第10Q 「センターライン」
ポップコーンがはじけるような音がして、バスケのボールを取り合った。
黒船先輩がボールをとった!
榊先輩の方へボールが転がった。
するとそのまま榊先輩は3Pラインの1歩手前でシュートを放った!
見事スウィッシュした。
「ナイスです!榊先輩!」
「おう!」
3対0。
開始1秒で先制した。
ダムダムダムダム!キュ!キュ!
ドリブルの音、バッシュのソールの音。
試合ならではの違った音の聞こえ方がした。
相手は新太を中心に試合を進めていた。
相手のセンターは比較的小柄だった。174cm。俺より小さい。
3年生の西内武志というらしい。
「リバウンド取って確実に得点だ!」
和泉先輩が叫ぶ。
俺が付いているのは竹内元という3年。170cm。
ディフェンスの陣形はマンツーマン。
新太はパス回しを中心に落ち着いてボールを回している。
俺らのディフェンスの穴を探していた。
新太は数秒たった後、シュートを打ってきた!
だがそのシュートはフェイクだった。
新太についていた和泉先輩でさえ引っ掛かってしまった。
あいつ―
少ししか経ってないのに、どれだけシュートフェイクがうまくなったんだ!?
面白い―
あいつも成長しているんだ。
そのままゴールの近くでシュート。
華麗すぎて、見とれてしまうほどのシュートフェイク、ドリブル、そしてシュートだった。
3対2。
「すまん!」
和泉先輩が叫んだ。
こっちは相手とは対照的に素早くラン&ガンで攻めていく。
パシッ!
相手は翻弄されていた。
だが新太が付いている和泉先輩が、新太の厳しいディフェンスで、なにもできなくなっていた。
俺はポストに入った。
開始1分弱のプレイで、これならポストに入れられると判断したからだ。
俺はポストに入った。
そして榊先輩はうまくいれた。
榊先輩は自分のボールを取りに行くと見せかけて、フェイク!
そして俺はそのまま打った。
ガン!ガン!ガン!
スパッ!
スウィッシュとはいかなかったが、2Pシュートが入った。
「ナイッシュ!」
これで5対2。
開始1分がたった。いい滑り出しだ。
新太は苦虫をかみつぶしたような顔をしていたが、
「絶対的に勝つ!」
と叫んで、自分で自分を元気づけていた。
和泉先輩は悔しそうだった。
1年にやられたからだろう。
すると今度は逆にすぐ新太がまたシュートフェイクを仕掛けて打って来た。
だがそれを和泉先輩は読んでいた。
バンッ!
シュートカットした!
そのまま転がったボールを和泉先輩は取り、榊先輩にパス。
そのまま3Pを打った。
榊先輩についていた2年の新堂はついていけていなかった。
バスッ!
またスウィッシュしてシュートが入った。
8対2。
榊先輩が今日は絶好調だ。
この状態で1年VS2年をしていたら、負けていただろう。
新太は悔しそうだった。
だがその時だった!
センターラインからシュートを始めた!
「おい、嘘だろ・・・」
さすがの和泉先輩もそれにはついていけなかった。
ツーハンドで打ち始めた。
そしてボールは手から離れた。
シュルルルルルルル!
ガンガン!パスッ!
ボールはリングにぶつかりながらも入った。
両軍ベンチからどよめきが起こった。
「ウソだろ…」
「ドンマイドンマイ!」
榊先輩が叫ぶ。
「本当にすまない!」
和泉先輩は本当に悔しそうだった。
これで8対5。
だがその後、黒船先輩が速攻を決め、10対5。
正直、新太と宮之城のキャプテン・西内以外は全体的にレベルが低い。
それをついていければ・・・
すると、さっきの失敗を取り戻すかのように、また和泉先輩は必死にディフェンスについていた。
新太が打った!
だがそれを和泉先輩は止めた。
新太もプレイがやりずらそうな顔をしている。
そのまま榊先輩が綺麗なシュートフォームで3Pを打った!
そのまま入った!
榊先輩絶好調!
「うりゃああああ!」
榊先輩は叫んでいた。
開始3分でなんと13対5。
点の取り合いになりそうだった。
よし、勝ってる!