Brave 2-8
コスモバンキッシュとの戦闘から数日後
テルペシアもすっかり元気になった
しかし良い事ばかりではない
一番厄介なのは暗黒封晶の存在であった
武神降臨を封じられては
コスモバンキッシュの様な強力な敵に対応出来るのは数人しか居ない
しかもロザリアですら苦戦するのだからロザリア以上の実力者が必要
分かっている中でもジュリアとデスト
そして本部の地下最階層に投獄されているアルフェルシー位だ
今その暗黒封晶を封じる事が出来るのはテルペシアの持つ魔眼
『能力破壊』
如何なる能力をも無条件は破壊する脅威の魔眼
それは人の特殊能力は勿論物質が持つ特殊な能力をも封じる事が出来る
前回の戦闘でロザリアが暗黒封晶の効果から奪し武神降臨が出来たのも
テルペシアの魔眼のおかげである
現時点で暗黒封晶に対抗出来るのはテルペシアの魔眼だけ
しかしテルペシアがその魔眼を使用すると想像以上に体力を使用する
現にテルペシアがあの戦いから起きるまでに4日を要した
これから先もテルペシアのみに頼る戦いはテルペシアの命に関わる
その事を踏まえ今X Brave本部では緊急会議が開かれていた
「私からの意見としてはテルペシアさんの魔眼の能力と全く同じ波長を作り出す
道具を開発する事が今一番友好的な手段と考えます」
緊迫した空気の中ペルセフォネは自分が立案した計画書をフィルターに写しつつ
プレゼンテーションをする
その提案に対し真っ先に指摘したのはマサイアスであった
「しかし魔眼と同じ能力をと言うのは事実上無理に近い
深遠の探求者の能力で色々調査しましたが過去に成功例が無いのですよ」
「でも不可能では無いんだよね?」
いつもおちゃらけて居るジュリアが物凄い真剣な眼差しでマサイアスを見る
「まあ不可能では無いのですが……
数々の実験……つまり人体実験をしなければ何とも……」
「ふざけるな!そんな事このロザリアが許さんぞ!」
非人道的な発言に対しロザリアが怒りを露に叫び出す
そんなロザリアにジュリアが指摘をする
「じゃあロザリアには何か良い案があるのかな?
正直今回の事に関しては綺麗事だけで済ませられるほどの余裕がこちらには無いよ?」
「くぅぅぅ……」
確かにジュリアの言うとおり今回ばかりは綺麗事を言っている余裕などない
それこそ非人道的な事を幾らやったとしても足りない位こっちの状況はまずい
また暫く緊迫した状態が続くと会議室の扉が開く
そこに立っていたのはテルペシアだった
「まあそんな事だろうと思ったダネ」
「テルペシア!」
ロザリアが急いでテルペシアに元に駆け寄る
「大丈夫ダネ
現状私の魔眼しか対応策が無いなら私を研究すると良いダネ」
にんまりした表情で皆の顔を順番に見る
「本人が良いと言っているんだしこれで決定だね
マサイアスはテルペシアを連れて研究室に行って早速研究を進めて欲しい」
「了解しました」
マサイアスがテルペシアに近づこうとするとロザリアがそれを阻む
「悪いが妾は納得が行かぬ……」
「ロザリア……僕だって正直気は進まない
でも現状で打つ手はこれしかない以上これをするしかない」
ジュリアが奥歯を噛みながら震えた声で気持ちを伝える
「1つだけ約束して欲しい
テルペシアの命を削るような事だけはやめて欲しい
それだけじゃ……」
そう言い残しロザリアは会議室を後にする
「それでは参りましょうかテルペシア殿」
「了解ダネ」
そんなロザリアの背中を見送りテルペシアとマサイアスは研究室に向かうのであった




