表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バスケ道  作者: yama14
本編
63/72

第49Q 「残酷な金網」

パスッ!クッ!ピュルルルル!


氷陵のプレイは、まさに見本だった。

まるで体育の教科書に出てくるようなフォーム。

基本に忠実で、美しい。


遼は思わず見とれてしまっていた。

ストリートのコートは、氷陵の独壇場になっていた。


「Good D!(ナイスディフェンス!)」「Good shot!(ナイスシュート!)」「Good ball!(ナイスリバウンド!)」


そこら中から氷陵をほめる歓声が聞こえた。


点数はいつのまにか9対9。


同点になっていた。


「やるな、氷陵!」

俺と旭は氷陵を素直にほめた。

「いやー、君たち2人が居てくれるからだよ!ディフェンスもその分甘くなってるし」

氷陵は微笑しながら俺らに笑顔を振りまいた。


その時だった。

ガシャン、とコートに大きな音が響き渡った。

「やあ、氷陵君」

「Jin…!」

振り返ると、モヒカン姿の男が立っていた。日本語を喋っている?日本人か?

ただこの距離では、それは判断しようがなかった。

身長は俺と同じくらいだろうか…?



俺は氷陵の方を見ると、このクールな顔立ちからは想像出来ない怒りが顔に現れていた。


「おい…お前…なんでここにいる!?なぜこの場所が分かった!?」

氷陵はジンと呼ばれた男に近付くと、今にも殴りかかりそうな勢いで罵った。

「いやあさ…君のコート、潰してあげたのに…まだ君が色々なコートを渡り巡りながらバスケを続けているって聞いたから…そもそもさ、バスケをする場所全てをぶっ潰してやろうかと思ってよ」

「お前は、お前はバスケが嫌いなのか!?」

「ああ、嫌いだよ。あのクソ親のせいでなあ!?」


タイラーはこっちに寄ってきて、英語でジンにまくし立てた。

その英語を旭が訳し、ジンに伝える。

「『なんなんだ、お前は?何か文句があるならバスケでかかってこい』だってよ」

「バスケだあ?笑わせんなよ、カスが。俺はなあ…バスケじゃ勝負しねーんだよ。俺の得意な勝負ってのは、こ、っ、ち」

その瞬間、ジンは指を鳴らした。その瞬間、コートの周りを囲っている金網が倒れてきた。

「じゃあな氷陵。コートじゃなく、お前ごと消してやるよ。お前らは気づかなかったみたいだなあ!?この金網が昨日の夜に切られて、この金網を支えていたのは1本の柱だけだった、ってことを」

金網が落ちてきた。

このまま行くと、金網に俺、旭、氷陵、タイラーが巻き込まれる!

金網に巻き込まれて潰されると、命がないのは明白だった。


ど、どうする…!?!?


その瞬間だった。

タイラーが金網を背中で支えたのだ。


「run away!(逃げろ!)」

タイラーが金網を支えられていたのはほんの1秒だろうか。

その間に俺と旭、そして氷陵の3人はバスケで研ぎ澄まされた反射神経を生かし、金網の下から逃げた。


その瞬間だった。


ガッシャンッッッッッ!!!!


背後で大きな音がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ