第26話 泥沼へ
糊さんとだけの二人だけのタイムライン。
昔はあんなに嬉しかったのに、今は重い。
糊さんはこのアカウントも監視していて、ぬい活沼さんやミルクティーさんと連絡も取れない。
相談する相手がいない。
クラスメイトには付き合ったということになっている。
ううん。事実、付き合っている。
でも、本当にこれでいいのかな。
ぐるぐる回る答えを答えてくれる人はいない。
でも、糊さんがいなくなったら嫌だ。
これは本心。
糊さんが怖い。
これも本心。
好き?好き!
じゃなきゃこんなに苦しくならない。
虚な足で自宅に帰り、ベッドに突っ伏す。
「どうしよう」
言葉は空に舞って消えた。
うとうとしていたら寝ていたらしい。
束縛する糊さんと優しい糊さん。
二人いたけれど、どちらも同じ糊さんだった。
そうだ。
私が分けて考えていただけで、両方彼の側面なんだ。
糊さんに手を伸ばそうとして、どちらに手を伸ばせばいいか分からなくて両腕で二人の糊さんを掴んだ。
私も大概だ。
「すきだよ、糊さん」
一粒流れた涙の意味は考えたくなかった。
そこで目が覚めた。
ああ、私は糊さんがどんな糊さんでも好きなんだ。
認めたら少し楽になった。
糊さんとの二人だけのタイムラインを開く。
二人とも鍵をつけたアカウント。
だから恥ずかしげもなく呟ける。
「糊さん、好き」
少ししてスマホが通知オンを告げる。
「僕も好き」
私は知らなかった。
この言葉を見た時、糊さんのように歪な笑みになっていたことを。
糊さんが私を好き。
それだけで息ができる。
それから他愛無い話をして、翌日糊さんがいる学校に行く。
学校ではリアルの糊さんが。
SNSではSNSの糊さんが。
どっちも糊さんだ。
私が好きな糊さん。
同じ空を見た糊さん。
初めていいねをして私を見つけ出してくれた糊さん。
「おはよう」
「おはよう」
爽やかに返されて、その中身が全く違うのを知っているのはどれだけいるんだろう。
私だけだといいな。
私の糊さん。




