表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第4話 一駅旅

週末の土曜日。

私は朝から家を出て駅に向かった。

スマホとお財布とミルクティーとハンカチとティッシュを持って!よし!

駅までは徒歩十分程度。

鼻歌を歌いながら少し気になった景色を写真に撮って歩いていく。

そういえば、この間相互になった人の中で本格的なカメラで写真を撮っている人がいたっけ。

本格的なカメラで撮るのとスマホで撮るの、どう違うんだろう。

今度聞いてみようかな。

でも、大人の男の人って感じて話しにくい。

うーん、と悩みながら歩いているとあっという間に駅に着いた。

一駅分の電車に乗るといっても東へ行くか、西へ行くか、どっちがいいだろう。

悩んだ末に東を選んだ。

東は東京に近いから、いつか東京みたいにごちゃごちゃしていて整然としていて写真の撮り甲斐があるところに行ってみたい。

もちろん、大阪や京都、奈良もすき。

中学の修学旅行で訪れて、とても刺激を受けた。

思えば、スマホで写真を撮り始めたのはこの時からだ。

誰に見せるでもなく、現像して景色ばかりの写真を自分のアルバムに貼っていった。

あのアルバムはまだ部屋の本棚に鎮座している。

気が向いたら、あの時の写真も載せてみようかな。

私はやってきた電車とミルクティーのペットボトルを写真に撮って乗り込んだ。

席に座ったらもう一枚。

車窓からの風景にミルクティーを添えてパシャリ。

「これから一駅旅」

そう呟きと共にミルクティーのペットボトルと風景の写真をSNSに載せた。

身バレしないようになんてことない風景を選んでいるのがいつも難しい。

いや、田舎だからそうそう身近にいるとは限らないんだけど、以前地元でちょっとしたニュースになった時に検索してみたら、どこに住んでいるか分かるレベルでSNSに載せている子がいて驚いた。

こんな世の中、どんなことでどんな事件に巻き込まれるか分からない。

自衛大事。

そう思っているとあっという間に一駅着いた。

さて、何があるんだろう。

そう思って改札を出る。

今度は真っ直ぐ行くか、右へ行くか左へ行くか……。

「よし!」

悩んだ時は右へ!

少し歩くと小さな神社があった。

ここでも数枚パシャリ。

ミルクティーを一口。

「美味しい」

量産品でも万人向けにこんなに美味しいんだもん。

ミルクティーさんの飲んでいる高そうな茶葉で淹れたらどんなに美味しいんだろう。

私は新しい夢ができている自分に気がついた。

茶葉もカメラも興味がなかったのに、今では興味深い。

「世の中にはいろんな人がいるなぁ」

そう言って、私はまた歩き出す。

変な形の家があってもこれは他人の家だから撮っちゃいけない。

なんて事のない風景ばかりが溜まっていく。

でも、この民家にも私が知らない人が住んでいて、知らない生活を送っている。

世界中、知らない人、知らないことばかり。

SNSの世界も広いって思っていたけれど、現実もかなり広い。

私は、このスマホを作った人もミルクティーを作った人も知らない。

帰ったら検索してみよ。

そう決めて写真をたくさん撮った。

一駅だけでも全然違う街並み。

「面白い」

今度は二駅旅にしてみようかな。

夕方になると暗くなる前にまた電車に乗って帰って行った。

その夕暮れも記念に一枚撮った。

これはSNSにすぐに載せた。

「ただいま」

こんななんてことない写真と呟きにいいねをくれる人がいる。

それだけでも世界は広い。

糊さんから「おかえり」ってリプライがきていて、思わずにんまり。

「一駅旅してきました」

「楽しそう」

「楽しかったです!」

帰宅したら今日の写真を少しずつ載せていく。

ミルクティーの写真にミルクティーさんが反応してくれて、ペットボトル飲料ならここのやつも美味しいよって写真付きで教えてくれた。

ペットボトルもミルクティーを揃えてるんだ。

一人で笑って、今日は楽しかったなって反復した。

糊さんやミルクティーさんとのお話で胸が温かくなる。

明日もSNSで繋がっている世界を楽しみたい。

私はスマホを抱きしめて、いいねの数だけ繋がれている気になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ