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バスケ道  作者: yama14
本編
15/72

第5Q 「ブザービート」

残り10秒。




まだ逆転できる!



ボールは西山が持っていた。


「ボールくれ!」

俺はさっきの失敗を取り返したかった。

1年チームのために。俺はパスをもらった。残り5秒。

俺のマークは長瀬。


俺はドリブルし、1年チームのフロントコートへ突き進んでいった。


残り2秒。パスするにも2年チームが最後の力を振り絞りディフェンスしているため、パスできなかった。


最後は俺が決めるしかない!


「決めろ!吉見!」「吉見!頼む!」


1年チーム全員から声が上がった。


俺は燃えた。


1年チームのためにも、絶対シュートを入れる。


ブザービートだ!


長瀬は激しくディフェンスしてくる!


俺はそのディフェンスを超える勢いでジャンプした。残り1秒。


「うおおおおおおおおおおお!」


俺は最後の力を振り絞り、ボールに力を込めた。仲間のためにも!絶対入れる!


1年チームの願いがこもったボールは、空中へ舞い上がった。


ボールは綺麗な放物線を描いた。



そしてボールは・・・・・







見事リングへ吸い込まれていった。



パスッ!という音と同時に、笛が鳴った!


1秒くらい沈黙があった。


そしてバスケ部全員が、


「ブザービートだ!」

と叫んだ。


丹原や伊龍、西山、大沢と抱き合って喜んだ。榊先輩は悔しそうに顔をゆがめていた。

「やった!やった!」


「41対40で1年チームの勝ち!気を付け、礼!」


「ありがとうございました!」


気持ち良くそろった礼だった。


西成中1年チーム 41 対 40 西成中2年チーム

       3P 2P PTS        3P 2P PTS

4 吉見 遼  0 11 22 4  榊 鉄平 6 1 20

5 丹原 恭介 0 4  8 5 長瀬 慶太 0 6 12 

6 伊龍 翼  0 1  2 6 寺田 周  0 3 6

7 西山 大輝 3 0  9 7 高木 秋人 0 1 2

8 大沢 敦  0 0  0 8 日向 大輔 0 0 0

計       3 16 41        6 11 40



「疲れた~」

夕日に照らされた道を、丹原と伊龍と俺3人で歩く。

「西山、凄かったな」丹原がつぶやいた。

「あいつ3本だろ?どんだけ勝負強いんだよ」俺はうなずきながらしゃべる。

「伊龍もナイスだわ。ドリブルうまいな」

ガムを噛みながら伊龍はクールに言った。

「そりゃどうも。ストバスの経験が生きたのかもね」

「ストバスもなめたもんじゃないな」

丹原が笑った。

「舐めてもらっちゃ困るよ、丹原」

怒ったように言うが、夕日に照らされて表情は見えない。

「ていうかさ、俺ら下の名前で呼び合おうぜ」

丹原が真面目に言った。

「嫌なのだよ、はずかしいではないか」

伊龍は言った。

「いいんじゃねーの?」

俺は言った。

下の名前で呼び合った方が、仲が深まると考えたからだ。

「じゃー俺ら二人はそうしようぜ、遼!」

なんか照れ臭かった。

「照れくさいけど、まぁいいや、頼むぜ、恭介」

「ま、伊龍君は頑固だから僕たちとは違うもんね~」

恭介が冷やかしたように伊龍に言う。

恭介は俺に肩を組んできた。

「黙れ!丹原!」

真面目に怒っている。

「おもしれーな、翼!翼っていうかっこいい名前なんだからもっと爽やかにふるまえよ!」

「黙れ!恭介!」

伊龍はしまったというような顔をした。


「はは、恭介って言った!やいやい!」

冷やかしながら恭介は逃げて行った。

それを翼は追いかける。

「待ちやがれ!恭介!あ、丹原!」

「あ、また間違えた!」

バカみたいだけど、なごやかだった。


これからうまくやっていけそうな気がした。


翼と別れた後、俺は恭介としゃべりながら帰って行った。

「え、恭介と俺誕生日同じじゃん!」

「え?遼も4月6日?」

2人は笑いあった。

共通点が見つかっただけで、グッと仲が深まった気がした。


「メアド交換しようぜ!」

恭介の提案でメアドを交換した。


「にしてもさ、1年のマネージャー、名前何だったか忘れたけど可愛かったね」

心がどきどきしてきた。

「そ、そうだね」

すると恭介はにやにやしながら言った。

「あれ?1年のマネージャーのこと好きになったわけ?」

変に勘が鋭い奴だ。

「風間な、風間桜。風間のことなんか好きじゃねーよ」

すると恭介はとんでもないことを言った。

「風間お前のことプレイ中ずっと見てたぞ」

マジで?マジで?心臓がバクバクなりだした。

嬉しかった。

「そんなわけねーだろ」

「いや、見てたよ」

そんなこと見てる暇あるんだったらプレイに集中しろと言いたかったが、嬉しさのあまり声にはしなかった。

「メアド聞いとけよ!じゃあな!」

メアド、か・・・

俺は風間のことを考えながら、恭介に小さく手を振った。



      

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