表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

神様と就職先

作者: 有梨束
掲載日:2026/08/06

なんでもあり。

「輪廻転生したくねぇ…、死にてえ〜」

「だから死んどるんだ、貴様は」

俺の呟きに、神様が怪訝そうに返事をした。



ここは天界。

俺はどうやら死んだらしくて、気づいたらここにいた。

そして、この目の前にいる神様に、次の生きる場所を決めるようにせがまれている。



「生きるのって、面倒くさいんですよ。もう一回なんて、耐えられません」

キッパリ言い切る俺に、神様はどうでもよさそうに書類を渡してくる。


「貴様の魂の消化が終わっとらん。さっさと、輪廻転生先を選べ」

「なんですか、魂の消化って」

「魂の生きる力みたいなもんだ。それを使い切って、はじめて天国か地獄で暮らせる。残量が残っている限りは、ずっと輪廻転生だ。ほら、行って来い」

「えええ〜、そんなシステム知らねえ〜」

俺は書類を受け取らず、駄々をこねて、ぼふりと雲の上の大の字になった。


ここだって、人が想像する天国みたいなのに、違うというのか。

ここにずっといさせてくれないかな。



「怠惰な魂だなぁ…。お前みたいな奴ほど、魂の残量が多いよな」

神様が俺を上から覗き込むながら、退屈そうに答えた。


「げっ、なんですかその嫌がらせ」

「嫌がらせなもんか、ただの試練だろ」

「余計なお世話だあ〜!」

「大体、生きるのが面倒だというが、貴様は次は何になれると思ってるんだ」

神様の声に、俺は眉間に皺が寄った。


「えっ?また人間なんじゃないですか?」

「傲慢な魂だなぁ。生き物になるだけで、人間とは限らん。だから、さっさと行って来い」

「えっっ、人間じゃないんですか!?」

俺は、勢いよく体を起こした。


人間じゃないって、なんだ?


神様は俺を見下ろしながら、当たり前だと頷いた。



「アメーバかもしれんし、フナかもしれんし、銀杏かもしれん、それは輪廻転生してみないとわからん」

「……なんで、フナと銀杏チョイス…?」

「お前さんの前の人間がフナになって、その前の人間が銀杏になったからな」

「まじかよ……。それ、どういう基準なんですか?」

「基準も何も、足りないところへ埋まっていくだけだ。なんだ、生きるのに理由があるとでも思ってるのか?」

「つ、使い回し…。聞きたくなかった…」

俺はもう一度、雲の上に横になった。


あーあ、生きてても面倒、死んでも面倒。

じゃあ、もうここにいてもよくない?



「やっぱり、輪廻転生したくないです」

「じゃあ、地獄で働くか?」

「…今、なんと?」

「地獄で働くかと訊いた」

「なんで!?」

俺の声が大きかったからか、神様は顔を顰めた。


その、人をナメクジを見るみたいな目、やめてもらえません…?

あ、次はナメクジかもしれねーのか。

なんか、死んだばっかりなのに、つらくなってきたかも。



「人手不足だからな。貴様みたいに面倒な輩を、獄卒として見張るという手段なら残っとるぞ」

「それ、魂は消費されるんですか…?」

「されん。手当ては出る」

「というと?」

「限りなく希望に近い輪廻転生先を用意してやれる」

「そ、それはっ、裕福な家の飼い猫とかも可能なんですか!?」

「ピンポイントは難しいが、少なくともランダムに飛ばされることはないぞ」

「どこかの家の飼い猫がいいですっ!」

「働き次第だな」

「じゃあ、働きます!」

俺がそう答えると、神様はなんでもないように書類を仕舞って、向こう側を指差した。


「就職先は向こうだ。他の獄卒が面談してくれるだろうから、正直に説明してこい。それで採用だ」

「わっかりました!」

俺は立ち上がって、神様にお辞儀した。


「んじゃ、失礼しますっ!」

「次にここに来た時は、素直に輪廻転生しろよ〜」

「げっ、また来るんですか、俺」

「魂の消費が足りないだろうからな」

「獄卒が良さげだったら、また就職します…」


それだけ言い残して、俺は地獄へ向かった。


「やれやれ、あやつまた就職しに行ったぞ。奇特な魂め」


神様の呟きは、俺には届いていなかった。






お読みいただきましてありがとうございましたっ!

217日目。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ