第3話 新しい相互さん
糊さんと相互になって2日目。
今朝のご飯って糊さんの写真と呟きに散々悩んだ末に、美味しそうですね、なんて一言だけ伝えた。
私は人との関わりに飢えていたんだ。
それが糊さんさんなら特別。
すぐに返信が来て、美味しいです!って返された。
それがすごく嬉しい。
私は一人じゃない。
ちゃんと繋がっている人がいる。
アンチとファンの方には、相互は気まぐれですって一文をプロフに書いておいた。
糊さん以外にもフォローしてみようかな。
糊さんへの攻撃をなんとかしてやめさせたい。
他の人もフォローしてみたら一人のフォローなんて気にならないだろう。
私はそんな気持ちでお勧め欄からうろうろ見て回ったり、興味があることを検索して呟いている人を探してみたりした。
すると、世界はこんなに広いのかというほど面白い人がたくさんいた。
ずっと自分の世界に引き篭もって、写真と呟きだけを世界に発信していた私だけれど、初めて外の世界に興味を持った。
幾つかの呟きを見て気になる人を数名フォローした。
フォロバしてくれる人もいたし、フォローを返してくれない人もいた。
それでいい。
SNSのこの距離感が私は好き。
フォローした人はいろんな人がいた。
相互になった人には一通り挨拶したけれど、真っ先に返信をくれたのはこの人。
フォローした一人、ミルクティーさんは毎日ミルクティーを飲んでいて、今日の茶葉と写真を載せていたミルクティー大好きな人。
「こんにちは!フォローありがとうございます!写真、素敵ですね!」
かわいい絵文字と共に挨拶をされる。
「私も同じようにミルクティーが好きでよく飲みます。これからよろしくお願いします」
なんて返信をするとお勧めの茶葉を幾つかの紹介された。
そこまで詳しくはなくて、ペットボトル飲料しか飲んだことがない自分が恥ずかしい。
今度飲んでみますって返して、茶葉の名前を検索したら結構なお値段だった。
お小遣いを貯めなきゃ手が届かないなぁ。
こんなお高い茶葉を毎日飲むなんて、ミルクティーさんはお金持ち?社会人?
興味のままにミルクティーさんの呟きを読み漁る。
糊さん以外に興味を持つのは初めてだった。
あ、このお茶菓子美味しそう。
数日前の呟きだけど、リプライしてもいいかな?
「このお菓子美味しそうですね」
返信はすぐ来た。
また詳しく説明されて、検索して、値段にびびる。
ベッドの上でスマホを見ているだけの私には知らない世界がたくさんある。
他のフォローをしてみた人達もとても面白くて、世の中って広いなって思った。
私は、私の散歩旅の写真だけじゃなくて他の写真も撮りたくなった。
「どこかへ行きたいな」
電車で一駅だけでも違う景色かもしれない。
今度の休みは遠出をしてみようかな。
基本的に引き篭もりの私には一駅違う駅に行くだけでも大冒険だ。
糊さんに写真は届くかな。
届いてくれるといいな。
飲み物にはミルクティーを持っていこう。
ベッドサイドにスマホを置いた瞬間、胸の奥で小さな鼓動が早くなる。私、本当に外に出られるのかな。でも、わくわくが勝っている。
私は次の休みの計画を立てて、一人にんまり笑った。




