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バスケ道  作者: yama14
本編
25/72

第14Q 「最後の4Q」

宮之城ボールで、第4Qが始まった。

新太の顔は、もう必死だった。

31点という大きな差を追いつくために、得点を取ろうとしている新太の姿は、もうけもののようだった。


したたる汗、ドリブルの音。

男と男の戦いだ。


新太は必死にドリブルをついていた。

だがあまりにも必死すぎて、一人で突っ込み、自滅するということを繰り返した。


榊先輩と俺のコンビはどんどん良くなっていった。

相手の牛島監督はいらいらして、選手たちを怒鳴っていた。


3Q残り2分現在で、113対67。


だが最後まで神は新太を味方しなかった。

どんどん点差が離れていった。


榊先輩の3P、俺の中からの2P。


最後の方の新太の顔は、汗でかおがぐちゃぐちゃになっていた。


「ピ―――!」

試合が終わった。121対71。


「121対71で、西成中学校の勝ち!」


「ありがとうございましたっ!!」


礼が終わった瞬間、俺は榊先輩と抱き合った。

「うっしゃあ!」

「このまま、天童も倒すぞ!」

「おう!」


西成中学校 121 対 71 宮之城中学校

1Q 32 対 13    

2Q  9 対 22

3Q 44 対 17

4Q 38 対 19


「ふふっ…我らが兄弟よ…3Pがうまくなったな…当たる時が…楽しみだ」

会場のわきから見る男は、その一言だけをいい会場を去っていった。




体育館わきの水道で顔を洗った。

新太に勝った!疲れはあったが、その事実だけでもうれしかった。

「よう」

「おう」

新太がやって来た。

「いやぁ、すげーな…シミ…俺らも少しで進化したと思ってたけど、お前はその上を言ってた。それはこの試合を見れば事実。負けた。中体連では、この借りを返すからな。覚えておけ。うちに勝ったんだから、この後も勝ってくれないと困る。絶対的に勝てよ」

「あぁ。中体連、楽しみにしてるよ」

「そんじゃな。言いたいことはそれだけだ」

新太は悔しそうだった。


明日は2回戦。千束中。そこまで強くない。勝てるだろう。勝った後に眺める夕焼けは、とても気持ち良かった。




俺は体育館端に神宮寺先輩と話す桜を見つけた。

う、やべ…

どうしよう。

「さ、桜、一緒に、帰らない、い?」

声が上ずってしまった。

「お、アツアツだね~」

神宮寺先輩が冷やかしてきた。

「え…い、いいよ」

桜が顔を夕焼け色に染めながら言う。

「両方とも照れ屋さんか…付き合ってるの?」

「え、い、いや」

「そ、そんなことないです!」

神宮寺先輩、辞めてくれ…照れすぎて大変なことになりそうだった。

「じゃあ、カップルの邪魔だから帰るかな~大我待ってるし。じゃね!」

2人の背中を押し、神宮寺先輩は帰って行った。


「あ、あのさ…昨日デートな訳ないだろって言って、傷付いたような表情してたし、風間一人で夜おいてっちゃったし、ごめん」

「え、そ、そんなの大丈夫だよ!」

よ、良かった…やっとフォローできた…


校舎を出て、桜と試合について話していた。

その時だった、桜が俺の陰に隠れた。

「ん!?どうした?」

「い、いや、何でもない…」


「あれ~!?久しぶり、サクラじゃん!お、彼氏と一緒?かっこいいね~サクラには不釣り合い?」

ワハハハハハ!

同い年だと思われる女が3,4人群がって歩いていた。


「な、なんだよ!お前!桜の事バカにすんな!ふざけんな!」

もう口を抑えきれなかった。桜の事を馬鹿にしたあいつらが、許せなかった。


「あ~あ、彼氏キレてるよ~も~めんどいから帰ろ!」

その女は、そのまま帰って行った。


その後数秒の沈黙。そして桜が口を開いた。

「桜って呼んでくれたね。ありがとう。そのままでいいよ」

「え、あ、まぁあれは怒ってたしさ…そのままでいいならそのまま呼ぶけどさ…お、俺も遼でいいよ」

呼びたくてたまらなかったので嬉しかった。

だが、さっきのあいつらは何だったんだ?


「ごめんね、遼君。あんな姿見せちゃって」

「うん、大丈夫。ご、ごめん、言いたくないこときくようだけど、あいつら何だったの?」

聞いたら傷つくかもしれない。けど、桜が何を言っても受け止めて、桜を元気づけたい。その一心で聞いた。

数秒の沈黙の後に、桜はしゃべりだした。


「私…あの子たちにミニバス時代いじめられてたんだ」








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