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バスケ道  作者: yama14
本編
14/72

第4Q 「西山の3P」


体育館が熱気に包まれる。

見ているバスケ部員の応援の声も次第に大きくなっていく。

西成中バスケ部内の試合なのに凄い盛り上がりだ。

「何よ、この盛り上がり方・・・今年の1年生、やってくれるわね!」

バスケ部顧問・吉田美奈子はつぶやいた。

「バスケの試合って、面白いですね・・・こんな盛り上がるなんて・・・」

風間は言った。


「あと1点!これ抑えてこーぜ!」

俺はぞくぞくしてきた。

ドリブルの音、バッシュのソールがすれる音―

たまんねぇ!


2年チームの攻撃が始まった。

すると、2年チームは過ぎに立て直し榊を中心に素早いパス回しで1年チームを追い詰めていく。俺は言った。「動揺すんな!」

2年のパスも速い。くっそ、このままじゃヤバい。大沢や西山も対応するのに大変そうだ。

その時だった。

大沢がディフェンスしていた寺田先輩が一気に抜いた。

「丹原、ヘルプ!」俺は叫んだ。

「寺田!パス!」榊は叫んだ。

寺田のパスはギリギリ通った。

俺が抑える!

「うおおおおおおお!」

だが甘かった。榊は上手く俺を交わし、そのまま寺田へパスした。

シュートを打たなかった・・・だと!?

「丹原、抑えろ!」

だが丹原は榊が打ってくると思い込んでいたのか、寺田にはすぐにディフェンスにつけなかった。

そのまま寺田はレイアップ。

29対32。


「くっそ!」

「丹原、すまん」

丹原は燃えるような目つきでこう言った。

「いいよ、また1本とればいい話だろ!」

方をバシッと叩かれた。

丹原、お前っていい奴だな―

改めて思った。


「1本抑えてこ!」

まずは西山にパス。

その時だった!「マジか!?」「ええええ!」

西山がまた3Pラインから打ったのだ。

ボールはお世辞にもきれいとはいえないが、ゴールの方向へ突き進んでいった。

だがそのボールはなんとリングに何回も当たりながらも、


入った!


和泉が3本の指を突き立てた。

3Pだ・・・

あそこから打つなんて・・・2年チームも対応できなかった。

「ナイス、西山!」口をそろえて1年チームみんなが言った。

あいつ、どんだけだ―

勝負に強すぎだろ・・・

「西山、ナイス!」

肩をたたくと、西山はうれしそうに笑った。

32対32。残り4分。


2年チームはまた榊を中心に速いパスを回してきた。だが2年も追いつかれたという焦りと3Pが入ったという驚きからか、寺田がミートをミスし、ボールが転がっていった。

「ルーズボール!」

すると大沢がそれをとり、伊龍にパスした。

すると伊龍は一人でゴールへ突き進んでいった。

なんと今度はそのまま伊龍が3Pを打った!

しかしボールは空中で大きな弧を描いていたが、ゴールには届きそうにもなかった。

俺は今ゴール下の近くだ。

今度は俺がリバウンドをとる!

ボールが落ちてくる。

榊の手が見えた。

「うおおおおお!」

俺の手をボールがかすめていく。

榊はそのおかげでボールを取り逃がした。

「丹原!ボール!」

丹原はそれをとると、シュートを打とうとした。

だが榊もなめてはいけなかった。

空中で回転し、ディフェンスをしてきたのだ!

だがそれを丹原は読んでいたかのように。まだ空中で飛んでいる俺にパスしてきた。

おれはそのまま空中でシュートを放った!

シュルルルルルル!

パスッ!

「入った!」

見ていたバスケ部員からは歓声が上がった。

34対32。残り3分。


2年チームは、そこからパスがひどくなった。

勝ちこされた焦りからか、DF真正面にパス。

こっちにボールが飛んできた!

飛んでくるボールを横から取ろうとする榊の手はむなしくからぶった。

それをそのまま見事に受け取った俺は、そのままレイアップを決めた。

36対32。

「ナイス、吉見!」


「落ち着け!まだ4点だ!追いつける!」

榊の声が聞こえた。

だがその声もむなしく、また寺田と長瀬の間でパスミスが起こった。

それをとったのは西山!

なんとまた西山は3Pから打った!

俺は打った瞬間、入ると確信した。

このシュートフォームからは想像できないような綺麗な放物線だった。

そのままボールはリングへ吸い込まれていった。

西山、今日3P3本目じゃねーか・・・・しかも3の3。成功率100%。どんだけ勝負強いんだ!」

「西山、ナイス!シュートフォームはひどいけどな」

「一言多いぞ!」

2人は試合中にもかかわらず、笑いあった。

いい雰囲気だ。

39対32。残り2分。


だが俺はそのあと、奇跡を目にした。

なんと榊はひとりでドリブルし、センターライン(コートの真ん中の線)からシュートを放ったのだ!

みんな目を丸くした。これはまるでNBA選手じゃねーか!


だがそのボールは、外れろという願いもむなしく、リングにぶつかりながらも入った。

この試合いちばんの歓声が上がった。

あんなシュート初めて見た―

39対35。残り90秒。


「何よ、今の―あり得ない・・・あんな榊君、初めて見たわ」

美奈子は驚いたように言った。


残り90秒で勝負が決まる!


俺は燃えた。ラン&ガンだ!


ダムダムダム!

俺は伊龍とパスをつないでいく。


そしてポストに入った丹原にパス・・・したつもりだった。

横から長い手があらわれた。

その手はボールをはじき、そのまま相手ゴールへ転がっていった。

榊だ!ボールを奪われた!

「ルーズボール!」

ボールの近くにいる西山と大沢に叫んだ。

だが西山と大沢は対応できず、そのまま榊がボールをとった。

榊はフリーで3Pラインから打った。

俺は追いつけなかった。

ボールは当たり前のようにリングへ入っていった。


くっそ!

あっという間に39対38。

残りは50秒。

1点差だから、何が起こるか分からない。

ちくしょう、この失点は俺のせいだと思い唇をかみしめていたら、いつもクールな伊龍が肩をたたき、こう言った。

「ドンマイ。まだ勝っているのだよ」

クールな語り口だったが、俺にとっては大きいパワーになった。

俺らが、まだ勝っているんだ。

負けているわけじゃない。しかもボールはこっちにある!


俺は走った。

周りが見えなくなっていた。

一瞬にしてボールの感覚が消えた。

榊にボールをカットされた!

だが伊龍がまだ相手コートにいた。

勝負は、榊と伊龍の1on1に託された。

榊はまた3Pラインからフェイダウェイしてシュートを打とうとした。

だがそれに伊龍は対応した。

「伊龍!ナイス!」

やってくれるな、2年も!だが勝つのは俺らだ!

ボールを持った榊は、俺がマークしていた長瀬にパスした。

長瀬と俺の一騎打ちとなった。

長瀬に力押しされたが、俺は押し返した。

男の魂と魂がぶつかるバトルだった。

だが決着はすぐに付いた。

そのまま長瀬はなんとダックイン(頭を下げて進むこと)してきた。

長瀬がダックインだと―?

俺はまんまと引っ掛かり、そのまま決められた。

長瀬までダックインしてくるのか・・!?

39対40。

7点差まで付けた試合は、すぐに逆転されてしまった。

「ごめん、みんな!」俺は泣きそうになった。

「大丈夫!」「まだ10秒ある!」

みんないい奴だな、改めて1年の絆を感じた。まだ入学したばかりなのに、5人の心をバスケがつないでくれた。

諦めないでやるっきゃない!みんなの悔しそうな顔を見たくなんかない!ボールはこっちだ!





残り10秒。




まだ逆転できる!




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