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バスケ道  作者: yama14
本編
12/72

第2Q 「1年vs2年」


「えー、今日から練習を始めるわ。えっと、ミニバスやってたのは吉見君と丹原君だけ?西山君と大沢君と伊龍君はやってなかったんだよね?」

美奈さんが西成バスケ部員みんなに向けて言った。


「俺は宝沢公園で暇な時ストバスしてましたけど」

伊龍翼が言った。


「ふ~ん、そうなんだ。けどストバスと中学のバスケは少し違うからね~」

「ストバスを馬鹿にするのはやめてください」

「あ、ごめんごめん」


あの後3人入ったらしい。


その中では伊龍というやつがうまそうな感じがしていたが、やはりバスケ経験があった奴だった。


「あ、紹介しておくわ。この子は3年生のマネージャー、神宮寺凛ちゃん。そしてこの子は、新マネージャーの1年生、風間桜ちゃん。桜ちゃん、凛ちゃんにしっかり教えてもらってね!」


「はい!」

可愛い声で返事をした。


風間桜…

可愛いな…

風間は、自然に可愛かった。

これが、一目ぼれ、ってやつなのかな…


遼は、風間の事を少し心の中で思い始めていた。


「ちょうど5人ね。じゃあ、これから2年生と戦ってもらいます」

「は?」「え・・・」「マジで?」

一年生の西山と大沢は無理だという風な声を上げた。

すると、丹原が言った。

「おもしれぇ・・・やってやろうじゃん」

「だな・・・絶対勝とうぜ!」俺と丹原はハイタッチをした。

「2人とも、盛り上がるのはいいが冷静になりたまえ」

三人は笑いあった。


うっしゃ、勝ってやろうじゃん!

風間もいるし、風間にかっこいいところを見せてやる!




「じゃあ、8分×2の16分間ね」

ジャンプボールだ。

相手は榊先輩。2年で一番身長が高く、2年の中で一番うまいらしい。だが身長は175くらいだ。これは勝てる。


ボールが舞い上がった。バチィン!とポップコーンがはじけたような音がした。

ボールはゴールの近くにいた伊龍の方向へ上手く転がった。

それを伊龍はつかみ、そのままレイアップ。

まずは2点を取った。

「伊龍、ナイス!」

「どうも」

試合でもクールな奴だ。

だが2年生も黙ってはいなかった。1年生大会で全市大会出場(自分の住む市は区分けされていて、まずは区の中の予選で勝ちあがらなければならない)の実力は半端ではなかった。

榊は3Pラインの手前ですぐにシュートを放った。綺麗な放物線を描き、そのまま3点を取った。


シュートモーションが速い・・・!


そのまま点の取り合いとなった。


だが1年は2P、2年は3Pだと、どんどん差が開いて行くのは歴然だった。

もともとセンターだった俺と丹原は3Pを得意としない。

伊龍もストバスの経験しかない。


1Q終了前で、なんとミニバス全国優勝の俺は驚愕した。

負けている・・・!?

流石にミニバス全国優勝のプライドとして、2年には勝とうと思っていた。

だが、そんなに現実は甘くなかった。

18対25。


ミニバスの時のテクニックが、通用しない・・・!

弱小校だと噂で耳にしていたが、意外とおもしれえじゃねーか、西成も!


俺は燃えた。


するとおれの伊龍がストバスで培ってきたドリブルを見せながら、DF2人を一気に抜いた。


そして俺にパスが来た。

俺はダックインしながらバックでシュートを放った。


「そこからダックイン!?そしてバックシュート!?」

監督とや他のバスケ部員、風間を感嘆の声を上げた。


その時、榊先輩が俺にファールをした。


だがボールはリングにぶつかりながらも、ゴールに入った。


「バスケットカウントワンスロー!」審判役のキャプテンの和泉は叫んだ。


「丹原、俺、わざと外すわ。リバウンド取って、入れたほうが2点取れる」

「了解!」


俺はわざと外した。

そして丹原と榊が手を伸ばした。先にふれたのは何と、榊だった。

「ちくしょう!」

だがボールが転がった先にいたのは、偶然にも西山だった。

「西山、パス!」

だが西山はどうしていいかわからなかったのか、そのまま3Pライン上からシュートを放った。

「めちゃめちゃなシュートフォームだな、おい・・・」


「リバウンド!」

打った瞬間俺は丹原に叫んだ。


だがそのシュートは、リングにスウィッシュ(そのままリングに触れずにスパッとボールがリングに入ること)した。


「・・・・・ナイッシュ!」

おいおい、すげーな西山。見直したぜ。


これで23対25。点差は2点。1Q残り30秒。


だが榊も黙ってはいなかった。

「榊先輩に伊龍、西山ダブルチームしてくれ!最後、止めるぞ!」


榊は3Pライン手前で止まった。シュートを打つと思って2人は間を縮めた。だがその時―


1人と2人の間が一瞬にして広がった。

そしてそのままシュートを放った。

その放物線は、


見事、入った―


試合を見ている連中から感嘆の声が上がった。先生もマネージャーも大騒ぎしている。


3Pラインからフェイダウェイして入れる―

だと!?


何て奴だ―榊先輩は―

西成、強いじゃねーか!


「さぁて、一本抑えよーぜ!」

榊は何事もなかったようにディフェンスについた。


うっしゃ、決めるぜ!

「ラン&ガンで行くぞ!」

残りは少ない。シュート1本の差にしておきたい。

俺は丹原と高速パス回しをしながらゴールへ突き進んでいった。

だが、2年は俺ら二人にはマンツーマンで、ほか三人にはゾーンディフェンスで挑んできた。

いわゆるトライアングル(2人に対してそれぞれマーカーをつけ、残りの選手で三角型に1-2のゾーンを作ること)だ。


徹底的に点はやらないつもりか!

しかも俺のディフェンスは榊。


伊龍はどこ行った!

俺は伊龍にパスをした。伊龍はカットインした。マンツーマンゾーンディフェンスは、ゾーンディフェンスの部分がどうしても弱くなってしまうのだ。伊龍はディフェンスをかわしていく。


だが、2年の榊先輩ともう一人のスコアラー、長瀬亮太がその道を阻んだ。


「伊龍!ボール!」

俺はボールを榊に触られながらもかろうじて受け取った。


そのボールを俺はダブルクラッチでタイミングを外して打った・・・筈だった。


それを見事に読まれ、見事に後ろからボールを取られた。

「ルーズボールだ!長瀬、そのまま行け!」


丹原と長瀬、そして丹原についていた京本先輩の2対1だ。


そのままあっさり決められてしまった。


悔しい!

マンツーマンゾーンディフェンスは、もう一本取るためにも敷いていたのか!


そのまま1Qは終わった。

23対30。


「おもしれぇ・・・燃えてきた!」

俺は顔を真っ赤にさせながら丹原と手を合わせ、2Qで逆転することを誓った。

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