第19Q 「basket brothers④」
俺、何やってたんだ…
俺が好きな女を泣かしてまで…
「ごめん、本当にごめん!俺、自分を見失ってた。本当にごめん。そうだよな。桜のおかげで気づけた」
何やってんだ、俺!死んだらもう未来なんかないじゃないか!
「急にいなくなったりして、悪い。あの話をほったらかしにして、桜を励ましも出来ずに、ごめん」
「ううん、大丈夫だよ。それよりもここ、寒いからあっちいこう」
桜が俺の手を引いた。桜の手は、暖かかった。
橋のふもとの公園にたどりついた。
噴水のわきに座る。
「あ、ごめん…手つないじゃった」
手をほどこうとしたが、俺は力強く手を握った。
「え…?」
「手、離すな」
「え、あ、うん」
桜の顔は赤くほてっていた。
すると、桜がゆっくりとまた話し始めた。
「私、遼君のお父さんに言われてから、こう考えるようにしたの。過去は変えられないかもしれない。けど、未来は変えられる。夢も希望も、叶えられる。そう考えていたから、今があると思ってたの」
桜がそう話す横顔は、天使のようにほほ笑んでいた。
「だから、遼君もそう思ってほしい。過去は変えられないかもしれないけど、未来は変えられる。そう思って生きていけば、この後、幸せな未来が待っている筈だよ」
すると、こっちを振り向き、笑顔で笑った。
桜の周りが光り輝いて見えた。
俺は思わず、唇を重ねた―
数秒の沈黙。
2人の周りは、周りの空気とは対照的に、暖かく、光り輝いていた。
今日も、星空が輝いている。






