼が……!」
「どうだおっちゃん!俺でもやるときゃやるんだよ!」
上からも歓声!
髭親父も目を輝かせてこちらを臨む。
これが…俺の神秘の翼…!白くて…華麗で…まるで白鳥のような、そう。一言で言えば美しいのだ。
「よし!イシーダ!そのまま手を離してみろ!」
俺は迷いなく手を離した…瞬間!
とたんに無くなる浮遊感!髭親父が急に上に上がる!
これは…
落ちている!
〇〇
落ちる!
「う…うう…!こ…ここは…?」
目に入ってきたのは茶色…!
しかしここは影のようだが…いや落ちた衝撃で失明でもしたのか!?
くそ…!あの髭親父に騙されたか!
「イーシーダ!!おい!イーシーダ!!」
「イシーダじゃねえって!!」
勢いよく立ち上がるとそこは教室であった。
やっぱり……夢か…
肩甲骨の辺りを何度も引っ掻き回すが翼も跡形もない。
「石田!いつまで寝てんだ!もう四時間目!いい加減にしろ!!」
目の前には髭を生やした教師が突っ立っていた。
「こいつか…」
所詮は夢。どうあがこうと夢は夢でおわってしまうのだ。
これがどんな話になるかたのしみですね(*^^*)