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バスケ道  作者: yama14
本編
56/72

第42Q 「SG対決」


ハーフラインを超え、俺は橘に対峙した。

「さーて、終わりかな?西成中さんよ」

橘は笑っていた。

「実はこの4Q―俺は3Pを1本も決めてないんだよ。お前に笑っている暇があるほど、俺らは図抜けたオフェンスはしてねぇ!」

「来ると思ったよ。お互いMVP同士、息が合うねぇ!」

読まれたか―?

俺はシュートモーションに入る。

「俺は、チームを引っ張んなきゃいけねぇんだよ!」

「それはこっちも同じだ!」

シュートを放つ。

ボールは橘の手の指先を超えた。

入った―

放った瞬間、俺は確信した。


ピュルルルルルルルルルル!


バスッ!


「きゃああああああああああ!」「逆転だ!」「鉄平、よくやった!」「榊先輩、ナイス!」

西成ベンチが湧いた。


「4Q、3P1本目!このまま突き放せ!」

美奈っちが右手をあげて叫んでいた。


55対54!




さすがだ―

こんなところで3Pを決めるなんて、どんな奴だよ、榊先輩!

凄すぎる!


「ファストブレイク!」

橘は叫んだ。


しまった!

竜太郎は先に走っていた。


速い!この終盤に来て、どんなスタミナしてんだよ、こいつ!


一番最初に3Pラインに到達したのは―


竜太郎だった。


「頼んだ、竜太郎!」


橘からの弾丸ロングパスが竜太郎めがけて飛んで行った。


「待てやこらあああああああ!」

榊先輩が叫びながら走っていく。

榊先輩も、速い!


バシッ!

パスを受け取る時の乾いた音がコート中に響き渡った。


竜太郎はゆっくりとシュートモーションに入った。


俺はその瞬間、追いつけないことを確信した―


ビュルルルルルル!!

バスッ!

審判は3本指を体育館の天井に突き上げていた。


「きゃーーーーーー!」「竜太郎!竜太郎!」

歓声とため息。

その2つが入り混じり、体育館に響き渡った。


55対57…


「走れ!こっちもファストブレイクだ!」

黒船先輩がすぐにボールを榊先輩にパスした。


「ボールください!」

俺はその瞬間、榊先輩とアイコンタクトをした。


分かりましたよ、榊先輩―

ここは1年以上チームを引っ張ってきた熟練の経験を持つ、榊先輩に任せます!


俺は榊先輩から魂のこもったパスを受け取る。

俺は倫太郎と対峙する。


俺はレッグスルーで一息ついた。

ダムダムダム―

乾いた音が響く。


右へのクロスオーバーから、左のクロスオーバーフェイク!

そしてそのまま左でぶち抜いた!


キュキュキュッ!


だが俺は倫太郎、橘の2人に囲まれた。

さすが2人とも、速いな―

ディフェンスのスペシャリストと言われてるだけあるぜ。

ただな、今回はそれがあだになったみたいだな!


俺はシュートモーションに入った。

2人が飛び上がる。

「引っ掛かりましたね。うちの得点を決めるのは、僕だけじゃありませんよ?」

2人は空中で、しまった―という顔をした。


俺は後ろに居る榊先輩を横目で確認した。

俺は左手を返し、そのまま3Pライン上に居る榊先輩へパスをした!

「頼みます!」

「任せとけ!」


榊先輩は完全にフリーだった。

ゆったりとしたシュートフォームから、鋭いシュートが放たれた。


誰の目から見ても、そのシュートは入ると分かった。分かってしまったのだ。


バスッ!


一瞬の静寂。

見事な2人の連携パス。

美しい攻撃だった。


「きゃーーーーーーーーーー!」

会場が一気にわきあがる。

「西成!西成!西成!」

今の1つのプレイで、会場の観客は西成寄りになったようだ。

さすがバスケだな―1つのプレイで観客の胸を打つ。

ホント、バスケっておもしろいぜ!


58対57!



「ふぅ…ミーティング終わった終わった…」

めんどくさそうに炎太が体育館の熱気あふれるコートに入った。それに続いて氷陵もコートへ入る。

「それにしても暑いね…」

氷陵がつぶやく。

バスッ!

「おっと…?」

非常に乾いた、聞いていて心地の良い音が体育館に響き渡る。

この音をiPodにでも入れてずっと聞いていたいものだ。

沈黙の後、会場が大きく湧きあがる。

その瞬間、西成の得点が55から58に変わったのが氷陵に確認できた。

「ふふふふふ…ははははは…この試合、本当に面白いね…3P対決か…市でも屈指のSG、榊鉄平と早田竜太郎。試合の命運は、この2人のSGにかかっていると言っても過言ではないね…」

氷陵は面白そうにつぶやいた。

その瞬間、氷陵に見慣れない人が目に入った。

「おまえ…!!!」



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