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小説『オンチェーンFinance』9

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/12
財務省本館、主計局長室。天野修一が差し出した新たな財政構造調整案を前に、主計局長・神田は息をのむ。
「起債済み国債の借換枠を削り、その分だけ個人向け国債の公募枠へ一対一でスライドさせる……だと!?」
前章では、日本の統合信託・投資資産2,400兆円をオンチェーン・ファイナンスに組み込み、10年間で累計1,320兆円(1.32京円規模)を還元するロードマップが示された。だが財務省にとっての最大の懸案は、すでに市場に滞留する数百兆円規模の既発債の借換コストである。
東都中央銀行特別顧問・黒輝大介が静かに口を開く。
「従来、国債は機関投資家向けの市場債と個人向け国債を、別々のラインで発行してきた。だが日銀の金利正常化が進み、金利が1.0%から10.0%へ跳ね上がる局面では、銀行・証券会社は既発債の含み損と借換リスクに悲鳴を上げている」
天野がホログラムを起動し、「シーソー・モデル(Seesaw Balance Model)」が執務室に浮かび上がる。
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